Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画 「ホビット 思いがけない冒険」   マーティン・フリーマン 主演   :悪くないけれど残念な映画

ホビット 思いがけない冒険 (字幕版)

 

スペース・ファンタジー、映画「スター・ウォーズ」のシリーズが全9作続き、宇宙を舞台に善と悪が衝突する物語がファンを熱狂させたこと、また、シリーズが完結してもなお、ファンを熱狂させ続けていることは、改めて言うまでもなく、世の映画ファンの承知していることであり、同様に、このイギリスの作家、トールキンの生み出した、ファンタジーの世界もまた、映画「スター・ウォーズシリーズ」と同様に、魅力的に、映画ファンを引き付ける、と言ってもいいのではなかろうか。

 

映画「ホビット 思いがけない冒険」は、前三部作の「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚というもので、映画「ホビット 思いがけない冒険」には、当然のことながら、映画「ロード・オブ・ザ・リング」でおなじみのキャラクターの顔を見ることができる。映画は、失われたドワーフたちの王国を再び取り戻すために、ドワーフとその仲間たちが、王国目指して旅していくのであるが、そう簡単に目的地にたどり着くことができるわけはなく、様々な苦難に出会う物語である。ドワーフというのは、いわゆる ”小人“ であり、ファンタジーの劇中では通常より身長の低い種族、ということになっている。BBCのTVドラマ「シャーロック」の、ジョン・ワトソン役でおなじみの、マーティン・フリーマンが主役を務め、マーティン・フリーマンホビット族の青年、ビルボ・バギンズ役で、ドワーフたちと行動を共にする。ホビット、という種族も、小柄であり、どうやら、ドワーフと同じくらいの身長、ことによったら、もっと小柄の種族、ともいえる。そこに、前作からのお馴染みの魔法使い、ガンダルフが加わり、総勢、13人のドワーフホビット一人、魔法使い一人、15人の旅の行方だ。

 

彼らの旅の行方は一難去って、また一難、トロルやらオークやらゴブリンといった、巨人であったり、獰猛かつ残虐な種族であったりで、彼らの行く手を阻む者は後を絶たず、その宿敵たちとの追いかけっこがこの映画の見どころともなる、見どころともなるのだが、前三部作「ロード・オブ・ザ・リング」から、数えて4作目ともなると、やはり追いかけっこにも多少新鮮味が欠けてしまうところは、否めず、それでも、スピード感をだして、特撮も駆使して、なかなか見せてくれるのではある、が、気持ち、退屈感を感じてしまったりもするのである。

 

また、ラスト近く、谷底に落ちそうな木の枝にしがみついている魔法使いのガンダルフが、同じく木の梢にとまっている蝶に気づいて、蝶を指先にうつし、ささやくようにして空へ返すシーンを見た筆者は、ドワーフたちがこの絶体絶命のピンチから救われるためには、巨大な蝶であるとか、空飛ぶ魔法の絨毯であるとか、空飛ぶ物体がでてくるしかないのだろう、と思った。おそらく、映画を観ている観客も、ここに至って、筆者と同じことを、思うのかもしれない、すると、案の定な展開となり、今にも崖っぷちから奈落の底へ落下しそうな木にしがみついている、ドワーフたちを救出してくれる、ここら辺は、意外性に欠ける、先が読めてしまう、という点において、監督はもう少し工夫して、頑張ってもよさそうなものではなかったか、と思ったりもする。

 

  さらに、思うに、ガンダルフは魔法使いなのだから、もっと魔法を気前よく使って仲間の窮地を救えなかったのか、であるとか、ホビットのビルボと前三部作にも登場するゴラムという不気味な生物との、なぞなぞ合戦は一体何だったのか、であるとか、何かのギャグのつもりで挿入されたシーンか、と筆者は首をかしげたところである。

 

  こんなふうに、いろいろ思ったり気づいたところはあったのであるが、総合してみると、筆者はこの映画を気に入っており、ゴブリンたちの人海戦術のごとき圧倒的な数でドワーフたちを追い回すシーンは悪くはなく、妖精種族と思われるエルフや彼らの住む谷のシーン、森に住む魔法使いが描かれるシーンなども好きであり、岩石人間が岩を投げ合いながら喧嘩しているシーンも面白かったりして、なかなか悪くもないのである。

 

  同じファンタジーと言っても、映画「ホビット」と映画「スター・ウォーズ・シリーズ」のスペース・ファンタジーとはやはり、当然ながら違っていて、後者では、宇宙船がでてきて、宇宙船チェイスができるぶん、超スピード感のある映像を見ることができ、よりテンポの良いストーリー展開をみることができる、その点において、後者は有利(?)な立場にあるといえなくもない。

 

  が、この映画「ホビット 思いがけない冒険」も、前三部作の「ロード・オブ・ザ・リング」も、トールキンが創造した、不思議で、やはり、ワクワクするような世界を活字から離れて、映像として見せてくれるという点において、素晴らしく、筆者はこの後も、まだ未見である続編の第2部「竜に奪われた王国」も第3部「決戦のゆくえ」も、見るつもりでいるのである。

 

  見るつもりであるのだが、先にも書いたように、いろいろ注文つけたくなってしまうということで、今回は、悪くはないけれど残念な映画、としようと思う‥‥としようと思うのであるが、このトールキンの世界、まだ未見の方は、一度体験してみることをお勧めしたい。「ホビット」も「ロード・オブ・ザ・リング」も、本来イギリスの児童文学であるが、イギリスの児童文学というのは、簡単に子供向け、と決めつけてはいけない、なかなか侮れないものなのである。