Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画「あの夏、いちばん静かな海」    真木蔵人 主演/  北野武 監督

あの夏、いちばん静かな海。 [Blu-ray]

 

日差しは次第に強くなり、空と海の青がますます鮮やかになる季節、夏はすぐそこまで来ている。そんな夏になれば、青い海原をもとめて、人は海を目指す。かくいう、我々も海水浴、マリンスポーツといって、海へ向かって、車で、列車で、歩いて、走って、繰り出すのではなかろうか。この映画は、そんな海のスポーツ、サーフィンを愛する若者の物語であり、その主人公となる若者は口がきけず、耳が聞こえないという障害を持った、男女二人であり、彼らを取り巻く人々もこの物語になんとも言えず良い色どりを添えている。

 

北野武監督の映画「あの夏、いちばん静かな海」はサーフィンに夢中になる障害を持つ若者と、その恋人の映画。口がきけず、耳が聞こえないとあれば、すぐにひらめくコミュニケーション手段は手話である。が、この映画の中で主人公たちは、手話らしい手話はほとんど使わない、彼らを取り巻く人々も使わない。が、それでも、主人公二人、彼らと彼らを取り巻く人々、そして、映画を観ている観客とは不思議と意思疎通が叶い、観客は主人公二人の考えていること、感じていること、伝えたいと思っていることなどを理解して、映画は進行していくのである。

 

聴覚に障害を持つ人々を登場させた映画、最近では、まず数々の賞を受賞した日本映画「ドライブ・マイ・カー」、そして、アカデミー賞作品賞を獲得した映画「コーダ あいのうた」がすぐに思い出されるのではなかろうか。この2作品においては、コミュニケーション手段として手話がふんだんに登場して使われる。言い換えるならば、よくおしゃべりする、と言えなくはないか。これらと対照的に、映画「あの夏、いちばん静かな海」での主人公二人はおしゃべりしない、静かなのである、静かに思いを伝えてくる。

 

映画「コーダ あいのうた」は未見だが、これらの作品に共通することは、登場人物の障害者に対して、思いやりはあれ、変に同情することなく、淡々と接し、登場人物達がいい関係にあることではないのかと感じる。映画「あの夏、いちばん静かな海」では、ところどころに小さなギャグもあって笑いを誘う。

 

また、先にも書いたが、この映画では、主人公の青年が夢中になるスポーツがサーフィンだ。サーフィンを扱った映画と言ってすぐに思い出されるのは映画「ビッグ・ウェンズデー」であり、こちらはカリフォルニアの海辺で ”ビッグ・ウェンズデー“ と言う大波に挑戦するサーファーたちを描いた映画である。一方、映画「あの夏、いちばん静かな海」の海は日本の海であり、映画「ビッグ・ウェンズデー」のような世界最大の波が登場するわけでもない。が、映画に登場するサーファーたちは実に楽し気にサーフィンをする、サーフィンの大会、サーフィンのテクニック、技についても織り交ぜて、主人公の若者以外の人々もサーフィンに巻き込んでいく、ここら辺の描写、愉快で楽しい。

 

音楽、健常者役の俳優による数少ないセリフ、海の波の音、スクリーンから聞こえてくる音はこれだけだ、どれほど ”静か“ な映画であるか想像してみてほしい。これから迎える暑い夏、一足先に夏を迎え、海に足を運び、サーフィンを楽しみ、クスリと笑い、優しい気持ちになってみてはいかがだろうか。北野監督作品の中でも、好きな作品の一つに入るこの映画、ぜひ、どうぞ!

 

 

 

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映画 ドライブ・マイ・カー    濱口竜介 監督  西島英敏 主演

ドライブ・マイ・カー インターナショナル版

 

ウィル・スミスの司会者平手打ち事件で、或る意味話題をさらった第94回アカデミー賞の授賞式であった。さらに、日本からも映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞をはじめ4部門にノミネートされた、ということで話題になった。結果は、作品賞は映画「コーダ あいのうた」、映画「ドライブ・マイ・カー」は国際長編映画賞を受賞した、まずは祝福を送りたい。

 

映画「ドライブ・マイ・カー」において、ストーリーは淡々と進行してゆく。主人公の家福は奥さんに裏切られ、奥さんに死なれてしまった舞台の演出家で、彼の演出する演劇は    ”多言語演劇“と言うらしい。言葉の異なる様々な国の人々が、一つ舞台にたち、一つ芝居を演じるというスタイルで、観客には字幕付きで日本語以外のセリフの内容を伝える。その中には、手話によりセリフの翻訳も含まれる。映画が始まって最初の内は、家福が演出しているこの”多言語演劇“ がピンとこない。ゆえに、家福が自宅と職場を往復する車の中で、カセットテープに吹き込まれたセリフを聞き続けている意味もピンとこない。が、映画が進行するにつれて、この二つのことは自然と納得できるようになる。

 

