Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画 ドライブ・マイ・カー    濱口竜介 監督  西島英敏 主演

ドライブ・マイ・カー インターナショナル版

 

ウィル・スミスの司会者平手打ち事件で、或る意味話題をさらった第94回アカデミー賞の授賞式であった。さらに、日本からも映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞をはじめ4部門にノミネートされた、ということで話題になった。結果は、作品賞は映画「コーダ あいのうた」、映画「ドライブ・マイ・カー」は国際長編映画賞を受賞した、まずは祝福を送りたい。

 

映画「ドライブ・マイ・カー」において、ストーリーは淡々と進行してゆく。主人公の家福は奥さんに裏切られ、奥さんに死なれてしまった舞台の演出家で、彼の演出する演劇は    ”多言語演劇“と言うらしい。言葉の異なる様々な国の人々が、一つ舞台にたち、一つ芝居を演じるというスタイルで、観客には字幕付きで日本語以外のセリフの内容を伝える。その中には、手話によりセリフの翻訳も含まれる。映画が始まって最初の内は、家福が演出しているこの”多言語演劇“ がピンとこない。ゆえに、家福が自宅と職場を往復する車の中で、カセットテープに吹き込まれたセリフを聞き続けている意味もピンとこない。が、映画が進行するにつれて、この二つのことは自然と納得できるようになる。

 

映画は演劇祭で上演される予定の”多言語演劇”の練習風景、演目はロシア人作家チェーホフの「ワーニャ伯父さん」、の練習風景が描かれる、そして、並行して、オーデションを勝ち抜いた出演者たち、家福が職場と仮の宿を行き来する車を運転する女性ドライバー、そして、家福自身のそれぞれのエピソードが語られる。時に、芝居の中の一シーンとそのセリフが家福の現実と重なって、家福を苦しめもする。

 

淡々と進行する物語の中で、徐々に明らかになってゆく”多言語演劇“ の練習風景や、日本語、韓国語、手話などが入り混じったセリフで進行してゆく演劇に、以外にも引き込まれる。割と長めの映画、登場人物各人にドラマがあるとはいえ、派手さはなく、どちらかと言うと、地味に粛々と語られていくストーリー。なのに、最後まで飽きさせることなく、この映画を観させてくれるパワーはどこにあるか? そう思った時、登場人物各人のドラマもさることながら、それがこの”多言語演劇“ による「ワーニャ伯父さん」の練習風景ではなかろうか、と思い当たった。

 

そして、映画のラスト近く、演劇祭の舞台の上でソーニャが手話によってワーニャ伯父さんに語りかけるシーンが感動を呼ぶ。言葉ではなく、手話で語りかけるという演出に新鮮さとソーニャのさらなる優しさと明るさと強さすら感じるシーンではないかと思う。

 

作品賞は、惜しくも映画「コーダ あいのうた」にさらわれたのであるが、映画「ドライブ・マイ・カー」がとってもいいんじゃないかなあ、と筆者は思っていた。映画「ドライブ・マイ・カー」では、文化、言葉の異なる者、障害を持つ者との交流が演劇という媒体を通して描かれていた。一方、まだ未見ではあるが、映画「コーダ あいのうた」は、何年か前のフランス映画のリメイクで、障害を持つ家族と、その中でただ一人健常者である少女との家族の絆を描いた作品であるようだ。どちらの映画も手話を用いてコミュニケーションすることが一つのテーマにもなっている映画である。映画「ドライブ・マイ・カー」のほうは、あくまでストイックに、映画「コーダ あいのうた」のほうは、どちらかというと、ドラマチックに、明るく “多言語” でなされる日常を描いている、と思える。

 

いずれにしても、「ドライブ・マイ・カー」はいい映画であり、”多言語演劇“ という形態の演劇は、新鮮であり、”多言語“ であるだけに、言葉だけでなく手話までも取り込んで、出演者が一つの舞台を完成させていく、と言うところは興味深かった。そして、ラストは‥‥これは、映画を鑑賞している人の想像におまかせ、ということかな‥‥。

 

☆つぶやいています Twitter  Little My 💟Movie Blogger@kanbekun

 

☆言葉・もて・遊ぶ blog あります。   言葉遊び:詩とエッセイのブログ          

https://kororondiary.hatenadiary.jp/

 

☆こちらは、チョコレート・エッセイ  主に、スイーツに絡んだ詩とエッセイです。

https://korokororon.hatenadiary.com/

 

☆こちらに書評もあります。     本が好き!👇

https://www.honzuki.jp/user/homepage/no15241/index.html

 

 

☆お知らせ  本を出版しました。

       シャーロキアンて何?

       ホームズ・ファンだけでなく、

       ホームズも、ミステリーも初めての方も、

       美々子が待っています!

      👇

 

シャーロキアンの優雅な生活 美々子と一緒に巡る旅