Kororon 映画について語るBlog

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映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」 その3  ディーン・フジオカ   岩田剛典 主演

【映画ノベライズ】小説 バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 (宝島社文庫)  バスカヴィル家の犬 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫)

 

 

映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」、第3回目を鑑賞してからしばらくが立ち、第4回目行きたいなあ、まだ、上映しているかなあ…と思いながら、上映館検索してみれば、残念ながら上映館は限られ、足を運ぶのは大変そう。ということで、今回は、遅ればせながら、第3回鑑賞をしてからの、考察(?)を行いたいと思います。3回目ともなると、もう書くことないのではないでしょうか、と思われる向きもあるかと思う、それは確かにそうなのだが、シャーロック・ホームズファンとしては、観るたびごとに、些細なことに引っかかり、些末なことから、様々な事柄を関連付けて推察することが、又、楽しみでもあり、今回も気が付いたこんなこと、あんなこと、について記してゆこうと思う。

 

今回はこんなことから。映画の中で登場人物達はよく眠る、居眠りしたり、ぐっすり眠ったり。そもそも事件の発端となったのは、疲れたために、ついついうとうとしてしまった、ということではないのか。居眠りしたからどうなるのか、というのは、もちろん映画を観てほしい。また、ぐっすり眠ってしまったために、人を死なせてしまったとか、人を殺さずに済んだとか、というところにも ”眠り“ はかかわってくる。これも、どんな時に誰がぐっすり眠ってしまうのかは、映画を見てみよう。

 

コナン・ドイル原作のホームズ物語で ”眠る“ であるとか ”ぐっすり眠る“ と言って思い出すのは、「シャーロック・ホームズ 最後の挨拶」に収録されている「フランシス・カーファクス姫の失踪」というエピソードであり、このエピソードでは、ある人がぐっすりと眠らされてしまう、しかも、クロロフォルムや麻酔剤といったものによって。そして、これが事件と大きくかかわってくるのだが、はたして、”眠る“ ということだけが映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」とドイル原作のエピソード「フランシス・カーファクス姫の失踪」と関連するところだろうか。

 

いや、いや、注意深く原作を、つまり ”正典“ を読み解くならば、まだまだ興味深い点がみられる。前回の映画評「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 その2」で、原作、映画共にホームズとワトソン、獅子雄と若宮君は、それぞれ別行動をとっている、と書いた。実は、この、「フランシス・カーファクス姫の失踪」においても、物語の初め、ホームズとワトソンは別行動をとっている。ホームズは例によって、ロンドンを離れられないと言ってワトソンを現地に行かせるのである。

 

また、「フランシス・カーファクス姫の失踪」において、或る身体的特徴が犯人特定の手掛かりとなる、では、映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」では?それは言うわけにはいかないので、映画を観て確かめてみよう、が、映画では実に巧みにこのことがパロディされている、と筆者は感じた。さらに、「フランシス・カーファクス姫の失踪」では、姫を熱愛する男性の登場となる。姫を守り救うべく、この男性は一生懸命だ。映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」においても、姫(?)を愛する男性が登場しなかったであろうか。

 

そして、映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」、ドイル原作の小説「バスカヴィル家の犬」、そしてこちらもドイル原作の「フランシス・カーファクス姫の失踪」、この3作において、犯人の運命の結末は? 法の裁きの手にゆだねられるか、それとも、法の目をかいくぐって逃げおおせるのか、いや、また別の運命か。

そこのところは、やはり映画を最後まで観て、原作を最後まで読んで、確認してほしい、興味深いことが分かると思う。少なくとも、筆者には、ホームズファンには、実に興味深かったけれど。

 

映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」において、監督が果たして「フランシス・カーファクス姫の失踪」のパロディまでも意図していたのかどうかは筆者にはわからないが、シャーロキアンという”人種“ は、こんなふうにホームズ物語と関連があるとなると、こうなんだろう、ああなんじゃないか、などなど、果てしなく探求してしまいたくなる習性を持っていのです。

 

というわけで、今回は、映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」とドイル著「フランシス・カーファクス姫の失踪」について、考察してみました。それにしても、映画の上映が終わってしまうのは悲しいかぎり。

 

TVドラマ「シャーロック」の続編を切に願いながら、今回は終わりです。

 

 

 

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映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」 その2      ディーン・フジオカ   岩田剛典   主演

 

バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 (オリジナル・サウンドトラック)

バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 ボールチェーン付ぬいぐるみ 全4種セットシャーロック劇場版 バスカヴィル家の犬 ボールチェーンぬいぐるみ 若宮潤一

 

 ※注※ ファンお気に入り、ルーティンについて触れている箇所あり

 

「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」の鑑賞、2回目、2回見て今回はこの映画の見どころについて考えてみた。やはり、なんといっても一番の見どころは、誉獅子雄と若宮潤一、この二人の絶妙のバディ関係を観ることができる、ということに尽きる。TVドラマ「シャーロック」を見ていない方には、残念ながらこの二人のやりとり、ちょっとした些細な行動、大胆に見せてくれる行動、などなど、特別に魅力的に感じられないかもしれないのだが、TVドラマ「シャーロック」のコアなファンにとっては、二人のすべてのシーンがTVドラマでのバディ度とシンクロして、嬉しくなるのである。

