Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

マディガン  悪くないけど、残念な映画      リチャード・ウィッドマーク 主演

 

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古い映画だ、リチャード・ウィッドマーク扮する、マディガン刑事と、ヘンリー・フォンダ扮する警察本部長の共演が見どころといえば、見どころなのだが、二人が絡む場面が少なすぎて残念だ。

古い映画だ、なので、リチャード・ウィッドマークという俳優を知っている人も少ないと思う。「オリエント急行殺人事件」のあの殺害されてしまう老人(実は悪い奴だった、という)、といえば思い当たる節もあるかもしれない、若き日は渋くていい俳優だった。

 

かたや、ヘンリー・フォンダ、こちらも今や知る人ぞ知る俳優となってしまったかもしれない、ピーター・フォンダジェーン・フォンダの父親、といったって、ヘンリー・フォンダの子供たちを知っているかどうかも怪しい、今日この頃か。確かに、映画は古い、マディガンとその相棒の着ているスーツとかぶっている帽子を見ても、オールドスタイル、時代を感じるよね。

荒野の決闘(字幕版) ← ヘンリー・フォンダ主演 映画

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残念な部分が多すぎるのだが、決して悪くない映画だと思う‥‥

ファッションスタイルが時代を感じさせるとはいえ、リチャード・ウィッドマーク扮するマディガン刑事はクールであると感じる、ときに手段を選ばない傍若無人ぶりは、ダーディー・ハリーのはしりか、と思わせたりする。

それでいて優しい。マディガンと奥さんの関係がいい、結局マディガンは奥さんを愛しているし、奥さんもマディガンを愛している、という結末で終わる。

 

ヘンリー・フォンダは厳格、法律・規則順守、の徹底した不正嫌いの正義者として描かれる本部長だ、なので、友人警察官の犯した過ち、不正も決して許せないであろうと思わせる。が、この正義漢は不倫をしている、奥さんを裏切っている、そんな本部長の”不正“を考えるとき、観客は、お前が友人警官の裏切りを責められるのか?という思いに駆られる、案の定、映画では、ヘンリー・フォンダ扮する正義の本部長は、友人を切り捨てずに、友人にやり直しのチャンスを与える。

 

そうこうしているうちに、とうとうマディガンから盗まれたマディガンの拳銃で人が殺される、という事件が起こる、警察官から盗まれた拳銃で事件が起こる、刑事ドラマではよく見るストーリーだ、黒澤明監督の「野良犬」でも、刑事の拳銃が盗まれて物語が展開している。TVドラマ「相棒」でも、よくある設定だ、おそらく、他の刑事ドラマでもよくつかわれる展開パターンなのだろう。

         

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そんなよくあるパターンだが、主人公マディガンにとっては、ショックだ、何しろ自分の過失によって引き起こされた殺人事件、この事件が暗示するところがラストのマディガン刑事の運命へとつながっているのだろう、マディガンは事件の責任をとらねばならない。

 

これだけ、この映画が面白く展開していくポイントはあったのだが、これらのポイントを生かし切れていないところにこの映画が、 ”非常に残念” な映画になってしまった運命がある。

 

最初にも言ったが、もっと、マディガンと本部長を面白く絡ませることができなかったか、もっと、マディガンと奥さんの愛情を優しく興味深く語れなかったか、不正をした友人警官との葛藤だってもっとあっただろう、最後の銃撃戦はクライマックス、この映画の見せ場のはずだったのに、リアル感があまりにもなさ過ぎた、盗んだ拳銃のうちの一丁で、あんなライフル撃っているみたいな銃撃が犯人にできるわけがないだろう、右京さんなら、犯人が何発撃ったか、とか、銃弾の数を数えていたはずだ・・・・などなど、残念な点はきりなくある。

 

