Kororon 映画について語るBlog

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マディガン  悪くないけど、残念な映画      リチャード・ウィッドマーク 主演

 

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古い映画だ、リチャード・ウィッドマーク扮する、マディガン刑事と、ヘンリー・フォンダ扮する警察本部長の共演が見どころといえば、見どころなのだが、二人が絡む場面が少なすぎて残念だ。

古い映画だ、なので、リチャード・ウィッドマークという俳優を知っている人も少ないと思う。「オリエント急行殺人事件」のあの殺害されてしまう老人(実は悪い奴だった、という)、といえば思い当たる節もあるかもしれない、若き日は渋くていい俳優だった。

 

かたや、ヘンリー・フォンダ、こちらも今や知る人ぞ知る俳優となってしまったかもしれない、ピーター・フォンダジェーン・フォンダの父親、といったって、ヘンリー・フォンダの子供たちを知っているかどうかも怪しい、今日この頃か。確かに、映画は古い、マディガンとその相棒の着ているスーツとかぶっている帽子を見ても、オールドスタイル、時代を感じるよね。

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↑ ピーター・フォンダ/   ジャック・ニコルソン 主演 映画

 

 

残念な部分が多すぎるのだが、決して悪くない映画だと思う‥‥

ファッションスタイルが時代を感じさせるとはいえ、リチャード・ウィッドマーク扮するマディガン刑事はクールであると感じる、ときに手段を選ばない傍若無人ぶりは、ダーディー・ハリーのはしりか、と思わせたりする。

それでいて優しい。マディガンと奥さんの関係がいい、結局マディガンは奥さんを愛しているし、奥さんもマディガンを愛している、という結末で終わる。

 

ヘンリー・フォンダは厳格、法律・規則順守、の徹底した不正嫌いの正義者として描かれる本部長だ、なので、友人警察官の犯した過ち、不正も決して許せないであろうと思わせる。が、この正義漢は不倫をしている、奥さんを裏切っている、そんな本部長の”不正“を考えるとき、観客は、お前が友人警官の裏切りを責められるのか?という思いに駆られる、案の定、映画では、ヘンリー・フォンダ扮する正義の本部長は、友人を切り捨てずに、友人にやり直しのチャンスを与える。

 

そうこうしているうちに、とうとうマディガンから盗まれたマディガンの拳銃で人が殺される、という事件が起こる、警察官から盗まれた拳銃で事件が起こる、刑事ドラマではよく見るストーリーだ、黒澤明監督の「野良犬」でも、刑事の拳銃が盗まれて物語が展開している。TVドラマ「相棒」でも、よくある設定だ、おそらく、他の刑事ドラマでもよくつかわれる展開パターンなのだろう。

         

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そんなよくあるパターンだが、主人公マディガンにとっては、ショックだ、何しろ自分の過失によって引き起こされた殺人事件、この事件が暗示するところがラストのマディガン刑事の運命へとつながっているのだろう、マディガンは事件の責任をとらねばならない。

 

これだけ、この映画が面白く展開していくポイントはあったのだが、これらのポイントを生かし切れていないところにこの映画が、 ”非常に残念” な映画になってしまった運命がある。

 

最初にも言ったが、もっと、マディガンと本部長を面白く絡ませることができなかったか、もっと、マディガンと奥さんの愛情を優しく興味深く語れなかったか、不正をした友人警官との葛藤だってもっとあっただろう、最後の銃撃戦はクライマックス、この映画の見せ場のはずだったのに、リアル感があまりにもなさ過ぎた、盗んだ拳銃のうちの一丁で、あんなライフル撃っているみたいな銃撃が犯人にできるわけがないだろう、右京さんなら、犯人が何発撃ったか、とか、銃弾の数を数えていたはずだ・・・・などなど、残念な点はきりなくある。

 

が、にもかかわらず、非常に残念な映画であることは認めながらも、なお、”悪い映画じゃなかった“ と、映画を観た後思わせる、ちょっとだけ、本当に、ちょっぴり、心に余韻を残す映画である、と言いたい。

リチャード・ウィッドマークがどちらかというと、嫌いじゃない俳優であることも、そんな風に思える理由の一つか? いや、いや、リチャード・ウィッドマークを知らない人が見ても、刑事ドラマ好きならば、先に述べたポイントひとつひとつに余韻を感じてくれるだろう。念のために言っておくが、余韻を感じることができるのは、映画のラストのマディガンの奥さんの反応ではない、あの演技はオーバーアクションであるといいたい、もっと、いい演技が見たかった。

 

そんなわけで、映画「マディガン」、もしも、また、テレビで放映されたなら、観てほしい、そして ”残念“ な映画なのだが、感じることのできる ”余韻“ を感じてほしい。