 

例えば、TVドラマ「シャーロック」では、毎回のお約束事のように若宮君が熱いお湯を体のどこかにかぶってしまい,“アチッ” と叫ぶシーンがあった、映画ではどうだろうか? また「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」では、若宮君が ”そんな顔してもダメだよ“ とつぶやく場面がある。誰に、どんな状況でつぶやくのかは映画を観てほしいが、これらがどんな意味を持っているのか、TVドラマ「シャーロック」のファンであるならば、たちどころに理解して、あるシーンを思い出し、一人ニヤニヤするところなのである。これらは、映画の中にちりばめられているルーティンのほんの一部であり、ファンは劇中のありとあらゆるルーティンに、もちろん、気づいて、またしても愉快になるのである。

 

日本のTVドラマ「シャーロック」だけではない。シャーロック・ホームズのコアなファンであればあるほど、もう一つの「シャーロック」、イギリスはBBCの、ベネディクト・カンバーバッチがホームズ役であった、あの「シャーロック」からも、あれはあのパロディ、あのシーンはあそこパロディしてる、などなど、BBC「シャーロック」からも、いくつも楽しいサービスがちりばめられていることに気づき、嬉しくなる。もちろん、それらを全て書き出すことはできない。なので、お勧めしたい、「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」を見に行く前に、DVDでも、Blu-rayでも何でもいいから、BBC「シャーロックの」シーズン2のエピソード2「バスカヴィル家の犬」をとことん観てから日本の劇場版「シャーロック」を見に行くことを。

 

そして、獅子雄は単独行動が多いなあ、と思う方は、さらにコナン・ドイル原作の小説「バスカヴィル家の犬」をしっかり読んでから、映画を観るといいのではないか。”読んで“ガッテン、になると思う、筆者はつぶやく、しかたないんだよ、物足りなくてもさ。以上述べてきたように、映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」には、ホームズのコアなファンであればあるほど、言い換えるならば、熱烈なシャーロキアンであればあるほど、映画の見どころは山ほどあるということになる。そんな映画を作ってくれた監督に感謝。もちろん、これらの ”お宝“ に気づかなくても、この映画を楽しめるのではあるが、それではあまりにもったいない、そんな気がするのでした。

 

二つ目の見どころ、実に、実に、短いコメントで恐縮してしまうくらいなのだが、それは、後半、犯行の動機について、その経緯を語る部分。結構長い回想シーンなのであり、この部分はこの部分だけで一つのドラマとなるのではと感じる。劇場版の大きな見どころであり、ホームズファンではない観客をも惹きつけるポイントとなるのではないだろうか。シーンは長い、コメントは短い、でした。

 

繰り返すが、今回の映画評の大部分を占めた、獅子雄と若宮君の絡みのシーンは、TVドラマ「シャーロック」を知っているファンにとっては、この上ない魅力。そうでない、鑑賞者にはどう映っているのだろうか。ここら辺が、この映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」の正念場ではないかと感じる。シャーロック・ファンはもちろん惹きつけられる。特にファンというわけではない観客をいかに惹きつけられるか、ぜひ、ぜひ、頑張ってほしい。「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」の健闘を心から祈る次第。

 

 

 

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映画「バスカヴィル家の犬  シャーロック劇場版」 ディーン・フジオカ、 岩田剛典  主演

【映画ノベライズ】小説 バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 (宝島社文庫)

 

※注※  獅子雄の衣装についてのコメントあり

 

TVドラマ「シャーロック アントールドストーリーズ」のファンが待ちかねていた映画、「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」が、封切られて半月余りがたとうとしている。TV版「シャーロック」のファンであった筆者も、すでに観に行きました。中には、すでに、何度も何度もリピートして、両手の指では数えられないほど、この映画を観ているファンもいるらしい。筆者はまだ、一度のみの鑑賞であるが、いずれまた観に行こう!

 

映画の冒頭、さっそく若宮君の顔がスクリーンいっぱいに映し出され、事件解決の依頼をされているシーンを見た時には、涙がでそうになるほどうれしかった、ちょっとおおげさ? パソコンの画面を通しての依頼人とのやりとり、若宮君はしきりと横を向く、隣には、もちろん、獅子雄がいる。そして、案の定、獅子雄がパソコン画面に映し出されるというオープニング。獅子雄は、TVドラマとは異なる、ずいぶんサイケデリックなガウンを着ている。

 

随分派手じゃないか、と思うのだが、このサイケデリックに派手なガウンの色合いは、もしかしたら、TVドラマ「シャーロック」のDVDやBlu-rayのカバー、そして、TV版のポスターのあの、空と高層ビルがミックスしている、あの色合いではなかろうか、と筆者は思った。冒頭から見せてくれるなあ、とファンとしてはうれしくなる。