が、にもかかわらず、非常に残念な映画であることは認めながらも、なお、”悪い映画じゃなかった“ と、映画を観た後思わせる、ちょっとだけ、本当に、ちょっぴり、心に余韻を残す映画である、と言いたい。

リチャード・ウィッドマークがどちらかというと、嫌いじゃない俳優であることも、そんな風に思える理由の一つか? いや、いや、リチャード・ウィッドマークを知らない人が見ても、刑事ドラマ好きならば、先に述べたポイントひとつひとつに余韻を感じてくれるだろう。念のために言っておくが、余韻を感じることができるのは、映画のラストのマディガンの奥さんの反応ではない、あの演技はオーバーアクションであるといいたい、もっと、いい演技が見たかった。

 

そんなわけで、映画「マディガン」、もしも、また、テレビで放映されたなら、観てほしい、そして ”残念“ な映画なのだが、感じることのできる ”余韻“ を感じてほしい。

 

 

 

 

レッド・サン :     チャールズ・ブロンソン/  三船敏郎/    アラン・ドロン 主演    : 悪くないけど残念な映画  

 

 

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三船敏郎チャールズ・ブロンソンアラン・ドロンという、日・米・仏のそうそうたる、三大スターがそろい踏みしたゴージャスな映画、のはずであった。もちろん、顔ふれはゴージャスだ、「七人の侍」、「用心棒」、「隠し砦の三悪人」等で、その名をはせた時代劇の名優三船敏郎に、アメリカの貫禄あるビッグスター、チャールズ・ブロンソン、「太陽がいっぱい」、「冒険者たち」、「サムライ」などで、美貌とクールさを世界に見せつけたアラン・ドロン、配役を聞いただけでも公開前から期待の高まらないわけはない。さらに、監督はテレンス・ヤング、007シリーズ「ドクター・ノオ」や「ロシアより愛をこめて」、オードリーの「暗くなるまで待って」など、数々の名作を監督している、なお一層、期待は高まるというものだ。

 

 

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ストーリーは悪くない、チャールズ・ブロンソンもいい味出している、三船敏郎演じる日本人サムライの描き方も自然な日本人になっている、変にデフォメルされてはいなかった、アラン・ドロンの悪役ぶりはどうか、ちょっと甘いマスクの甘い悪役っていう感じ、非情に容赦なく拳銃で人間撃ち殺していたけれど、もっと”悪“っていう感じが出せてもよかったかな、と感じる。そんな、アラン・ドロンが美形すぎたという弱点もあったが、全体としては悪くない映画だ。

 

が、残念なことに、気持ち、緩慢、長すぎる、エピソードとエピソードの間が、それで、退屈してしまう、飽きてしまう、チャールズ・ブロンソン三船敏郎扮する、アメリカ人と日本人が友情をはぐくんでいく過程、一難去ってまた一難に見舞われる二人。広大な荒野をイメージしているのかもしれない、めちゃ広いんだから、そう簡単に旅もできないし、目的地にもつかないんだよ、その通り、なのだが、それに、生まれも生活環境も180度違った人間二人がそう簡単に、絆で結ばれはしないだろう‥‥と、監督テレンス・ヤングは考えたのか。

 

そうかもしれない、が、時間短縮、もう少しテンポよく物事運んでいれば、もっと乗りよく感情移入もスムーズに、観ているほうも映画の世界に入り込めたのではないか、残念ながら、黒澤にあったスピード感がヤングには欠けていた、クレマンが目いっぱい生かしたドロンの美しさをヤングは生かしきれなかった‥‥レッド・サン、残念だった。

 

さらに、日本人の立場から言うと、せっかく三船敏郎に侍役を当てたのだから、三船の立ち回りをもっと見たかった、インデアンのアパッチ族に襲われたラスト、草藪の中で申し訳程度の立ち回りがあったが、もったいない、せっかく世界の三船がいたのだから、もっと派手に豪快に殺陣を見せてくれたなら、もっと迫力ある”レッド・サン“になったろうに…‥残念。

