黒ずくめのスーツに黒のサングラス、このスタイルは10年以上の時を経て、映画「メン・イン・ブラック」に引き継がれているのであるが、映画「メン・イン・ブラック」は、宇宙人が実は、すでに、地球で地球人と共存している、という設定に基づいたSF映画であり、このジョン・ベル―シとダン・エクロイドの二人を主演とした、コメディ映画「ブルース・ブラザース」とはまったくジャンルは異なり、元祖黒ずくめのスーツにサングラスの二人組は、コメディアンの本領を発揮して、この映画で、実にばかばかしくも、おかしくて、奇想天外な物語を観る者に見せてくれるのである。
映画「ブルース・ブラザース」の黒ずくめ二人組は、タイトルからも推察できる通り、兄弟、ブラザース、であり、ジョン・ベル―シ演じる、兄、ジェイクが刑務所から出所する、ダン・エクロイド演じる、弟、エルウッドがその兄を迎えに来る、というところから物語は始まる。主役のジョン・ベル―シとダン・エクロイドは一流のコメディアンであるので、笑いのツボはしっかり押さえており、弟、エルウッドに車を運転させたが最後、或る些細なきっかけから、二人の車による逃避行が始まり、この逃避行がこの映画の一つ目のツボとなる。
また、ジェイクには彼女がいたようで、結婚の約束をし、実際に結婚式を挙げるところまで行くのであるが、その肝心の結婚式に、ジェイクが現れなかったかという理由により、恨みは骨髄に達し、その復讐をせんとするストーリーも展開される。この流れも、やはり、この映画のツボの一つであり、映画の後半にあって、ジェイクの女たらしぶりが描かれることになって、笑えるのである、ここは、劇中、ただ一度だけ、ジェイクがサングラスを取るシーンなのである、もしかしたら、貴重なワンシーンでもあるか。
さらに、この主演のジョン・ベルーシとダン・エクロイドはコメディアンであると同時に、ミュージシャンでもあり、R&B/ブルースの音楽バンドのメンバーでもある、実際、映画の中では、彼らの音楽的才能もいかんなく発揮される。ある理由のために、彼らは、音楽バントの再結成に立ち上がり、見事バンドは再結成されて、映画の中では、このバンドのキレる演奏を楽しむことができる、加えて、この主役二人は、うたって踊り、その歌も、踊りも、なかなかのもので、見ていて目を見張る、聴いていて、耳をそばだてる、思わず、拍手して、ブラボーと叫びたくなると言ったら、大袈裟だろうか。
そして、又、さらに言うならば、あるシーンにおいては、まるでミュージカル映画のごとく、出演者たちが歌って踊り始める、これらのシーンもなかなかのもので、バンドのキレッキレの演奏同様、キレッキレの歌とダンスを披露してくれて、こちらも、拍手して、ブラボーと叫びたくなるようなシーンなのである。
そんな、いくつものツボ、そう、笑いのツボ、称賛のツボを映画のあちらこちらにちりばめて、ジェイクとエルウッドは映画のラスト、クライマックスへとひた走る…‥そんな、クライマックスとラストは、映画を観て楽しんでほしい。定石と言えば、或る意味、定石すぎるラストへと向かうの展開なのであるが、そのスケールは大きくて、あっぱれ、と言うか、やっぱり、やるなあ、という感じ。
ただ、一つ、この映画を観終わって筆者が残念だったことは、劇中で再結成されたバンドのメンバーと客演ミュージシャンの顔ぶれが実に豪華なことでもこの映画は話題となったということであるが、筆者が知っていた豪華な顔触れというのは、レイ・チャールズ一人であった、ということ、まあ、レイ・チャールズだけでも、大物ミュージシャン出演している、と思ったりしたのですが‥‥知っている人が観れば、きっと、もっと楽しめたであろうと感じる。
こんなふうに、この映画の ”ツボ“ は、結構、数限りなくあるわけで、筆者のように、R&B/ブルースに詳しくなくても、どこかのツボでヒットできることは間違いないと思う映画。ぜひ一度、観て、”驚いて“ 笑ってほしいと思う次第。