 

この映画での獅子雄の衣装はさらに注目すべきものがある。島に到着した当初は、この映画のポスターにもあるようにネクタイなどして黒色で身を固めているのだが、映画途中から衣装が変わる、後半ずっと、この衣装。体がすっぽり包み込まれるような毛糸の長くてダブダブの分厚いカーデガンとでも言おうか、それに、黒っぽいマフラーを無造作にまいて、色合いは、薄めの茶色、あのダボダボ感、どうも、インバネスコートに見えて仕方がなかった。もしかしたら、ホームズおなじみのインバネスコートをイメージして、獅子雄に着せたのか、と、感じてしまった。

 

そして、やはり、TVドラマとは異なる獅子雄のあのボサボサのヘアスタイル。あの、獅子雄の眉毛まで隠して、獅子雄の額全体を覆うボサボサ感、あれは帽子か?! 帽子の代わりか!? ディアストーカーのつもりか!? 少々、無理がある? 考えすぎかしら。とは思っても、ここに至り、獅子雄は、まさに、コナン・ドイル原作のシャーロック・ホームズとなり、獅子雄のイメージはいやがうえにもシャーロック・ホームズのイメージと重なるのでした、ホームズファンにとっては。

 

そして、最後に、再び、サイケデリックに派手なガウンで登場の獅子雄。思うに、これだけ、シャーロック・ホームズファンへのサービスと、TVドラマ「シャーロック」へのオマージュがちりばめられているということは、もしかしたら、TVドラマ「シャーロック」の続編が実現するのかもしれないという期待を感じずにはいられない筆者。他にもまだまだ、触れたいことは山ほどあるが、今回は、劇中で獅子雄がまとう衣装、というい観点から考察してみました。そして、また、映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」を観にいこう!と、心もウキウキしてくるのでした。まだ未見の方は、ぜひどうぞ!面白いです!!!

 

 

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映画「トップガン マーヴェリック」  トム・クルーズ 主演

トップガン マーヴェリック:オリジナル・サウンドトラック (デラックス・エディション)(限定盤)(特典:なし)

 

 

この映画の見どころは数あるが一番にあげるとするならば、やはり、ラストにかなり長く続く戦闘機バトルだろう。思わず、手に汗握る場面あり、ハラハラする場面あり、ドキドキする場面あり。一難去って、また一難、そしてまた一難、これで終わりだろうな、と思わせておいて、又、次の危機が来る。やっぱり、この映画の中で一番の見せ場、トム・クルーズはすごかった。

 

トム・クルーズ演じる、マーヴェリックの上司や、彼が教える生徒たちもいい。また、マーヴェリックが年を重ねた分、語るべき物語もできたというわけで、前作の映画「トップガン」よりも、ストーリー的にも厚みができて、戦闘機アクションだけではない映画、といえるのではないだろうか。そして、結局のところ、この映画はどこを取って見ても、トム・クルーズトム・クルーズによる、トム・クルーズのための映画と思える。

 

筆者は、戦闘機とは縁がないが、それでも、以前、在日米軍横田基地を訪れたことがあり、Twitterにも一部写真をアップしてみたが、本物のアメリカ軍の、あれは戦闘機であったのかどうかも区別がつかないような飛行機素人であるが、初めて入ったコックピットと、そこにひしめく計器に目を見張り、感動した覚えがある、上空を飛ぶ飛行機から、パラシュートで落下してくる、というデモンストレーションなんかもあった。

 

欲を言えば、映画「トップガン マーヴェリック」にでてくるような、最新式の戦闘機を見てみたかった、が、そういう飛行機は見せてくれないのだろうなあ、と思ったりもする。それなら、タッチ・アンド・ゴーの訓練しているところとか見たかったな、と感じるが、こういった訓練もなかなか見ることはできないのだろうなあ、とまたしても思ったりする。Military Working Dogという、ジャーマン・シェパードなどもいたりして、軍隊でのお勤めご苦労さん、と声をかけてあげたくなってしまった。

 

映画を観ていて、また一つ気が付いて面白かったのは、”トップガン“の物語ではあれだけ戦闘機が飛ぶのに、空軍ではなくて海軍の物語ということだ。関連ホームページによると、公式の自衛隊アメリカ海軍のTwitterでビシバシとこの点を、発信していたとか、果ては、フランスやカナダの海軍のTwitterまで参戦して、熱い ”舌戦バトル“ が繰り広げられたとか、映画も面白かったけれど、こちらの記事も面白かった。

 

また、敵のウラン濃縮プラントを攻撃する際の映像は、映画「スターウォーズ エピソード4 新たなる希望」でのラスト近くで、ルーク・スカイウォーカの搭乗機も含む、X-wing戦闘機が、帝国軍のタイ・ファイターの攻撃をかわしながら、デス・スター破壊に挑むミッションのシーンを思い出させた。

 