 

というわけで、せっかくの日・米・仏の豪華三大スターそろい踏みの映画ではあったけれども、映画の内容は豪華三大スター並みにはいかなかった。余談だが、黒澤明は“トラ・トラ・トラ”でハリウッド進出を失敗したが、三船敏郎は残念な部分はあるとはいえ、”レッド・サン“で、うまくハリウッドデビューを果たしたのではないか。

何年か後に、三船敏郎に続き、見事、ハリウッドデビューを果たす役者にクリント・イーストウッド監督「硫黄島からの手紙」の渡辺謙がいる。渡辺謙に続くのはだれか、今から楽しみでもある。

 

#レッド・サン#三船敏郎アラン・ドロンチャールズ・ブロンソンテレンス・ヤング

 

真昼の決闘   High Noon   ゲーリー・クーパー 主演

真昼の決闘(字幕版)

 

ゲーリー・クーパーはいい、以前書いた「モロッコ」という映画では、若き日のゲーリー・クーパーを見ることができたが、この「真昼の決闘」では、ベテランで、渋い魅力を増したゲーリー・クーパーを見ることができる、どちらのゲーリー・クーパーもステキなのだが、この「真昼の決闘」で一つ言えることは、この映画のゲーリー・クーパーはカッコいい、とにかく、では、どんなところがカッコいいのか?

 

実は、この映画ではほとんどの部分、ゲーリー・クーパーは ‘カッコいい’ という表現からは遠い役回りを演じている、映画の3分の2くらいにおいてはゲーリー・クーパーのカッコ良さは観られない、観られるのは、長年、友であり、味方であり、いざというときには共に戦ってくれる、と思っていた人々が、実はそうではなく、今となっては平和な現在の暮らしを壊されたくない、厄介なことはしょい込みたくない、まして、命が危険にさらされるようなことには巻き込まれたくない、という思いでもって、今この街に迫る危機、ゲーリー・クーパー演じる保安官に迫る危機から目を背け、助けを求める保安官をあっさりと見捨ててしまうという、保安官にとっては何とも信じられないような状況だ。

 

保安官はぎりぎりまで助っ人を、一緒に危機に立ち向かってくれる仲間を探す、が、自分たちの町を守ってきてくれた保安官に対して、みんな冷たい。結婚式を挙げたばかりの奥さんも、保安官を見捨てそうになる、保安官としては絶望に落ち込んで逃げ出したくもなるところ、どうしたらいいのかと苦悩に満ちた保安官だ。

 

ゲーリー・クーパーがカッコよく変身していくのは、保安官の仇が街に到着したことを知らせる列車の汽笛をきいてから、腹をくくった保安官は死ぬのを覚悟してたった一人で敵に向かっていく、この銃撃戦のシーンでのゲーリー・クーパーはまだカッコ良さには不十分だが、とにかく、頑張る、何しろ死を覚悟している人間だ、自然怖いものなしの心理で強くなる、そして、保安官が最強になる瞬間が来る、愛する奥さんが危機に直面している瞬間を目の当たりにし瞬間。自分を見捨てたと思っていた奥さんが実はそばにいてくれた、というだけでも鬼に金棒なくらい心強くなるものなのに、その奥さんが危機に瀕している、見殺すわけにはいかない愛する妻なのだ、それこそ命を懸けて救い出そうとするはず、保安官が最高に強くなる瞬間。そして、ラストシーン、ラストシーンが終わって映画を観終わると、感じる、わかる、なんか、カッコよかった、ゲーリー・クーパー、と。

 

                  「ハリウッド・コレクション:想い出のグレース・ケリー」

保安官の奥さん役の若き日のグレース・ケリーもよかった、やっぱり最後がね、保安官を見捨てずに、保安官の危機に、ちゃんとそばにいたという奥さんが。 “Do not forsake me , oh, my darling….” という映画のテーマミュージックの歌詞を見てもわかる、この映画の音楽はぜひ英語の歌詞を理解してほしい、そうすれば、この映画が苦悩する保安官と、保安官の敵との拳銃の撃ち合いだけの映画だけではなかった、と理解できると思う。

