[2020,10,29に、シリーズ第一作め、映画「ジョン・ウィック」についての記事もあります。こちらもよろしければどうぞお立ち寄り下さい。]
(ネタバレあり)
映画「ジョン・ウィック:コンセクエンス」を観た、ジョン・ウィックシリーズの4作目、今回もひたすら血なまぐさく残虐な殺し合いが延々と続く映画であるのだが、キアヌ・リーブスが主演をしているという理由だけで筆者はシリーズ全作品を観ており、今回も映画館へ足を運んでの鑑賞、キアヌ・リーブス推しでした。
今回の新作はたっぷり3時間の長編、観客は3時間もの長時間にわたって殺戮バトルシーンを鑑賞することになる。そんな延々殺し合いシーン満載の映画なのだが、不思議と最後まで画面に釘付けで鑑賞できてしまうのが不思議、だが正直に言うと、筆者はジョンがルスカ・ロマを訪ね、その後に続くナイトクラブでのバトルシーンには少々退屈を感じてしまった。それでも、観客の集中力を萎えさせないようにと映画全編の殺戮アクションシーンには様々な工夫がなされていると思える。
映画始まりに舞台となる日本の大阪のシーン、西洋とは少しばかり毛色の違った東洋の殺し屋との戦い、そして、日本のコンチネンタルホテルが舞台、これらの設定でまずは映画の始まりから観客の興味を掻き立て映画に引きつける。舞台が日本ということもあって殺し屋の使用する武器も銃だけではなく、日本刀もあり、果てはヌンチャクまで出てくる。銃と日本刀での殺し合いには今までと違った迫力とキレがあり、大阪のコンチネンタルホテルを壮絶なバトルで破壊しつくす。さらに、ケインという座頭市風の殺し屋も登場、座頭市並みに超強い。
一方、大阪コンチネンタルホテルの支配人、真田広之扮するコウジは日本の殺し屋らしく(?)恩義と友情に厚い、組織に逆らってまでジョンの側につき、素晴らしい立ち回りを披露して散ってゆく、さすが真田広之!と思わせる格闘で魅せてくれる。かくして、大阪シーンは迫力、アクション、ドラマもありで秀逸であった。
続いて、ルスカ・ロマに再び受け入れられるためのナイトクラブでの殺戮バトルになる。ルスカ・ロマの仇キーラも化け物のように強く、ここでもまた壮絶な殺し合いが繰り広げられるのであるが、先にも書いたように筆者はこの辺りで繰り返し見せられる殺戮バトルに食傷気味になり、少しばかり退屈も感じ、睡魔に襲われたりもした。
そこを乗り越えて、次はグラモン侯爵との決闘へ向かうジョンの命を狙い、懸賞金を手に入れようとするパリじゅうの殺し屋たちとのバトル。こちらのシーンではパリの街にいる人間はすべてが殺し屋であるかのごとく、次から次へと殺し屋が湧いて出る。このパターンは、何作目かは忘れてしまったが、ニューヨークで殺し屋がとめどなく湧いて出てくるシーンのリピートであり、今回は、派手に車をつぶして、衝突させて、人を轢かせて…と、前回とは違った工夫あり、再び見せられたことは別として、これはこれでまた迫力もあり面白かった。
そして、ついに凱旋門での殺し屋たちをかわして、グラモン侯爵との決闘場所サクレ・クール寺院へ続くやたらと長い階段までジョンはたどり着く。ここでもジョンを待ち受ける殺し屋たち、登りたくてもなかなか登らせてくれない階段でまたもや血の激闘、手を変え品を変えの殺戮バトルのアクション、これでもか!と見せてくれる。
この階段殺戮バトルで敵の殺し屋と格闘の末、ジョンはせっかく登った階段をゴロゴロゴロゴロとずいぶん下のほうまで落とされてしまうのであるが、筆者はこのシーンを観て、つかこうへい原作、若き日の風間杜夫主演の映画「蒲田行進曲」にでてくる”池田屋階段落ち“を思い出したのである。風間杜夫扮するスター役者、銀ちゃんのために平田満扮するヤスが命を張って危険な”階段落ち“に挑むというくだりである。新選組と長州藩を中心とする尊王攘夷派の侍たちが死闘を繰り広げ、階段からゴロゴロと侍たちが切り落とされる。日本の大阪をも舞台とした監督である、もしかした幕末の新選組の死闘、”池田屋階段落ち“を思いながら、このシーンを撮影したのか、と勝手な想像をしてしまうのであった。