映画は演劇祭で上演される予定の”多言語演劇”の練習風景、演目はロシア人作家チェーホフの「ワーニャ伯父さん」、の練習風景が描かれる、そして、並行して、オーデションを勝ち抜いた出演者たち、家福が職場と仮の宿を行き来する車を運転する女性ドライバー、そして、家福自身のそれぞれのエピソードが語られる。時に、芝居の中の一シーンとそのセリフが家福の現実と重なって、家福を苦しめもする。

 

淡々と進行する物語の中で、徐々に明らかになってゆく”多言語演劇“ の練習風景や、日本語、韓国語、手話などが入り混じったセリフで進行してゆく演劇に、以外にも引き込まれる。割と長めの映画、登場人物各人にドラマがあるとはいえ、派手さはなく、どちらかと言うと、地味に粛々と語られていくストーリー。なのに、最後まで飽きさせることなく、この映画を観させてくれるパワーはどこにあるか? そう思った時、登場人物各人のドラマもさることながら、それがこの”多言語演劇“ による「ワーニャ伯父さん」の練習風景ではなかろうか、と思い当たった。

 

そして、映画のラスト近く、演劇祭の舞台の上でソーニャが手話によってワーニャ伯父さんに語りかけるシーンが感動を呼ぶ。言葉ではなく、手話で語りかけるという演出に新鮮さとソーニャのさらなる優しさと明るさと強さすら感じるシーンではないかと思う。

 

作品賞は、惜しくも映画「コーダ あいのうた」にさらわれたのであるが、映画「ドライブ・マイ・カー」がとってもいいんじゃないかなあ、と筆者は思っていた。映画「ドライブ・マイ・カー」では、文化、言葉の異なる者、障害を持つ者との交流が演劇という媒体を通して描かれていた。一方、まだ未見ではあるが、映画「コーダ あいのうた」は、何年か前のフランス映画のリメイクで、障害を持つ家族と、その中でただ一人健常者である少女との家族の絆を描いた作品であるようだ。どちらの映画も手話を用いてコミュニケーションすることが一つのテーマにもなっている映画である。映画「ドライブ・マイ・カー」のほうは、あくまでストイックに、映画「コーダ あいのうた」のほうは、どちらかというと、ドラマチックに、明るく “多言語” でなされる日常を描いている、と思える。

 

いずれにしても、「ドライブ・マイ・カー」はいい映画であり、”多言語演劇“ という形態の演劇は、新鮮であり、”多言語“ であるだけに、言葉だけでなく手話までも取り込んで、出演者が一つの舞台を完成させていく、と言うところは興味深かった。そして、ラストは‥‥これは、映画を鑑賞している人の想像におまかせ、ということかな‥‥。

 

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映画 ウエスト・サイド・ストーリー    スティーブン・スピルバーグ監督

ウエスト・サイド・ストーリー (限定盤)

 

 

60年ほど前に作られた映画「ウエスト・サイド物語」がお気に入りであり、当時、シャーク団のリーダー役を演じた、ジョージ・チャキリスのダンスと、その恋人を演じた、リタ・モレノのダンス、ジェット団が踊って歌う ”クール“ 、映画の冒頭彼らが鳴らす指の音、ナタリー・ウッドとリチャード・ベイマ―の歌う ”トゥナイト“ 等、映画全編に満ち溢れる、60年前とは思えぬスタイリッシュなダンスと歌に魅せられて、圧倒されて、映画「ウエスト・サイド物語」の虜となった筆者ですが‥‥ちょっと褒めすぎ? ナタリー・ウッドやリチャード・ベイマーの歌は吹替であったし‥‥。

 

ロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンズ監督の映画「ウエスト・サイド物語」が最高、と思い、映画からミュージカルへといざなわれた者にとって、スティーブン・スピルバーグがこの名作「ウエスト・サイド物語」をリメイクするというニュースを聞いたとき、誰がどう作ってもオリジナルの映画を越えることはできないだろう、スピルバーグもとうとう新作のネタ切れして昔の名作をリメイクするか…などと思っていた。とはいえ、スピルバーグも巨匠、あのスピルバーグが古典的名作をどう料理したのかは、やはり気になるところ。また、映画が公開されてみれば、聞こえてくる声はいずれも悪くない評価、それなら、ひとつ、見てみようかな、スピルバーグ版「ウエスト・サイド物語」、ということで、日差しもまぶしい晴天の或る日、冬の日差しに誘われるようにして映画館へと足を運ぶこととなったのでした。

 

そして、観ました、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」。悪くなかった、いや、期待していた以上によかった、楽しめた、さすがスピルバーグ、と脱帽。原作の良いところは引き継ぎ、原作と異なる演出をしてオリジナリティーをだし、”スピルバーグウエスト・サイド物語“ の世界を作り上げたというところ、あっぱれ! かな。

 

例えば、映画の冒頭、上空からウエスト・サイドの街をとらえて、しだいに下降してゆくシーン、あたりまえだけれど違う、時代に即していて、現実味を帯びている。そこから、リフがペンキ缶をもって、指を鳴らしながら仲間を誘ってプエルトリコ人たちの住居へとやってくるときに見せるダンス、冒頭からキレッキレのダンス、カッコよかった。

 