この映画も、やっぱり、最後までしっかり見ないと映画の良さも、ゲーリー・クーパーのCoolさも、グレース・ケリーの良さもわからない、なので、最後までしっかりと見てね。

 

最後に、ゲーリー・クーパーは「だがために鐘は鳴る」とか、「武器よさらば」という映画にも出演している、どちらの映画も原作はこちらも有名なアメリカ人作家アーネスト・ヘミングウェイだ、映画を観た時は知らなかったのだが、後に、実はゲーリー・クーパーヘミングウェイはとても仲のいい友人であった、と知った、仲のいい友人だから、クーパーはヘミングウェイの家を訪れたり、一緒に狩猟をしたりもしたようだ、同時代を生きていた二人であるから知り合いであったり、友人同士で会っても不思議はない、こんな思いもかけないつながりがあったのか、と知ることも映画を観る楽しみの一つ、映画って楽しいね。

 

 

 

 

こちらにも、ぜひどうぞ! ↓

Kororon の Sweets Blog – 甘さで幸せになれるとき

映画 菊次郎の夏   北野武 監督

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この映画はロードムービーだ、ロードムービーにはさまざまなペアがあって、名作も数限りなくあるが、このコンビもいい、メインなストーリーは親が離婚したために、現在は母親と離れて暮らす少年がはるばる母親に会いに行く、割とよくある話、母親を一目見ることはかなった、様々な事情により、少年は再び家路をもどって、現在のわが家へ帰ってくる、といった話、たったそれだけだ、やっぱり、どこかで聞いたことのあるストーリーか。が、しかし、この割とありふれたストーリーが、監督、北野武の手にかかると、実に魅力的でステキ、軽やかで、爽やかでもあるストーリーに変身し、観終わった後、暖かい、いい気分になることができる、北野マジック!、かしら?

 

少年の相棒になるのは監督自身が演じる ‘ヘンな親父’ だ、定職もないのか、少年と一緒に保護者のごとく、母親のもとへと一緒に旅する、その道中がいい、かなりメチャクチャしながらちょっと気弱そうな少年を小突いたり、励ましたり、怒ったり、一緒に遊んだり、旅は進んでいく、一緒に旅をているうちに、このヘンな親父も根はやさしい親父であるとわかってくる、何しろ、奥さんに言われたからと言っても何の責任もない子供のために遠くに暮らしている母親のところまで、一緒に付き合って旅しているわけで、やっぱり、優しい変わり者の親父、っていう感じかな、が、最初はそうは見えない描き方だ、荒っぽくてね。

 

母親の家までたどり着いて、帰りの旅路では、たけし軍団のギャグが炸裂、沈んでいる少年を元気づけるために北野監督が選んだ方法はこれか、と思った、強烈なインパクトがあった、一風変わったコンビとはいえ、往路は、少年と親父の交流、事件、アクシデントを積み上げていく定石通りの流れと運び、定石通りとはいえ監督の腕はひかり、観ている観客は北野監督の世界へと引き込まれる、復路も同じ調子でストーリーが展開していっても、この映画の非凡さを損なうことはなかったであろうと思うのだが、監督は軍団に暴れさせた。

 

