60年ほど前に作られた映画「ウエスト・サイド物語」がお気に入りであり、当時、シャーク団のリーダー役を演じた、ジョージ・チャキリスのダンスと、その恋人を演じた、リタ・モレノのダンス、ジェット団が踊って歌う ”クール“ 、映画の冒頭彼らが鳴らす指の音、ナタリー・ウッドとリチャード・ベイマ―の歌う ”トゥナイト“ 等、映画全編に満ち溢れる、60年前とは思えぬスタイリッシュなダンスと歌に魅せられて、圧倒されて、映画「ウエスト・サイド物語」の虜となった筆者ですが‥‥ちょっと褒めすぎ? ナタリー・ウッドやリチャード・ベイマーの歌は吹替であったし‥‥。
ロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンズ監督の映画「ウエスト・サイド物語」が最高、と思い、映画からミュージカルへといざなわれた者にとって、スティーブン・スピルバーグがこの名作「ウエスト・サイド物語」をリメイクするというニュースを聞いたとき、誰がどう作ってもオリジナルの映画を越えることはできないだろう、スピルバーグもとうとう新作のネタ切れして昔の名作をリメイクするか…などと思っていた。とはいえ、スピルバーグも巨匠、あのスピルバーグが古典的名作をどう料理したのかは、やはり気になるところ。また、映画が公開されてみれば、聞こえてくる声はいずれも悪くない評価、それなら、ひとつ、見てみようかな、スピルバーグ版「ウエスト・サイド物語」、ということで、日差しもまぶしい晴天の或る日、冬の日差しに誘われるようにして映画館へと足を運ぶこととなったのでした。
そして、観ました、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」。悪くなかった、いや、期待していた以上によかった、楽しめた、さすがスピルバーグ、と脱帽。原作の良いところは引き継ぎ、原作と異なる演出をしてオリジナリティーをだし、”スピルバーグのウエスト・サイド物語“ の世界を作り上げたというところ、あっぱれ! かな。
例えば、映画の冒頭、上空からウエスト・サイドの街をとらえて、しだいに下降してゆくシーン、あたりまえだけれど違う、時代に即していて、現実味を帯びている。そこから、リフがペンキ缶をもって、指を鳴らしながら仲間を誘ってプエルトリコ人たちの住居へとやってくるときに見せるダンス、冒頭からキレッキレのダンス、カッコよかった。
また、”クール“ が踊られるシーン、オリジナル版映画ではリフが刺された後にジェット団みんなが倉庫で踊る、”頭を冷やせ、落ち着け、クールになれ“ と歌いながら、こちらはこちらで迫力満点、実に ”クール!“ だった。スピルバーグ版では、トニーがリフの持っていたナイフを取り上げて、それを奪い返そうとするリフ、トニーとリフの二人がメインとなって、これもまた、二人のキレッキレのダンスというか、パフォーマンスを見せてくれる。ここもスクリーンに釘づけ! と言える ”クール!“ なシーン。前作やミュージカルと違った見事な演出、魅せられました。
もちろん、これだけではなく、”アメリカ“ 、”トゥナイト“ 、”マリア“ 、ダンスパーティーのシーン など、オリジナルの曲が相変わらずいいのはもちろんですが、スピルバーグの演出は冴えていた。また、キャスティングもよかったのではなかろうか、特に、シャーク団にラテン系の俳優をキャスティングしたことは。さらに、トニーが働いているドラッグストアの店主に、リタ・モレノという、粋なキャスティングはオリジナル版映画を知る「ウエスト・サイド物語」ファンにとっては、うれしいキャスティングではなかろうか。
ここまで、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」を褒めてきたが、もちろん、オリジナル版「ウエスト・サイド物語」を越えた、とは言わない。オリジナル版を越えることなんて、できっこないよ!と、筆者は言いたい。超えたのではなく、また別の秀逸な物語ができた、と考えたい。
ただ一つ、残念かな、と思われたのは、ジェット団のメンバーのアクションやアイスがそれほど個性的に描かれていず、誰が誰だか区別のつきにくかったことだろうか。オリジナル版ではもう少しキャラ立ちしていたと思う。
とにかくも、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」、なかなか良い、オリジナル版と合わせてお勧めです。もしも、見るならば、オリジナル版、スピルバーグ版、どちらも見ることをおススメしたい。素敵なひと時を過ごせると思います!
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