また、”クール“ が踊られるシーン、オリジナル版映画ではリフが刺された後にジェット団みんなが倉庫で踊る、”頭を冷やせ、落ち着け、クールになれ“ と歌いながら、こちらはこちらで迫力満点、実に ”クール!“ だった。スピルバーグ版では、トニーがリフの持っていたナイフを取り上げて、それを奪い返そうとするリフ、トニーとリフの二人がメインとなって、これもまた、二人のキレッキレのダンスというか、パフォーマンスを見せてくれる。ここもスクリーンに釘づけ! と言える ”クール!“ なシーン。前作やミュージカルと違った見事な演出、魅せられました。

 

もちろん、これだけではなく、”アメリカ“ 、”トゥナイト“ 、”マリア“ 、ダンスパーティーのシーン など、オリジナルの曲が相変わらずいいのはもちろんですが、スピルバーグの演出は冴えていた。また、キャスティングもよかったのではなかろうか、特に、シャーク団にラテン系の俳優をキャスティングしたことは。さらに、トニーが働いているドラッグストアの店主に、リタ・モレノという、粋なキャスティングはオリジナル版映画を知る「ウエスト・サイド物語」ファンにとっては、うれしいキャスティングではなかろうか。

 

ここまで、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」を褒めてきたが、もちろん、オリジナル版「ウエスト・サイド物語」を越えた、とは言わない。オリジナル版を越えることなんて、できっこないよ!と、筆者は言いたい。超えたのではなく、また別の秀逸な物語ができた、と考えたい。

ただ一つ、残念かな、と思われたのは、ジェット団のメンバーのアクションやアイスがそれほど個性的に描かれていず、誰が誰だか区別のつきにくかったことだろうか。オリジナル版ではもう少しキャラ立ちしていたと思う。

 

とにかくも、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」、なかなか良い、オリジナル版と合わせてお勧めです。もしも、見るならば、オリジナル版、スピルバーグ版、どちらも見ることをおススメしたい。素敵なひと時を過ごせると思います!

 

ウエスト・サイド物語 [Blu-ray]

 

 

 

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映画「やさしい本泥棒」   ブライアン・パーシヴァル 監督

やさしい本泥棒 (字幕版)

 

 

本が好き、いつでもどこでも自由に買えて、好きな本が手にはいり、好きなだけ、好きな時に読める…今、あたりまえのことすぎて、この幸せが何か特別なことのように思う人は、世の中少ない、いや、当たり前すぎて、特別なことと考えることもないだろう・・・・そんなことを思ってしまう、この映画を観終わると、

 

その昔、秦の始皇帝、また、毛沢東の時代、焚書によって、数々の本が焼かれてきた。レイ・ブラッドベ著「華氏451度」では本の所持や読書が禁じられるという世界、やはり、本は燃やされた。「華氏451度」はフィクションであったけれど、現実の世界でも第二次世界大戦中のドイツにおいて、焚書が実行され、この映画「やさしい本泥棒」ではドイツのある広場にうずたかく積まれた本の山に火が放たれ、本の山が無惨にも燃えていくシーンというのがあった。映像によるフィクションのシーンであるのだが、実に胸の痛むシーンと感じられる。

 

この映画の主人公リーゼはそんな燃えてしまう本の中の一冊を拾い出し、火傷しながらも、コートの内に隠す、それほどまでに、本に、活字に、すなわち、知識への渇望が強烈な少女。映画の初めには、リーゼは字が読めず、字が書けなかった。文字を学びたくとも、テキストとなる本がなかった。そんな恵まれぬ環境にいながらも、リーゼの努力は続く、そして、やがて彼女は、彼女自身が読み書きできるようになるのはもちろん、そのことによって、他者をも救うことができるまでに成長する。

 

この映画は第二次世界大戦中のナチスドイツの国と、その国に住む住人たちの物語でもあり、その住人の一人、リーゼという少女の生活と成長の物語でもあり、容赦のない戦争の無惨さ、残酷さの物語でもる。もちろん、映画のタイトルにもある通り、リーゼと本とのかかわりがこの映画の核を流れるストーリーではあるのだが、それだけではないこの映画。リーゼを取り巻く人々もまた、リーゼの生活に彩を添える。リーゼの養父母に始まり、学校での友人、リーゼの家に転がり込む居候、市長の奥さんなどなど、戦時下の重く息苦しい生活の中でも、時にユーモアすら感じさせて、生きていく姿がある。これも、この映画の魅力の一つ。

 

が、監督は残酷な運命をこの映画に用意している。日本人にとって、それは、原子爆弾を落とされ、一瞬にして日常を奪われた日本の長崎と広島の経験を思い出させるかもしれない、東京大空襲と言ってもいいかもしれない。また、「アンネの日記」を思い起こさせるシーンなどもある。焚書に、迫害に、恐怖に、残虐に・・・と、戦争にまつわる “負” の側面を戦時下のドイツに暮らす人々の生活の中に描き出す。

 