さらに、映画の予告編によると、新作、映画「ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング パート・ワン(Mission Impossible – Dead Reckoning Part One)」も、公開まじかのようだ。パート1とあるのだから、きっと、パート2もあるのだろうな、と期待は膨らむ。

 

というわけで、映画「トップガン マーヴェリック」、若手俳優には負けない圧倒的な存在感で、トム・クルーズが大スターぶりを見せてくれると言ってもいい映画であると感じる。もちろん、トム・クルーズ以外の出演者も映画を盛り上げてくれている、彼らとトム・クルーズのコラボが成功しているのではなかろうか。

以前に比らべるならば、多少老けた感は否めないのは仕方がないが、トム・クルーズ、がんばっているなあ、そして、やっぱり凄い! と思った次第。ぜひ、おススメの映画です。

 

 

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映画  ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密 : 悪くないけれど残念な映画

ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密 (輸入盤 帯付国内仕様 超限定数通常プレス)

 

J・K・ローリングハリー・ポッターシリーズが好きであるなら、また、ハリー・ポッターシリーズのファンであるなら、さらに、USJへ行って、ハリー・ポッターの世界を楽しんだ人ならば、きっと映画「ファンタスティックビースト」シリーズも楽しめるのではと思う。映画「ファンタスティックビースト」シリーズは、ハリー・ポッターが活躍したのと同じ魔法の世界が舞台であるが、ハリーが活躍した時代よりも数年時をさかのぼる。お馴染み、ホグワーツの校長、ダンブルドアや、魔法省なども登場する、ハリー・ポッターのファンにとってはうれしいところ。

 

今、映画のタイトルを「ファンタスティックビースト」として、「ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密」としなかったのには理由があり、魔法生物学者のニュートが活躍し、魔法界の生物、動物がふんだんに登場するこのシリーズ第一話「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」が筆者の一番のお気に入り、第二話「ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生」になると話が暗くなってきて、今回取り上げる第三話「ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密」では、ニュートと魔法界の動物たちの活躍は影を潜め、メインの活躍、映画の前面に出てくるのは、ジュード・ロウ演じるダンブルドアと、ダンブルドアと“血の誓い”で結ばれた、黒い魔法使い、ジョニー・ディップが演じるはずだった、グリンデンバルドの二人、ニュートと魔法界の動物たちの出番が減った分、映画「ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密」の満足度も減ってしまい、映画「ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密」には、少々? いや、かなり? 不満があるという次第。

 

グリンデンバルドをジョニー・ディップが演じていたならまた違っただろうな、と思ったりもする。ジュード・ロウ、ジョニー・ディップ、2大ハリウッドスターのバトルが中心に据えられるシリーズ第3作目として。ジョニー・ディップは裁判には勝訴したとはいえ、彼がグリンデンバルド役を下りたことは仕方のないこと、と思うことにしよう。

 

映画「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」のところでも書いたのだが、映画の登場人物、ニュート・スキャマンダーには彼が活躍する小説としての物語があるわけではない。あるのは、「Fantastic Beasts & Where to Find Them」(魔法の国の動物とその生息地)という、彼が著したとされる本のみである。その本の中には数多くの魔法の国の動物について触れられているのだが、その中の一つに、今回大活躍する、木の枝のような魔法生物、ボウトラックルについての記述もある。(以下原文)

 

・・・・・The Bowtruckle, which eats insects, is a peaceable and intensely shy creature but if the tree in which it lives is threatened, it has been known to leap down upon the woodcutter or tree-surgeon attempting to harm to home and gouge at their eyes with a long, sharp fingers.  An offering of woodlice will placate the Bowtruckle    long enough to let a witch or wizard remove wand-wood from its tree.

 

“著者ニュート” によると、“ボウトラックルは昆虫を食し、おとなしくて、極度にシャイな生物であるのだが、すみかとしている木が切り倒されんとするならば、その木こりたちに襲いかかり、長くて鋭い指でもって、彼らの目玉をえぐりだそうとする。”  とある。自身の家と家族を守るためならば、かなり狂暴に敵に襲いかかるようである。そして、さらにニュートは著す。“ワラジムシを与えるならば、魔法使いがそのすみかとする木から、魔法の杖を作ることすら許してくれる。” とある。

 

たった、これだけの記述から、ファンタスティックビーストの世界、ニュートという人物、そして、魔法界の生物が活躍する世界をスクリーン上に創りだした J・K・ローリングの想像力には驚きと称賛ばかりなのだが、その想像力が冴えに冴えているのは第一作目の映画「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」であり、今回の映画「ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密」においては、悪くはないと思うところもあるのだが、特に後半のシーンにおいては、その想像力も少々迷走してしまったのでは、と思わずにはいられないのである。

 

というわけで、ニュートと彼の愛する “ファンタスティックビースト” たちは、魅力的で常に心惹かれる存在なのであるが、以上述べた理由により、今回は、悪くないけれど残念な映画、としたいと思う。

 

 

 

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映画「あの夏、いちばん静かな海」    真木蔵人 主演/  北野武 監督

あの夏、いちばん静かな海。 [Blu-ray]

