Kororon 映画について語るBlog

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映画「クライ マッチョ」    主演・監督  クリント・イース トウッド

クライ・マッチョ(字幕版)

(ネタバレあり)

 

クリント・イーストウッドの監督作品はどれも割と好きで、できる限り全てを観ようとしている、今回は最新作「クライ マッチョ」。イーストウッドは現在92歳だという、それにしても若い!と筆者は驚きを隠すことができない。映画では年相応に老けたメイクをしており人生に敗れた老人を演じているのでスクリーンからはその秘密(?)を感じ取ることはできないのだが、イーストウッドの若さの秘密をぜひ知りたいものだ、と切に思った。

 

今回、この92歳の監督はメキシコからテキサスへと向かう老人と少年とのロードムービーを撮った。いままで様々なロードムービーを観てきた、その中でも割とお気に入りの作品は、「レインマン」、「ミッドナイトラン」、「24時間」、「パーフェクトワールド」、「ペーパームーン」、邦画では「菊次郎の夏」、などなど、あげればきりがない。

 

映画「クライ マッチョ」では、イースドウッド扮す老カーボウイ、マイクが牧場主からメキシコに母親と暮らす息子ラフォをテキサスの自分の元まで連れてきてほしいという依頼を受ける、マイクも一旦は断るのだが、何分恩義のある牧場主、半分仕方なく依頼を受けるというところから物語はスタートする。なんとなく、妙に唐突感のある始まりなのであるが、マイクがメキシコに行かなければ映画は始まらず、とにかくマイクをメキシコに行かせる、という運び、多少の不自然感はやむを得ないのか、と感じたオープニング。

 

が、マイクがメキシコに到着してからは流石、と思わせるなめらかで、スクリーンに惹きつけられるストーリー展開。老カーボウイと少年のロードムービーとはいえ、アクションあり、カーチェイスあり、スリリング感もドキドキ感もしっかり味合わせてくれる、さらに、老カーボウイと少年の交流、メキシコへ向か途中で出会う人々との交流は前作、映画「運び屋」のラストシーンにも共通する暖かさや優しさがあって、少年を連れ戻そうとするメキシコの警察や、母親の愛人(?)と遭遇した時の緊迫感をしばし観客に忘れさせて、二人の幸せなシーンに心を和ませてくれたりするのである。

 

この映画の主人公は元ロデオカーボーイの老人マイクと少年なラフォなのであるが、筆者はこの映画に出て来る動物にも注目したい。まず、映画の冒頭から観客の目に飛び込んでくるのは、闘鶏のシーンと戦う雄鶏であり、この雄鶏の持ち主は老人マイクとテキサスへの旅をすることになる少年でラフォあり、雄鶏の名前は ”マッチョ“ という。”マッチョ“と名付けられているだけあって、この雄鶏、やたらと強いのである。なので映画のタイトル「クライ マッチョ」(鳴け マッチョ ) から観客が想像するのは、たいていラフォの所有する雄鶏のこととなる。実際、劇中、少年ラフォはこの雄鶏のことを “マッチョは強い” であるとか、自分も雄鶏マッチョのように強いのだ、といったセリフを述べている。

 

  続いて、登場するのは ”馬“ 。追手から身を隠すためにマイクとラフォの二人は、野生の暴れ馬にてこずっている牧場主と出会う、昔とったきねづか、マイクはみごとに暴れ馬を調教し、この牧場で仕事をゲット。そして、マイクはラフォに乗馬を教え始め、ラフォは少しずつ上達していくというシーンがある。年老いて人生に失敗した老カーボウイのマイク、とはいえ、彼が暴れ馬を手なずけて見事に調教していくシーンでは、マイクの熟練した腕前、彼のスキル、そして、マイクの力強さを感じずにはいられない。ここまで、いま一つさえない老人マイクであったが、この暴れ馬調教のシーンにおいて見事に彼もまた ”マッチョ“ である、と観客は知らされるのである。

 

 見事に乗馬をマスターした少年ラフォ、ラストでは片時も離れなかった雄鶏、マッチョを老マイクに手渡し、自らは、国境で待つ父親の元へと赴く。彼らが身を隠していた牧場の馬が老マイクの強さ(マッチョ)を象徴するならば、乗馬をマスターして馬を自在に操ることができるようになったラフォは、マイクと同等くらいに力強くなったのだと考えられないだろうか。小さな雄鶏 ”マッチョ“ から、大きな ”マッチョ“ へと成長した。この映画は、老人と少年のロードムービーであると同時に、老人を通しての少年の成長物語でもある。

 

 そして、結局のところ、雄鶏と暴れ馬を登場させたイーストウッド監督、”マッチョ“だったのは、雄鶏と馬の動物であり、マッチョ鶏は コケコッコー と、”クライ(cry/鳴く)“ するし、マッチョ馬は ヒヒ―ン とこちらもいななく。人間が ”クライ(cry/ 泣く)“ するときには、どうも涙がつきもの‥‥どちらかというと、強さよりは弱さを見せる時の行動ではないか。ということで、この映画のタイトル、「クライ マッチョ」、なんとなくわかるようで、やっぱり、よくわからないような タイトルの”マッチョ“ とは、動物のことか、人間のことか、人間に動物のイメージを重ねてその成長ぶりを言ったことか‥‥、そこは、映画を鑑賞する人にお任せ・・・ということか。

 

イーストウッド監督、今回も、いい映画でした、さすが! 、まだまだ元気に映画を撮り続けてほしい、と願っています。

 

 

 

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