第二次世界大戦ナチス・ドイツが舞台、まさにナチスが支配するドイツで暮らす人々の生活を描いた映画で筆者が一番直近で観たものには「ジョジョ・ラビット」<映画  ジョジョ・ラビット - Kororon 映画について語るBlog (hatenablog.com)>があり、「ジョジョ・ラビット」もいい映画だった。今回の映画「やさしい本泥棒」も久しぶりにいいドイツ関連の映画を観たと思う。

 

この映画は、日本では2014年に劇場公開される予定であったが、中止となったという映画である。もったいないような気がする、残念だ。DVDやBlu-ray はあるようなので、ぜひ一度、鑑賞することをお勧めしたい! 戦争の残酷さに頬を張られるようなシーンもあるのだが、リーゼと彼女を取り巻く人々のストーリーはしみじみといい話、でした。

 

 

 

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映画「山猫」 バート・ランカスター  アラン・ドロン 主演/   ルキノ・ヴィスコンティ 監督  :悪くないけれど残念な映画

山猫 (ヴィスコンティ秀作集 (3))

 

ルキノ・ヴィスコンティの映画「山猫」では、イタリア統一戦争をきっかけとして、没落し、消滅していく貴族の社会と、貴族に変わって台頭していくであろう新しい世代が、交錯する時代を描く。没落していく貴族世界の代表をバート・ランカスターが、新しく台頭していく世界の代表をアラン・ドロンがそれぞれ演じる。アメリカとフランスの2大スターの華麗な共演が観ることのできる映画。もっとも、アラン・ドロンはこの時のギャラがバート・ランカスターに比べて低い、ということでヴィスコンティにクレームをしたところ、以後、ヴィスコンティとドロンは不仲になってしまった、ということらしい。同じくヴィスコンティの映画「若者のすべて」で、あれだけ美貌のアラン・ドロンを見せてくれたヴィスコンティなのに、以後ヴィスコンティの作品にアラン・ドロンは出演していない、もったいない(?)かぎり・・・。

 

さて、映画「山猫」では、没落していくのであるが、華麗で、華やか、優雅でもある貴族社会がたっぷりと描かれる。特に、後半、イタリアはシチリアでのガンジー宮殿でロケがなされた舞踏会のシーンは、貴族が権勢を振るっていた頃の、華やかさを見せてくれるのである。ただ、映画で描かれているのが、没落していく貴族たちの最後の輝きであると理解するとき、その華麗さは死にゆく者が、最後にその力を振り絞って、一瞬見せてくれる、生命力の輝き・・・と思わざるを得ない。

 

映画「山猫」で舞踏会が行われた、このシチリアガンジー宮殿は、実のところ個人の所有する宮殿であり、今も、イタリア貴族の末裔が、結構莫大な私財を投じて、修復、改修をしたりしながら、この宮殿を守っている。貴族も現代の世を生き延びて、代々受け継がれる城や宮殿を守っていくのは随分苦労のいることらしい。また、アラン・ドロンは5年前にこの映画「山猫」がロケされた、ガンジー宮殿を訪れた際、ガンジー宮殿の美しさに感動し、もしかしたら、映画ロケの時の思い出なども思い出されたのか、涙を流していたという。

 

そんなアラン・ドロンであるが、映画「山猫」では、バート・ランカスター演じる貴族、サリーナ侯爵の甥、タンクレディを演じている。バート・ランカスター演じるサリーナ侯爵は、激動するイタリア社会にあって、世渡りが下手で、自身の貴族という殻を打ち破ることはできず、時代の流れとともに滅びゆく道を選ぶ。一方、甥のタンクレディのほうは、映画の当初は、イタリア統一運動の旗手、ガリバルディの軍隊に合流していて、ガリバルディ将軍と懇意にもしていた、が、新しい国王の政権が誕生すれば、すぐにガリバルディの元を離れ、政府軍に合流する。時勢、機を見るのに素早く、伯父のサリーナ侯爵とは正反対、と言ったところだが、侯爵はこの甥を愛している。

 

また、タンクレディと恋人のアンジェリカが二人して、人目を忍び、サリーナ侯爵の屋敷の中を、あちらの部屋、こちらの部屋へと移りながら、二人きりの時を楽しむシーンでは、当時の貴族の屋敷の広さを実感させてくれる。また、戦時中なのに、馬車を連ねてピクニックに行く優雅さ、そんなシーンを始め、貴族の生活とはかくあるものであったか、と思わせてくれる映像で溢れる。

 

また、この映画と合わせてNHK「貴族からの招待状」という番組を見ることができるならば、過去、及び、現在にも存続するイタリアの貴族の生活や、苦労をうかがい知ることができるのではないかと思う。映画「山猫」は、そんなイタリア貴族について知るのには、いい映画かもしれない。ただ、少々長い、ヴィスコンティの耽美的世界が気に入ればいいかもしれない、そうでなければ、もしかしたら、長いだけあって、少々退屈を感じるかもしれない…。ということで、久しぶりに、悪くないけれど、残念な映画としようと思う。

 

 

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映画 リトル・ダンサー      スティーブン・ダルドリー 監督

リトル・ダンサー (字幕版)