 

日差しは次第に強くなり、空と海の青がますます鮮やかになる季節、夏はすぐそこまで来ている。そんな夏になれば、青い海原をもとめて、人は海を目指す。かくいう、我々も海水浴、マリンスポーツといって、海へ向かって、車で、列車で、歩いて、走って、繰り出すのではなかろうか。この映画は、そんな海のスポーツ、サーフィンを愛する若者の物語であり、その主人公となる若者は口がきけず、耳が聞こえないという障害を持った、男女二人であり、彼らを取り巻く人々もこの物語になんとも言えず良い色どりを添えている。

 

北野武監督の映画「あの夏、いちばん静かな海」はサーフィンに夢中になる障害を持つ若者と、その恋人の映画。口がきけず、耳が聞こえないとあれば、すぐにひらめくコミュニケーション手段は手話である。が、この映画の中で主人公たちは、手話らしい手話はほとんど使わない、彼らを取り巻く人々も使わない。が、それでも、主人公二人、彼らと彼らを取り巻く人々、そして、映画を観ている観客とは不思議と意思疎通が叶い、観客は主人公二人の考えていること、感じていること、伝えたいと思っていることなどを理解して、映画は進行していくのである。

 

聴覚に障害を持つ人々を登場させた映画、最近では、まず数々の賞を受賞した日本映画「ドライブ・マイ・カー」、そして、アカデミー賞作品賞を獲得した映画「コーダ あいのうた」がすぐに思い出されるのではなかろうか。この2作品においては、コミュニケーション手段として手話がふんだんに登場して使われる。言い換えるならば、よくおしゃべりする、と言えなくはないか。これらと対照的に、映画「あの夏、いちばん静かな海」での主人公二人はおしゃべりしない、静かなのである、静かに思いを伝えてくる。

 

映画「コーダ あいのうた」は未見だが、これらの作品に共通することは、登場人物の障害者に対して、思いやりはあれ、変に同情することなく、淡々と接し、登場人物達がいい関係にあることではないのかと感じる。映画「あの夏、いちばん静かな海」では、ところどころに小さなギャグもあって笑いを誘う。

 

また、先にも書いたが、この映画では、主人公の青年が夢中になるスポーツがサーフィンだ。サーフィンを扱った映画と言ってすぐに思い出されるのは映画「ビッグ・ウェンズデー」であり、こちらはカリフォルニアの海辺で ”ビッグ・ウェンズデー“ と言う大波に挑戦するサーファーたちを描いた映画である。一方、映画「あの夏、いちばん静かな海」の海は日本の海であり、映画「ビッグ・ウェンズデー」のような世界最大の波が登場するわけでもない。が、映画に登場するサーファーたちは実に楽し気にサーフィンをする、サーフィンの大会、サーフィンのテクニック、技についても織り交ぜて、主人公の若者以外の人々もサーフィンに巻き込んでいく、ここら辺の描写、愉快で楽しい。

 

音楽、健常者役の俳優による数少ないセリフ、海の波の音、スクリーンから聞こえてくる音はこれだけだ、どれほど ”静か“ な映画であるか想像してみてほしい。これから迎える暑い夏、一足先に夏を迎え、海に足を運び、サーフィンを楽しみ、クスリと笑い、優しい気持ちになってみてはいかがだろうか。北野監督作品の中でも、好きな作品の一つに入るこの映画、ぜひ、どうぞ!

 

 

 

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映画 ドライブ・マイ・カー    濱口竜介 監督  西島英敏 主演

ドライブ・マイ・カー インターナショナル版

 

ウィル・スミスの司会者平手打ち事件で、或る意味話題をさらった第94回アカデミー賞の授賞式であった。さらに、日本からも映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞をはじめ4部門にノミネートされた、ということで話題になった。結果は、作品賞は映画「コーダ あいのうた」、映画「ドライブ・マイ・カー」は国際長編映画賞を受賞した、まずは祝福を送りたい。

 

映画「ドライブ・マイ・カー」において、ストーリーは淡々と進行してゆく。主人公の家福は奥さんに裏切られ、奥さんに死なれてしまった舞台の演出家で、彼の演出する演劇は    ”多言語演劇“と言うらしい。言葉の異なる様々な国の人々が、一つ舞台にたち、一つ芝居を演じるというスタイルで、観客には字幕付きで日本語以外のセリフの内容を伝える。その中には、手話によりセリフの翻訳も含まれる。映画が始まって最初の内は、家福が演出しているこの”多言語演劇“ がピンとこない。ゆえに、家福が自宅と職場を往復する車の中で、カセットテープに吹き込まれたセリフを聞き続けている意味もピンとこない。が、映画が進行するにつれて、この二つのことは自然と納得できるようになる。

 

映画は演劇祭で上演される予定の”多言語演劇”の練習風景、演目はロシア人作家チェーホフの「ワーニャ伯父さん」、の練習風景が描かれる、そして、並行して、オーデションを勝ち抜いた出演者たち、家福が職場と仮の宿を行き来する車を運転する女性ドライバー、そして、家福自身のそれぞれのエピソードが語られる。時に、芝居の中の一シーンとそのセリフが家福の現実と重なって、家福を苦しめもする。

