映画のラストに、実在のバレエダンサー、アダム・クーパーが登場する、と言うことで話題になった。アダム・クーパーは自身が実際に主役を務めているバレエの演目「白鳥の湖」のコスチュームをつけ、映画の中でも高い、高い、跳躍を見せて宙を舞う。彼が主役を演じる、バレエ「白鳥の湖」では、出演者が全員男性であり、つまり、本来、女性バレエダンサーが演じることになっている白鳥たちが全員、男性によって演じられる。異色の「白鳥の湖」である。この、アダム・クーパーのバレエ「白鳥の湖」は、演じられた当初から現在に至るまで、その異色の演出と、アダム・クーパー自身の魅力により、多くのファンをひきつけてやまない。
かくいう筆者も、もう、ずいぶん前になるのであるが、アダム・クーパーのバレエ「白鳥の湖」を観た。アダム・クーパーの美しさ、ダンサーとしての身体的能力と、見事なテクニック、そして、彼のバレエ「白鳥の湖」の、通常とは異なる ”衝撃的“ なラストに、驚き、感動して、いっぺんにアダム・クーパーと彼のバレエ「白鳥の湖」の虜になってしまいました。クラッシクバレエにおいては、どうしても、女性ダンサーの華やかさ、華麗さ、軽やかさが前面に出てくる傾向にあり、男性ダンサーは女性ダンサーをサポートする、縁の下の力持ち的役割に甘んじる傾向のあったところ、アダム・クーパーが男性ダンサーを主役にすえ、男性ダンサーを、思い切り活躍させたバレエが、彼のバレエ「白鳥の湖」であった、と、当時、評されていたと記憶する。
アダム・クーパーの話が長くなりましたが、そろそろ映画の話へ。とはいえ、こんな知識が前もってあると、この映画を鑑賞する際にも、多少なりとも映画の世界を興味深く、かつ、面白く鑑賞するのに役立ちはしまいか、と、筆者は思う。さて、この映画「リトル・ダンサー」ですが、舞台はイギリスの小さな、炭鉱の町。そこに住む一人の少年と彼の一家の物語。映画の主役は11歳の少年、ビリー・エリオット君であり、彼にはダンスの才能があり、通っていたボクシングジムを止めて、親には内緒でダンスのレッスンを受け始める‥‥というところから物語は始まる。
が、不幸なことにビリー君がダンスに夢中になり始めた頃、彼の住む炭鉱の町では、ダンス、バレエというと、女子が夢中になるものという固定観念が支配していた。なので、当然ながら、ビリー君が、彼のダンスへの情熱を家族を含めた周りの人々に理解してもらうまでには、様々な苦労や、障害のあることが映画では描かれる。そんなビリー君と彼の家族との関係が、この映画では実にいい感じで描かれていて、筆者の好きなところ、好きなシーンが多いのである。
また、小さなエピソードではあるが、LGBTの問題にも触れている。さりげなく語られる、このエピソードも、いい。そんなこんなで、ダンスに夢中になるビリー少年を語りながら、炭鉱の町の工夫たちのストライキが、それに絡み、炭工夫であるビリー君の父親、兄をも巻き込んで物語は進む。実に後味のいい映画で、映画を観終わった後にはハッピーな気分に浸れる、筆者は浸りました。
最後に、炭鉱の町の、少年を含んだ一家の物語、というと、以前このブログでも紹介したジョン・フォード監督による映画「わが谷は緑なりき」を思い出される方もいるだろう。映画「わが谷は緑なりき」は1941年製作、映画「リトル・ダンサー」は2000年製作、両者の間に59年という時の隔たりはあれど、59年たった後にも、イギリスの炭鉱の町では、全く同じことが繰り返されている、という現実もこの映画からうかがい知ることができるのでは。
映画「わが谷は緑なりき」の少年ヒューは恋のため炭鉱の町に残った。では、映画「リトル・ダンサー」の少年ビリーは? それは、映画を観て、確かめてほしい。映画「リトル・ダンサー」、筆者、お気に入りの、とてもいい映画です。
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