 

映画のラストに、実在のバレエダンサー、アダム・クーパーが登場する、と言うことで話題になった。アダム・クーパーは自身が実際に主役を務めているバレエの演目「白鳥の湖」のコスチュームをつけ、映画の中でも高い、高い、跳躍を見せて宙を舞う。彼が主役を演じる、バレエ「白鳥の湖」では、出演者が全員男性であり、つまり、本来、女性バレエダンサーが演じることになっている白鳥たちが全員、男性によって演じられる。異色の「白鳥の湖」である。この、アダム・クーパーのバレエ「白鳥の湖」は、演じられた当初から現在に至るまで、その異色の演出と、アダム・クーパー自身の魅力により、多くのファンをひきつけてやまない。

 

かくいう筆者も、もう、ずいぶん前になるのであるが、アダム・クーパーのバレエ「白鳥の湖」を観た。アダム・クーパーの美しさ、ダンサーとしての身体的能力と、見事なテクニック、そして、彼のバレエ「白鳥の湖」の、通常とは異なる ”衝撃的“ なラストに、驚き、感動して、いっぺんにアダム・クーパーと彼のバレエ「白鳥の湖」の虜になってしまいました。クラッシクバレエにおいては、どうしても、女性ダンサーの華やかさ、華麗さ、軽やかさが前面に出てくる傾向にあり、男性ダンサーは女性ダンサーをサポートする、縁の下の力持ち的役割に甘んじる傾向のあったところ、アダム・クーパーが男性ダンサーを主役にすえ、男性ダンサーを、思い切り活躍させたバレエが、彼のバレエ「白鳥の湖」であった、と、当時、評されていたと記憶する。

 

アダム・クーパーの話が長くなりましたが、そろそろ映画の話へ。とはいえ、こんな知識が前もってあると、この映画を鑑賞する際にも、多少なりとも映画の世界を興味深く、かつ、面白く鑑賞するのに役立ちはしまいか、と、筆者は思う。さて、この映画「リトル・ダンサー」ですが、舞台はイギリスの小さな、炭鉱の町。そこに住む一人の少年と彼の一家の物語。映画の主役は11歳の少年、ビリー・エリオット君であり、彼にはダンスの才能があり、通っていたボクシングジムを止めて、親には内緒でダンスのレッスンを受け始める‥‥というところから物語は始まる。

 

が、不幸なことにビリー君がダンスに夢中になり始めた頃、彼の住む炭鉱の町では、ダンス、バレエというと、女子が夢中になるものという固定観念が支配していた。なので、当然ながら、ビリー君が、彼のダンスへの情熱を家族を含めた周りの人々に理解してもらうまでには、様々な苦労や、障害のあることが映画では描かれる。そんなビリー君と彼の家族との関係が、この映画では実にいい感じで描かれていて、筆者の好きなところ、好きなシーンが多いのである。

 

また、小さなエピソードではあるが、LGBTの問題にも触れている。さりげなく語られる、このエピソードも、いい。そんなこんなで、ダンスに夢中になるビリー少年を語りながら、炭鉱の町の工夫たちのストライキが、それに絡み、炭工夫であるビリー君の父親、兄をも巻き込んで物語は進む。実に後味のいい映画で、映画を観終わった後にはハッピーな気分に浸れる、筆者は浸りました。

 

最後に、炭鉱の町の、少年を含んだ一家の物語、というと、以前このブログでも紹介したジョン・フォード監督による映画「わが谷は緑なりき」を思い出される方もいるだろう。映画「わが谷は緑なりき」は1941年製作、映画「リトル・ダンサー」は2000年製作、両者の間に59年という時の隔たりはあれど、59年たった後にも、イギリスの炭鉱の町では、全く同じことが繰り返されている、という現実もこの映画からうかがい知ることができるのでは。

 

映画「わが谷は緑なりき」の少年ヒューは恋のため炭鉱の町に残った。では、映画「リトル・ダンサー」の少年ビリーは? それは、映画を観て、確かめてほしい。映画「リトル・ダンサー」、筆者、お気に入りの、とてもいい映画です。

 

 

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映画  DUNE/デューン 砂の惑星     ティモシー・シャラメ 主演

デューン 砂の惑星(DUNE) [輸入盤国内品番仕様] 通常CDプレス盤

 

遅ればせながら、映画「DUNE/デューン 砂の惑星」を観ました。もしかしたら、劇場で見るのはギリギリセーフかと思われるタイミング。映画のほうは、面白く、間に合ってよかったと、観終わった後には胸をなでおろし、劇場を後にした次第。筆者は、映画「スター・ウォーズ・シリーズ」の大のファンなので、どうしても、映画「スター・ウォーズ・シリーズ」を思い出し、映画「スター・ウォーズ・シリーズ」と比較しながらの映画の始まりとなりました。

 