 

淡々と進行する物語の中で、徐々に明らかになってゆく”多言語演劇“ の練習風景や、日本語、韓国語、手話などが入り混じったセリフで進行してゆく演劇に、以外にも引き込まれる。割と長めの映画、登場人物各人にドラマがあるとはいえ、派手さはなく、どちらかと言うと、地味に粛々と語られていくストーリー。なのに、最後まで飽きさせることなく、この映画を観させてくれるパワーはどこにあるか? そう思った時、登場人物各人のドラマもさることながら、それがこの”多言語演劇“ による「ワーニャ伯父さん」の練習風景ではなかろうか、と思い当たった。

 

そして、映画のラスト近く、演劇祭の舞台の上でソーニャが手話によってワーニャ伯父さんに語りかけるシーンが感動を呼ぶ。言葉ではなく、手話で語りかけるという演出に新鮮さとソーニャのさらなる優しさと明るさと強さすら感じるシーンではないかと思う。

 

作品賞は、惜しくも映画「コーダ あいのうた」にさらわれたのであるが、映画「ドライブ・マイ・カー」がとってもいいんじゃないかなあ、と筆者は思っていた。映画「ドライブ・マイ・カー」では、文化、言葉の異なる者、障害を持つ者との交流が演劇という媒体を通して描かれていた。一方、まだ未見ではあるが、映画「コーダ あいのうた」は、何年か前のフランス映画のリメイクで、障害を持つ家族と、その中でただ一人健常者である少女との家族の絆を描いた作品であるようだ。どちらの映画も手話を用いてコミュニケーションすることが一つのテーマにもなっている映画である。映画「ドライブ・マイ・カー」のほうは、あくまでストイックに、映画「コーダ あいのうた」のほうは、どちらかというと、ドラマチックに、明るく “多言語” でなされる日常を描いている、と思える。

 

いずれにしても、「ドライブ・マイ・カー」はいい映画であり、”多言語演劇“ という形態の演劇は、新鮮であり、”多言語“ であるだけに、言葉だけでなく手話までも取り込んで、出演者が一つの舞台を完成させていく、と言うところは興味深かった。そして、ラストは‥‥これは、映画を鑑賞している人の想像におまかせ、ということかな‥‥。

 

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映画 ウエスト・サイド・ストーリー    スティーブン・スピルバーグ監督

ウエスト・サイド・ストーリー (限定盤)

 

 

60年ほど前に作られた映画「ウエスト・サイド物語」がお気に入りであり、当時、シャーク団のリーダー役を演じた、ジョージ・チャキリスのダンスと、その恋人を演じた、リタ・モレノのダンス、ジェット団が踊って歌う ”クール“ 、映画の冒頭彼らが鳴らす指の音、ナタリー・ウッドとリチャード・ベイマ―の歌う ”トゥナイト“ 等、映画全編に満ち溢れる、60年前とは思えぬスタイリッシュなダンスと歌に魅せられて、圧倒されて、映画「ウエスト・サイド物語」の虜となった筆者ですが‥‥ちょっと褒めすぎ? ナタリー・ウッドやリチャード・ベイマーの歌は吹替であったし‥‥。

 

ロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンズ監督の映画「ウエスト・サイド物語」が最高、と思い、映画からミュージカルへといざなわれた者にとって、スティーブン・スピルバーグがこの名作「ウエスト・サイド物語」をリメイクするというニュースを聞いたとき、誰がどう作ってもオリジナルの映画を越えることはできないだろう、スピルバーグもとうとう新作のネタ切れして昔の名作をリメイクするか…などと思っていた。とはいえ、スピルバーグも巨匠、あのスピルバーグが古典的名作をどう料理したのかは、やはり気になるところ。また、映画が公開されてみれば、聞こえてくる声はいずれも悪くない評価、それなら、ひとつ、見てみようかな、スピルバーグ版「ウエスト・サイド物語」、ということで、日差しもまぶしい晴天の或る日、冬の日差しに誘われるようにして映画館へと足を運ぶこととなったのでした。

 

そして、観ました、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」。悪くなかった、いや、期待していた以上によかった、楽しめた、さすがスピルバーグ、と脱帽。原作の良いところは引き継ぎ、原作と異なる演出をしてオリジナリティーをだし、”スピルバーグウエスト・サイド物語“ の世界を作り上げたというところ、あっぱれ! かな。

 

例えば、映画の冒頭、上空からウエスト・サイドの街をとらえて、しだいに下降してゆくシーン、あたりまえだけれど違う、時代に即していて、現実味を帯びている。そこから、リフがペンキ缶をもって、指を鳴らしながら仲間を誘ってプエルトリコ人たちの住居へとやってくるときに見せるダンス、冒頭からキレッキレのダンス、カッコよかった。

 

