Kororon 映画について語るBlog

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映画「あの夏、いちばん静かな海」    真木蔵人 主演/  北野武 監督

あの夏、いちばん静かな海。 [Blu-ray]

 

日差しは次第に強くなり、空と海の青がますます鮮やかになる季節、夏はすぐそこまで来ている。そんな夏になれば、青い海原をもとめて、人は海を目指す。かくいう、我々も海水浴、マリンスポーツといって、海へ向かって、車で、列車で、歩いて、走って、繰り出すのではなかろうか。この映画は、そんな海のスポーツ、サーフィンを愛する若者の物語であり、その主人公となる若者は口がきけず、耳が聞こえないという障害を持った、男女二人であり、彼らを取り巻く人々もこの物語になんとも言えず良い色どりを添えている。

 

北野武監督の映画「あの夏、いちばん静かな海」はサーフィンに夢中になる障害を持つ若者と、その恋人の映画。口がきけず、耳が聞こえないとあれば、すぐにひらめくコミュニケーション手段は手話である。が、この映画の中で主人公たちは、手話らしい手話はほとんど使わない、彼らを取り巻く人々も使わない。が、それでも、主人公二人、彼らと彼らを取り巻く人々、そして、映画を観ている観客とは不思議と意思疎通が叶い、観客は主人公二人の考えていること、感じていること、伝えたいと思っていることなどを理解して、映画は進行していくのである。

 

聴覚に障害を持つ人々を登場させた映画、最近では、まず数々の賞を受賞した日本映画「ドライブ・マイ・カー」、そして、アカデミー賞作品賞を獲得した映画「コーダ あいのうた」がすぐに思い出されるのではなかろうか。この2作品においては、コミュニケーション手段として手話がふんだんに登場して使われる。言い換えるならば、よくおしゃべりする、と言えなくはないか。これらと対照的に、映画「あの夏、いちばん静かな海」での主人公二人はおしゃべりしない、静かなのである、静かに思いを伝えてくる。

 

映画「コーダ あいのうた」は未見だが、これらの作品に共通することは、登場人物の障害者に対して、思いやりはあれ、変に同情することなく、淡々と接し、登場人物達がいい関係にあることではないのかと感じる。映画「あの夏、いちばん静かな海」では、ところどころに小さなギャグもあって笑いを誘う。

 

また、先にも書いたが、この映画では、主人公の青年が夢中になるスポーツがサーフィンだ。サーフィンを扱った映画と言ってすぐに思い出されるのは映画「ビッグ・ウェンズデー」であり、こちらはカリフォルニアの海辺で ”ビッグ・ウェンズデー“ と言う大波に挑戦するサーファーたちを描いた映画である。一方、映画「あの夏、いちばん静かな海」の海は日本の海であり、映画「ビッグ・ウェンズデー」のような世界最大の波が登場するわけでもない。が、映画に登場するサーファーたちは実に楽し気にサーフィンをする、サーフィンの大会、サーフィンのテクニック、技についても織り交ぜて、主人公の若者以外の人々もサーフィンに巻き込んでいく、ここら辺の描写、愉快で楽しい。

 

音楽、健常者役の俳優による数少ないセリフ、海の波の音、スクリーンから聞こえてくる音はこれだけだ、どれほど ”静か“ な映画であるか想像してみてほしい。これから迎える暑い夏、一足先に夏を迎え、海に足を運び、サーフィンを楽しみ、クスリと笑い、優しい気持ちになってみてはいかがだろうか。北野監督作品の中でも、好きな作品の一つに入るこの映画、ぜひ、どうぞ!

 

 

 

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