もっとも、原作の物語としては、「デューン 砂の惑星」のほうが、ずっと早く書かれていて、「スター・ウォーズ」のほうの物語は、デューンのずっと後にできたものであり、スター・ウォーズに登場するルークの故郷の惑星タトゥイーン、フォースの力や、ルークの修行や、皇帝に支配されている宇宙なんていうのも、デューンを参考にしたんだな、と思ってしまうのであり、実際に、デューンから多くの影響を受けていると言われている。が、一方で、映像としては、スター・ウォーズのほうが早く、このシーンは、スター・ウォーズのあのシーンと似ている、などと思える部分も無きにしもあらず。それで、まあ、結局のところ、映画「DUNE/デューン 砂の惑星」は面白く、両者を気に入っているファン、筆者にとっては、どちらが先でも、後でも、全然かまわないと言ったら、かまわないわけで‥‥。

 

そんな、映画「DUNE/デューン 砂の惑星」であるが、冒頭、この物語にでてくる、様々な登場人物、場面設定、デューン独特の用語、言葉は複雑なので、物語全体の流れを理解するのに少々手間取るかもしれない。特に、「デューン 砂の惑星」を、この映画が初めて、と言う方にとっては。そこを、何とかクリアして、家臣、兵士を含めたアトレイデス家の一行が、デューンこと、惑星アラキスへの移動をはじめ、アラキスへ到着したあたりから、映像のスケールの大きさに驚愕しつつ、デューンの世界に入って行けるのでは、と思う。

 

それに続く、香料採掘現場の視察、砂虫との初顔合わせと続くシーンでは、砂漠の広大さと美しさが際立つ、”砂の惑星“ というタイトルであるのだから、この監督は砂漠のシーンにも、もちろんこだわったのだろうな、と感じた。映画の冒頭で、砂漠の美しさ、美しく果てのない砂漠に潜む砂虫という危険、続いて、その危険な砂漠を住居として縦横無尽に砂漠を闊歩する砂漠の民の存在を観客にみせる。

 

割と静かに淡々と映画は進行してゆき、砂漠の映像は素晴らしい、と思うのであるが、映画「スター・ウォーズ/ 新たなる希望」で、映画の冒頭から帝国軍の戦艦スター・デストロイヤーがでてきて、宇宙船バトルが展開されてゆく、あのスピード感がデューンにはない、などと思ってしまう筆者。しかし、ハルコンネン家と皇帝による陰謀が展開され始めるあたりから、しだいにテンポは上がってゆき、とうとう、アクションに次ぐアクション、スピード感ないどころか、ここに至って、すっかりデューンの世界にはまりきってしまったのでした。

 

また、香料視察の際や、後半のバトルの際に活躍する ”羽ばたき機“ と言うのが登場する。本来は、オーニソプターと言う命名で、小説では鳥型飛行機と訳されている。映画に登場するオーニソプターは ”トンボのよう“ と形容されることが多いようだが、このソプターを観た瞬間、筆者は、ヘリコプターの羽が妙に長く、長く、なった、ヘンテコな乗り物だ、というイメージで、デューンの世界にヘリコプターの変わり種みたいな乗り物出さなくてもいいんじゃないか、もっと、スマートでスタイリッシュな宇宙船にならなかったのか、と少々不満に思っていた。が、後半のバトルシーンになると、なかなかこの “羽ばたき機” と言うのも侮れなく、突然鳥が翼を閉じて飛行するがごとく、ヘンテコな長い羽根をピタリとボディーにくっつけて、猛スピードで飛行し始める。その迫力には圧倒された。まあ、元の呼び名が、”鳥型“飛行機であるからね。

 

このように、いくつか筆者が首をかしげたくなるシーンもあったのだが、いい意味で筆者の期待を裏切りながら、映画「DUNE/デューン 砂の惑星」はラストを迎える。2時間以上に及ぶ長い映画と思ったが、観終わってみれば、あっという間の2時間と少し。続編ができるなら、できると思うのですが、期待できる、面白い映画でした。

 

 

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映画 ビッグ・リボウスキ    ジェフ・ブリッジス 主演/    ジョエル・コーエン 監督

ビッグ・リボウスキ (字幕版)

 

ジェフ・ブリッジスという役者がいる。割と二枚目であり、兄弟で同じく俳優のボー・ブリッジスとピアノ弾きを演じ、さらにミッシェル・ファイファーとも共演した映画「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」が印象深い。その、割と二枚目だと思っていたジェフ・ブリッジスがそのイメージを見事に破壊して、アメリカはロサンゼルス一の、なんというか、“ものぐさな男” を演じる。

 

このものぐさ男、ジェフリー・リボウスキことデュードと、彼の仲間、ベトナム戦争退役軍人ウォルター、ちょっと気の弱そうなドニー、ドニーは何か発言しようとするたびに、ウォルターに黙ってろ、とか、うるさい、と言われて何も言えないのだが、とにかくも、デュード、ウォルター、ドニーのこの三人で大好きなボーリングに興じながら、一つの事件に巻き込まれていく。全編通して、笑わせてくれる、ジョエル・コーエン監督、快心のコメディと言えるのでは。

 