また、”クール“ が踊られるシーン、オリジナル版映画ではリフが刺された後にジェット団みんなが倉庫で踊る、”頭を冷やせ、落ち着け、クールになれ“ と歌いながら、こちらはこちらで迫力満点、実に ”クール!“ だった。スピルバーグ版では、トニーがリフの持っていたナイフを取り上げて、それを奪い返そうとするリフ、トニーとリフの二人がメインとなって、これもまた、二人のキレッキレのダンスというか、パフォーマンスを見せてくれる。ここもスクリーンに釘づけ! と言える ”クール!“ なシーン。前作やミュージカルと違った見事な演出、魅せられました。

 

もちろん、これだけではなく、”アメリカ“ 、”トゥナイト“ 、”マリア“ 、ダンスパーティーのシーン など、オリジナルの曲が相変わらずいいのはもちろんですが、スピルバーグの演出は冴えていた。また、キャスティングもよかったのではなかろうか、特に、シャーク団にラテン系の俳優をキャスティングしたことは。さらに、トニーが働いているドラッグストアの店主に、リタ・モレノという、粋なキャスティングはオリジナル版映画を知る「ウエスト・サイド物語」ファンにとっては、うれしいキャスティングではなかろうか。

 

ここまで、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」を褒めてきたが、もちろん、オリジナル版「ウエスト・サイド物語」を越えた、とは言わない。オリジナル版を越えることなんて、できっこないよ!と、筆者は言いたい。超えたのではなく、また別の秀逸な物語ができた、と考えたい。

ただ一つ、残念かな、と思われたのは、ジェット団のメンバーのアクションやアイスがそれほど個性的に描かれていず、誰が誰だか区別のつきにくかったことだろうか。オリジナル版ではもう少しキャラ立ちしていたと思う。

 

とにかくも、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」、なかなか良い、オリジナル版と合わせてお勧めです。もしも、見るならば、オリジナル版、スピルバーグ版、どちらも見ることをおススメしたい。素敵なひと時を過ごせると思います!

 

ウエスト・サイド物語 [Blu-ray]

 

 

 

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映画「やさしい本泥棒」   ブライアン・パーシヴァル 監督

やさしい本泥棒 (字幕版)

 

 

本が好き、いつでもどこでも自由に買えて、好きな本が手にはいり、好きなだけ、好きな時に読める…今、あたりまえのことすぎて、この幸せが何か特別なことのように思う人は、世の中少ない、いや、当たり前すぎて、特別なことと考えることもないだろう・・・・そんなことを思ってしまう、この映画を観終わると、

 

その昔、秦の始皇帝、また、毛沢東の時代、焚書によって、数々の本が焼かれてきた。レイ・ブラッドベ著「華氏451度」では本の所持や読書が禁じられるという世界、やはり、本は燃やされた。「華氏451度」はフィクションであったけれど、現実の世界でも第二次世界大戦中のドイツにおいて、焚書が実行され、この映画「やさしい本泥棒」ではドイツのある広場にうずたかく積まれた本の山に火が放たれ、本の山が無惨にも燃えていくシーンというのがあった。映像によるフィクションのシーンであるのだが、実に胸の痛むシーンと感じられる。

 

この映画の主人公リーゼはそんな燃えてしまう本の中の一冊を拾い出し、火傷しながらも、コートの内に隠す、それほどまでに、本に、活字に、すなわち、知識への渇望が強烈な少女。映画の初めには、リーゼは字が読めず、字が書けなかった。文字を学びたくとも、テキストとなる本がなかった。そんな恵まれぬ環境にいながらも、リーゼの努力は続く、そして、やがて彼女は、彼女自身が読み書きできるようになるのはもちろん、そのことによって、他者をも救うことができるまでに成長する。

 

この映画は第二次世界大戦中のナチスドイツの国と、その国に住む住人たちの物語でもあり、その住人の一人、リーゼという少女の生活と成長の物語でもあり、容赦のない戦争の無惨さ、残酷さの物語でもる。もちろん、映画のタイトルにもある通り、リーゼと本とのかかわりがこの映画の核を流れるストーリーではあるのだが、それだけではないこの映画。リーゼを取り巻く人々もまた、リーゼの生活に彩を添える。リーゼの養父母に始まり、学校での友人、リーゼの家に転がり込む居候、市長の奥さんなどなど、戦時下の重く息苦しい生活の中でも、時にユーモアすら感じさせて、生きていく姿がある。これも、この映画の魅力の一つ。

 

が、監督は残酷な運命をこの映画に用意している。日本人にとって、それは、原子爆弾を落とされ、一瞬にして日常を奪われた日本の長崎と広島の経験を思い出させるかもしれない、東京大空襲と言ってもいいかもしれない。また、「アンネの日記」を思い起こさせるシーンなどもある。焚書に、迫害に、恐怖に、残虐に・・・と、戦争にまつわる “負” の側面を戦時下のドイツに暮らす人々の生活の中に描き出す。

 