そんなヨーロッパのパリにおいて”階段落ち“を演じていたジョンであるが、敵でもあり友でもある殺し屋ケインの力を借りてなんとかサクレ・クール寺院へと約束の時間までに到着する、到着したのでいよいよ本番の決闘となるのであった。この決闘は長かった無法の殺戮バトルが繰り広げられた後の、最後の最後に、本当の最後に、昔ながらの紳士同志のルールにのっとった殺し合い(?)となる。この決闘はそんな意味でもこの映画では新鮮なクライマックスであり、なかなかスリリングで、観ていてハラハラするシーンなのである。
シリーズ4作を通して描かれる殺し屋たちの大殺戮バトルの発端は、一匹の犬と愛車一台だった、今回ジョンが再び裏稼業に復帰する原因となった犬一匹の伏線がさりげなくこの人間大殺戮映画の中で描かれるワンシーンがある。これだけ人間が殺される連続映像の中で、妙に観客をなごませる一瞬、これなに? と筆者は思わず微笑みが漏れるというか、笑ってしまったというか、微妙に場違いなシーンに監督、またギャグか、と思ってしまいました。犬関連のシーンです、見逃さないでね。
映画のラストはNYコンチネンタルの支配人に返り咲いたウィンストンと地下犯罪組織の王バワリ―・キングが二人してジョン・ウィックの墓参りをしているシーンで終わる。ジョン・ウィック、死んじゃったのか、と普通観客は合点し、映画はENDとなるのであるが、あれだけかくまって、バックアップしてやったジョンの墓参りに際してバワリ―・キングはにやりと笑ったりする。このバワリ―・キングのにやりでジョン・ウィック推しのファンは、これはフェイクだ!と察するのである。
筆者はこのシーンを観て、今度はBBCのTVドラマ「シャーロック」のシーズン2、第三話「シャーロック: ライヘンバッハ・ヒーロー」を思い出した。この時は高層ビルから飛び降りて死亡した(と思われる)シャーロックの墓をジョン・ワトソンが訪れるラストであった。が、シャーロック・ホームズ物語の原作でもおなじみのように、ホームズは実は死んではおらず復活する。TVシリーズでもジョンの墓参りのシーンの後にシャーロックの姿が映し出されるのである。
映画「ジョン・ウィック コンセクエンス」では、ジョン・ウィックの姿は映しだされはしなかったが、このジョンの死はフェイクだ!と、筆者は直感した。多くのジョン・ウィックファンも同じことを直感したのではないだろうか。大体、ジョンが死んでしまったら、シリーズが終わってしまうではないか、又、後で知ったあくまでまた聞きの話だが、結末にはもう一つ別なものがあって、そちらではジョンが生きている映像がはっきりあったそうだ、が、敢えてそのシーンをカットしてジョンの生死は観客の想像に任せる方針をとったという。ならば、筆者はジョン・ウィックの死はフェイクであり、ジョンは復活してさらなる続編ができることを強く強く望んでいたいと思うのでした。
3時間近くもこの映画「ジョン・ウィック:コンセクエンス」を観て、殺戮アクションがこの映画のすべて、と思うかもしれない‥‥実際全てですが。それでもなお書き添えるとしたら、弾丸を何発も打ち込んだだけではなかなか死ななかったりする敵の殺し屋の進化(?)、コンチネンタルホテルを始めとする殺し屋世界の描写やそのルール、一作目から引き続き映画に魅力を与えてくれるわき役たち、今回新たに登場する数々の人物、そして、今回はこれまで以上にワンポイントとなっている犬など、キアヌの魅力と+αの頑張りもこの映画を大ヒットさせている要因の一つのなかもしれない、と感じる今日この頃‥‥でした。
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