Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画「やさしい本泥棒」   ブライアン・パーシヴァル 監督

やさしい本泥棒 (字幕版)

 

 

本が好き、いつでもどこでも自由に買えて、好きな本が手にはいり、好きなだけ、好きな時に読める…今、あたりまえのことすぎて、この幸せが何か特別なことのように思う人は、世の中少ない、いや、当たり前すぎて、特別なことと考えることもないだろう・・・・そんなことを思ってしまう、この映画を観終わると、

 

その昔、秦の始皇帝、また、毛沢東の時代、焚書によって、数々の本が焼かれてきた。レイ・ブラッドベ著「華氏451度」では本の所持や読書が禁じられるという世界、やはり、本は燃やされた。「華氏451度」はフィクションであったけれど、現実の世界でも第二次世界大戦中のドイツにおいて、焚書が実行され、この映画「やさしい本泥棒」ではドイツのある広場にうずたかく積まれた本の山に火が放たれ、本の山が無惨にも燃えていくシーンというのがあった。映像によるフィクションのシーンであるのだが、実に胸の痛むシーンと感じられる。

 

この映画の主人公リーゼはそんな燃えてしまう本の中の一冊を拾い出し、火傷しながらも、コートの内に隠す、それほどまでに、本に、活字に、すなわち、知識への渇望が強烈な少女。映画の初めには、リーゼは字が読めず、字が書けなかった。文字を学びたくとも、テキストとなる本がなかった。そんな恵まれぬ環境にいながらも、リーゼの努力は続く、そして、やがて彼女は、彼女自身が読み書きできるようになるのはもちろん、そのことによって、他者をも救うことができるまでに成長する。

 

この映画は第二次世界大戦中のナチスドイツの国と、その国に住む住人たちの物語でもあり、その住人の一人、リーゼという少女の生活と成長の物語でもあり、容赦のない戦争の無惨さ、残酷さの物語でもる。もちろん、映画のタイトルにもある通り、リーゼと本とのかかわりがこの映画の核を流れるストーリーではあるのだが、それだけではないこの映画。リーゼを取り巻く人々もまた、リーゼの生活に彩を添える。リーゼの養父母に始まり、学校での友人、リーゼの家に転がり込む居候、市長の奥さんなどなど、戦時下の重く息苦しい生活の中でも、時にユーモアすら感じさせて、生きていく姿がある。これも、この映画の魅力の一つ。

 

が、監督は残酷な運命をこの映画に用意している。日本人にとって、それは、原子爆弾を落とされ、一瞬にして日常を奪われた日本の長崎と広島の経験を思い出させるかもしれない、東京大空襲と言ってもいいかもしれない。また、「アンネの日記」を思い起こさせるシーンなどもある。焚書に、迫害に、恐怖に、残虐に・・・と、戦争にまつわる “負” の側面を戦時下のドイツに暮らす人々の生活の中に描き出す。

 

第二次世界大戦ナチス・ドイツが舞台、まさにナチスが支配するドイツで暮らす人々の生活を描いた映画で筆者が一番直近で観たものには「ジョジョ・ラビット」<映画  ジョジョ・ラビット - Kororon 映画について語るBlog (hatenablog.com)>があり、「ジョジョ・ラビット」もいい映画だった。今回の映画「やさしい本泥棒」も久しぶりにいいドイツ関連の映画を観たと思う。

 

この映画は、日本では2014年に劇場公開される予定であったが、中止となったという映画である。もったいないような気がする、残念だ。DVDやBlu-ray はあるようなので、ぜひ一度、鑑賞することをお勧めしたい! 戦争の残酷さに頬を張られるようなシーンもあるのだが、リーゼと彼女を取り巻く人々のストーリーはしみじみといい話、でした。

 

 

 

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