”ドレミの歌“ の英語の歌詞をご存じだろうか、日本語の歌詞では ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ とすべての音階にそれぞれ、ドーナッツ、であるとか、レモン、みんな、ファイト、青い空、ラッパ、幸せ、と、それぞれ、意味のある言葉を当てている、わりと簡単に、それぞれに当てはまる語を連想できるのではないか。
英語版の”ドレミの歌“では、”ラ“ の音だけ、意味のある語があてはめられなくて、”ラはソの次に来る語(音階)“ というように、英語では歌われる。”ラ“の音だけ、ピッタリくる語がなかったのか? うまくリズムに乗る言い回しがなかったのか? それはわからない。が、この ”ドレミの歌“は誰もが知っているといっても言い過ぎではないほど有名な歌であることは周知の事実であると思う。
”ドレミの歌“ が有名になったのはジュリー・アンドリュースのおかげかな、と思う。映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中で、トラップ家の子供たちと一緒に歌うジュリー・アンドリュースの歌声は圧巻だ。トラップ家というのは、主人公マリアが家庭教師として赴任するお屋敷であり、映画の前半はトラップ家の子供たちとマリアの悪戦苦闘の日々が描かれる。子供たちの父親はトラップ大佐、母親はいない。マリアのほうはマリアを育ててくれたのは修道女たちであり、マリアは修道院で暮らしていた。
筆者はこの映画を昔、昔、劇場で見て以来、今までに20回近くは観ているといっていい、劇場で見て、TVで見て、再放送がされれば観て、DVDで見て、Blu-rayを買って‥‥とそれほど、何度観ても好きな映画なのである。何故、これほど繰り返し見ることができる映画なのか? また、これからも、機会があればきっと見ると思う映画なのか?
どこがいいの? と、問われれば、ストーリーはもちろん面白い、それに加えてやはり、これほど繰り返し見ることができるのは、ジュリー・アンドリュースの歌う歌、彼女の声のすばらしさ、さらに、子供たちの歌、トラップ大佐の歌、修道女たちの歌‥‥と、歌、歌、歌、で、ミュージカルなのだから、あたりまえなのだが、とにもかくにも、出演者たちの ”歌“ のおかげ。
ジュリー・アンドリュースは4オクターブもの音域の声が出たという、驚異的に素晴らしい声。昔ヨーロッパにカストラートという歌手がいた。子供の時に変声期で声が変わらないように去勢された男性歌手だ。ちょっと残酷な話。変声期前の少年の喉と成長した男性の肺活量で3オクターブもの音域の声がでたという。カストラートは人為的に作られた声であったが、現代のジュリー・アンドリュースの声は生まれながらの天然の声であり、そこが又、素晴らしい。
ジュリー・アンドリュースのほかにも、筆者お気に入りの現代の素晴らしい歌声はある。そんな ”声” をあげてみると、今は亡き、ソプラノ歌手キリテ・カナワの声。彼女が歌う “ジャンニスキッキ:私のお父さん” は美しく、圧倒的。また、ウイーン少年合唱団のソプラノがソロで歌っているときの声は、まさしく ”天使” の歌声と言える。彼らの “アヴェ・マリア”(シューベルト) もまた、涙がでるほど美しい。
そんな、素晴らしい歌声を持ち、数々の映画に出演して、数々の賞を受賞していたジュリー・アンドリュースであるが、彼女の作品に「引き裂かれたカーテン」と言うのがある。彼女がポール・ニューマンと共演したヒッチコック作品であるが、この映画ではジュリー・アンドリュースは一切、歌を歌うことはない。何故かと思う。ヒッチコック、敢えてジュリー・アンドリュースの声を封じ、演技のみをさせたのか。
大ヒットした「サウンド・オブ・ミュージック」の後だけに、彼女も思い切った役を選択したな、と思った、また、筆者の好きなポール・ニューマンと共演して、なおかつ、筆者の好きなヒッチコック監督の映画に出演しているということではこの映画もポイントは高い。が、映画の中の役では、特別、彼女が魅力的に見える、ということは残念ながらなかった。
映画「サウンド・オブ・ミュージック」に話を戻すが、この映画の中で歌われる数々の曲は、たとえば、”私のお気に入り“ は数々のミュージシャンによってカバーされ、ヨー・ヨー・マも演奏でカバーしている、”エーデルワイス“ は学校の英語の教科書にのり、”ドレミの歌“ ”一人ぼっちの羊飼い“ は広く世にひろまり、小さな子供でも知るところとなり‥‥と、いくつもの曲が映画を離れて、私たちの心に入り込んでいる。
さらに、映画に映し出される大部分のロケが行われたオーストリア、ザルツブルグの美しい自然もまた、観る観客の心をとらえる、そんな、ステキで美しくも楽しい映画なのである、ここで紹介した曲以外にも、ステキな曲はまだまだ映画の中で歌われている。
スクリーンに映し出される美しい映像に気持ちをのせながら、これらの歌を聞くならば、筆者が20回近くもこの映画を観た、という、理由も、わかってもらえるのではないか、と思ったり‥‥。
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