映画のオープニングから衝撃的。あのピアノ弾きの二枚目がこんな目に合うのか! と、驚愕しながら映画を観始める筆者。映画が進行するにつれて、その傍若無人ぶりというか、気ままぶりとか、あくまでもマイペースに、その日を暮らしてゆくデュードとその仲間たちの世界、笑いとともに引き込まれてゆく。事の発端は、デュードの家にあった、一枚の敷物なのであるが。

 

しかし、この敷物から始まる一連の事件の結末には、残念ながら、ちょっとした、いや、デュード等にとっては重大な、ある悲劇が起こる。また、悲劇と同時に、ちょっとした、いや、やはり、デュードにとっては重大な或る事も起きる。こんなふうに、人間の人生において神様は、いいことと悪いことのバランスを取りながら、優しく、時に、辛辣に、世間の割と底辺のほうで暮らしている庶民にも、目をかけ心配ってくれているのか、と思わせる。

 

先に、ジェフ・ブリッジスの映画「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」が印象深いと書いたが、実際、筆者が初めてジェフ・ブリッジスに出会ったのは、もっと、古い映画、若き日のクリント・イーストウッドと共演した映画「サンダーボルト」で、そこにはさらに、さらに若い20代のジェフ・ブリッジスがいた。この映画ではイーストウッドインパクトばかりが強く感じられたのであるが、後年、映画「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」を見た時に、この時のサンダーボルトに付きまとう、お調子者のコソ泥、ライトフットを演じたジェフ・ブリッジスが記憶によみがえったのであった。

 

映画「ビッグ・リボウスキ」は、自由に、ゆるく、好きなことをやりながら、その日を暮らしている、デュードと仲間たちの物語であり、肩ひじ張らずに生きている彼らが共感を呼んだのか、公開当初はともかく、その後、一部熱狂的なファンを獲得しているという、コロナ禍の今はわからないが、それ以前は毎年、それらファンによるボーリング大会が行われていて、参加者は映画の中の好きな人物に、めいめい扮していたらしい。どうも、映画「スター・ウォーズ」の熱狂的ファンが、コスチュームに身を包んで、参集する図を思いうかべる。

 

映画「ビッグ・リボウスキ」、登場人物は皆ユニーク、ひとつ、のん気に大笑いしてみたいと思ったならば、ぜひ一度、見てみるのも悪くないかも。とにかく、筆者は笑いました。

 

 

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映画  存在のない子供たち     ナディーン・ラバキー 監督

存在のない子供たち(字幕版)

 

 

息子が両親を訴える、その罪状は? と問われ、息子は答える、「僕を生んだ罪」と。何やら、衝撃的なオープニングの映画なのである、しかもこの息子は12歳か14歳くらいの年はもいかない少年であり、人を刺した罪で逮捕されている。12歳か14歳といって、はっきりした年齢を書くことができないのは、この少年の出生届が出されておらず年齢がはっきりわからない、日本で言ったら、戸籍のない子供、ということになろうか、とにかくも、自分が何者であるのか証明できる、証明書を持たない子供、なのである。

 

そんな少年ゼイン君がこの映画の主人公であり、映画はゼイン君が逮捕されるに至るまでの、彼の劣悪で、悲惨、かつ、絶望的な境遇を回想という形で物語ってゆく。絶望的かつ将来への希望ゼロの子供たちが、この映画にはまだまだ登場する、何も、ゼイン君一人だけではない。ゼイン君の姉妹、しかり、ゼイン君を助けてくれた女性の赤ちゃん、しかり。この赤ちゃんは、今度は、その母親の不幸な境遇により、なんと、ゼイン君が面倒を見る羽目になる。細身で、小柄なゼイン君がこの赤ちゃんを、抱っこしたり、おんぶしたり、手製のカートにいれたりして、スラム街を歩き回るシーンは、胸が痛みすぎる。二人の運命のあまりの絶望感に言葉も出てこない、と言ったらいいだろうか。

 

貧困をテーマにした映画、本は多々あり、それぞれの作品、書物が様々な角度から社会の貧困をとらえ、映像化し、又、書物としてきた。そして、今回の映画「存在のない子供たち」のメインテーマは、出生証明書がない子供の運命である。現実の世界においても、世界ではなお一億6.600万人の5歳未満の子供が出生証明書を持たないという、気の遠くなるような数。日本においても、約800人もの戸籍を持たない子供が存在するという。出生証明が届け出されないとどうなるかということは、この映画で描かれている通り。教育は受けられない、社会保障は適応されないなどなど、まさに映画のタイトル通り ”存在がない“ ものとして扱われる。

 

が、そんな言葉を絶するほどの絶望的状況の下、数々の仕打ちに打ちのめされながらも、ゼイン少年はたくましく生き抜いていく、映画ではゼイン少年を見舞う不幸とともに、そんなたくましいゼイン少年の姿も描かれる。たくましい精神なのであるが、観てる方は痛々しく、そのどう考えても報われぬ、救いのない勇気とわかってしまうゆえに、さらなる絶望感を見ているほうは感じる。

 