第二次世界大戦ナチス・ドイツが舞台、まさにナチスが支配するドイツで暮らす人々の生活を描いた映画で筆者が一番直近で観たものには「ジョジョ・ラビット」<映画  ジョジョ・ラビット - Kororon 映画について語るBlog (hatenablog.com)>があり、「ジョジョ・ラビット」もいい映画だった。今回の映画「やさしい本泥棒」も久しぶりにいいドイツ関連の映画を観たと思う。

 

この映画は、日本では2014年に劇場公開される予定であったが、中止となったという映画である。もったいないような気がする、残念だ。DVDやBlu-ray はあるようなので、ぜひ一度、鑑賞することをお勧めしたい! 戦争の残酷さに頬を張られるようなシーンもあるのだが、リーゼと彼女を取り巻く人々のストーリーはしみじみといい話、でした。

 

 

 

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映画「山猫」 バート・ランカスター  アラン・ドロン 主演/   ルキノ・ヴィスコンティ 監督  :悪くないけれど残念な映画

山猫 (ヴィスコンティ秀作集 (3))

 

ルキノ・ヴィスコンティの映画「山猫」では、イタリア統一戦争をきっかけとして、没落し、消滅していく貴族の社会と、貴族に変わって台頭していくであろう新しい世代が、交錯する時代を描く。没落していく貴族世界の代表をバート・ランカスターが、新しく台頭していく世界の代表をアラン・ドロンがそれぞれ演じる。アメリカとフランスの2大スターの華麗な共演が観ることのできる映画。もっとも、アラン・ドロンはこの時のギャラがバート・ランカスターに比べて低い、ということでヴィスコンティにクレームをしたところ、以後、ヴィスコンティとドロンは不仲になってしまった、ということらしい。同じくヴィスコンティの映画「若者のすべて」で、あれだけ美貌のアラン・ドロンを見せてくれたヴィスコンティなのに、以後ヴィスコンティの作品にアラン・ドロンは出演していない、もったいない(?)かぎり・・・。

 

さて、映画「山猫」では、没落していくのであるが、華麗で、華やか、優雅でもある貴族社会がたっぷりと描かれる。特に、後半、イタリアはシチリアでのガンジー宮殿でロケがなされた舞踏会のシーンは、貴族が権勢を振るっていた頃の、華やかさを見せてくれるのである。ただ、映画で描かれているのが、没落していく貴族たちの最後の輝きであると理解するとき、その華麗さは死にゆく者が、最後にその力を振り絞って、一瞬見せてくれる、生命力の輝き・・・と思わざるを得ない。

 

映画「山猫」で舞踏会が行われた、このシチリアガンジー宮殿は、実のところ個人の所有する宮殿であり、今も、イタリア貴族の末裔が、結構莫大な私財を投じて、修復、改修をしたりしながら、この宮殿を守っている。貴族も現代の世を生き延びて、代々受け継がれる城や宮殿を守っていくのは随分苦労のいることらしい。また、アラン・ドロンは5年前にこの映画「山猫」がロケされた、ガンジー宮殿を訪れた際、ガンジー宮殿の美しさに感動し、もしかしたら、映画ロケの時の思い出なども思い出されたのか、涙を流していたという。

 

そんなアラン・ドロンであるが、映画「山猫」では、バート・ランカスター演じる貴族、サリーナ侯爵の甥、タンクレディを演じている。バート・ランカスター演じるサリーナ侯爵は、激動するイタリア社会にあって、世渡りが下手で、自身の貴族という殻を打ち破ることはできず、時代の流れとともに滅びゆく道を選ぶ。一方、甥のタンクレディのほうは、映画の当初は、イタリア統一運動の旗手、ガリバルディの軍隊に合流していて、ガリバルディ将軍と懇意にもしていた、が、新しい国王の政権が誕生すれば、すぐにガリバルディの元を離れ、政府軍に合流する。時勢、機を見るのに素早く、伯父のサリーナ侯爵とは正反対、と言ったところだが、侯爵はこの甥を愛している。

 

また、タンクレディと恋人のアンジェリカが二人して、人目を忍び、サリーナ侯爵の屋敷の中を、あちらの部屋、こちらの部屋へと移りながら、二人きりの時を楽しむシーンでは、当時の貴族の屋敷の広さを実感させてくれる。また、戦時中なのに、馬車を連ねてピクニックに行く優雅さ、そんなシーンを始め、貴族の生活とはかくあるものであったか、と思わせてくれる映像で溢れる。

 

また、この映画と合わせてNHK「貴族からの招待状」という番組を見ることができるならば、過去、及び、現在にも存続するイタリアの貴族の生活や、苦労をうかがい知ることができるのではないかと思う。映画「山猫」は、そんなイタリア貴族について知るのには、いい映画かもしれない。ただ、少々長い、ヴィスコンティの耽美的世界が気に入ればいいかもしれない、そうでなければ、もしかしたら、長いだけあって、少々退屈を感じるかもしれない…。ということで、久しぶりに、悪くないけれど、残念な映画としようと思う。

 

 

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