そして、映画は最初に戻る、この希望ゼロの壁を打ち破るためにゼイン少年は知恵を絞り、一つの突破口を開こうとする。ここら辺がこの映画の救いになるか、ラストでは、絶望的、希望ゼロの分厚い壁に、ゼイン君が小さな、小さな穴をあけたところで、エンドとなる。小さな、小さな穴であるが、この穴が、やがて鉄のカーテンのごとき壁を崩す、大きな穴となることを期待させる。また、そうなることを映画を観ている観客は願わずにはいられない。

 

レバノンの問題を描き、レバノンだけにはとどまらぬ、世界中、日本においても存在する社会問題を描いた秀逸な映画。筆者が観ることを勧められたように、筆写も皆さんに勧めたい‥‥そんな映画かな。

 

 

 

 

 

映画  続・夕陽のガンマン       クリント・イーストウッド  主演

続 夕陽のガンマン MGM90周年記念ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

「続・夕陽ガンマン」、若き日のクリントイーストウッドが主演する、マカロニウエスタン、前作「夕陽のガンマン」に続く、2作目である、が、このタイトルは良くない、と、筆者は思う。前作に続く2作目であるので、しかも、前作がヒットしたので邦題を ”夕陽のガンマン“ に ”続“ をつけたのかとも思われるのであるが、

”続“ と付いていても、内容は全く前作と関係がない、関連があると言えば、準主役として登場するリー・ヴァン・クリーフが前作から引き続き登場しているくらいのものである。が、ストーリが全く違うのであるから、その役どころも前作とは全く異なる役柄である。原題をそのまま直訳した方が、まだ、映画の面白さを伝えているのではないか、と思えてしまうのである。

 

では、その原題は何というか?原題は英語で、「The Good, the Bad and the Ugly」、訳してみると「いい奴、悪い奴、卑怯な奴」とでもいうか、「善玉、悪玉、卑劣漢」というような訳もあるようで、映画ファンであるなら、もしかしたら皆さんもうご存じの原題であるやもしれぬ。こちらの原題のほうが、この映画はより一層楽しめるのではないか、と考えたりもするのであるが、原題の直訳では、うまい邦題にならないと配給会社は考えたのであろうか、とにかくも、この映画は「続・夕陽のガンマン」と、落ち着くこととなった。

 

映画のタイトルが「いい奴、悪い奴、卑怯な奴」なのであるから、このマカロウエスタンには3人の主要なガンマンがでてくることになる。クリント・イーストウッドももちろん悪くはないのであるが、中でも主役のクリント・イーストウッドを食って、映画の中で存在感を示し、主役のイーストウッドをしのいでいる、と思われるのは、なんといっても”卑怯な奴“ のガンマン、テュコを演じる、イーライ・ウォラックである。イーライ・ウォラック演じるテュコは、映画の始まりから冴えない役回りなのである、極悪の冴えない男のままで映画は進行するのかと思いきや、やがて、この冴えない男が、超、超、早撃ちのガンマンであることが分かり、眼光も鋭く、その顔もキリリと引き締まってきて、非情な極悪ぶりをたっぷりと見せてくれる。

 

おそらく、この極悪ぶりだけがこのテュコの性質であるならば、クリントイ・イーストウッド演じる、或る意味、テュコの相棒でもあるブロンディーガンマンは、テュコを見捨て、テュコから離れていくのが必然であろうと思われるのであるが、この極悪超早撃ちガンマンのテュコにはテュコのストーリーがあり、それを知るとブロンディーのみならず、観ている観客でさえ、この ”卑劣な奴 (The Ugly)“ テュコもあながち憎めない奴ではないか、と思わせられるのである。

 

また、この映画の時代設定は、アメリ南北戦争の最中であり、映画の中では、北軍、南軍の兵士たちが戦い、殺戮しあう戦場のシーンもあり、所かまわず死体がゴロゴロしている、なんていうシーンもでてくる。そして、こちらも情け容赦なく、敵を射殺していくガンマン、自らも常に死と隣り合わせの生活を送っているガンマンのブロンディに “こんな犬死はひどいな” というセリフを言わせる。彼らのような非情のガンマンですら、戦争を目の当たりにしては、その愚かしさ、残虐さを感じるのである。戦争の大義がどんなに立派なものであったとしても。

 

この “いい奴、悪い奴、卑怯な奴” の3人は、北軍の兵士が隠したという、20万ドルという大金を求めて目的の地へと向かっている、ラストは当然その20万ドルが隠された地での、3人の対決ということになる。そして、この対決において、そして、さらに、ラストのラストのあるシーンにおいても、この3人の ”いい奴、悪い奴、卑怯な奴“ の性質と言うか、特徴は、いかんなく発揮されて映画を盛り上げ、面白くする、笑わせてくれたりするのである。

 

クリント・イーストウッドまだ、現在のような大スター、大監督になる前の、本当に若きイーストウッド、画面から聞こえてくるイーストウッドの声さえも、最初は、何か耳になじまず、ピンとこない気がしていた。声が若いといったところか。そんな若き日のイーストウッドを見ることができるのもいい。なかなかいい、マカロニウエスタン映画、と思う次第。

 

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