何故か、全くの勝手な解釈で監督の意図とは外れているかもしれないのだが、思うに、監督はこのまままじめにストーリーを展開していくことに、照れてしまったのではないか、と考える、映画のタイトル「菊次郎の夏」の ”菊次郎“ というのは監督の父親の実際の名前である、映画の中では少年と一緒に旅している ‘ヘンな親父’ が ’菊次郎‘ であろう、映画の中の往路において ’菊次郎‘ は ’ヘンな親父‘ から ’優しいいいおじさん‘ に変身する、映画のラストでも ’いいおじさん‘ として少年と別れていく、なので、復路でこの ’菊次郎さん‘ が描かれるとしたらおそらく少年にとっていいおじさんとしてのエピソードを描くしかなかった、復路ではさらに、少年と ’いいおじさん‘ とのエピソードを見せなければいけない、菊次郎という名前からして映画の中のおじさんと自分の父親のイメージはだぶる、そこで、監督はたけし軍団にギャグを連発させて、

映画の流れをぶっちぎって照れ隠しをした…‥‥と考える、外れているだろう、それとも、あたらずといえども遠からず?

 

 

                   Summer

 

さて、この映画では音楽も素晴らしい、優しく美しいメロディーは映画全体に流れている、久石譲作曲の「Summer」お気に入りだ、彼は北野監督作品の他の作品でも音楽を担当している、彼の「Summer」もこの作品を魅力的にしている要因のひとつだ、かつて、この「Summer」をパワーポインドで作ったスライドショーのBGMに使いたくて試みたことがあったが、著作権の壁にぶつかって断念したことがある、とても残念だった、使いたかったな。

 

菊次郎の夏」、夏にぴったりのタイトル、優しく、とてもいい映画だ、この暑い夏にぜひどうぞ!

 

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冒険者たち  アラン・ドロン/ リノ・バンチェラ/ ジョアンナ・シムカス 主演

冒険者たち [Blu-ray]

 

彼らは3人共に冒険者である以前に挑戦者であった、映画の冒頭3人はそれぞれ各人、あることに挑戦する、挑戦してそれぞれ各人失敗する、失意の中3人が新たな挑戦へ、別な言い方をすると、新たな冒険に挑戦する物語である、その新たな冒険に海が大いに関係する、以前、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」で、映画「冒険者たち」にでてくる明るくキラキラ輝く海について言及したことがある、3人の冒険者たちが夢に胸を膨らませて ’冒険‘ に挑戦する場である、明るくキラキラしていなくてなんとしよう。

 

安全にガードされた冒険などあるはずがない、冒険とはワクワクしながら胸弾ませるだけでは済まない、どんな冒険にも危険はつきものだ、どんな冒険物語でも、ヒーロー、ヒロインたちは冒険の途中に危険や困難が立ちはだかり、それらを乗り越えるべくさらなる挑戦をしていく、そうでなければ ’冒険‘ もつまらない、魅力もない、従って物語も盛り上がらない、この映画「冒険者たち」でもそれは同じだ。

 

また、この映画は冒険の物語であると同時に、恋の物語でもある、男性2人と女性1人、という人数バランスなので、自然と三角関係になる、だれとだれ、どの人とどの人との三角関係かは微妙なところがある、それは映画を観た人それぞれの判断にまかせたい、彼らの関係を考えながら見るだけでもこの映画は最後まで興味が尽きない、かもしれない。

 

そして、この映画では海が美しいのだが、その美しい海にもまして、やはり、アラン・ドロンが美しい、一緒に冒険をするレティシア・ヴァイス役にジョアンナ・シムカスという女優がいるが、はっきりいって、美しさという点でいうなら、女優のジョアンナ・シムカスよりもアラン・ドロンのほうが美しい、といっても言い過ぎではない、なので、「太陽がいっぱい」の時と同様に、この映画でもアラン・ドロンの美しさも堪能してほしい。

 

映画の最後のほうで、海に浮かぶ、なんと言ったらよいのか、島全体が一つの要塞みたいな島がでてくる、映画を観た当初はこの島、といっていいのか、場所はどこにあるのか非常に気になった、気になったけれどどこにある場所なのかわからなかった、今でもわからない、当時はフランス映画だと思っていたからフランスに近いどこかの島なのか、と思ったりしていた、今思うと、イタリアとの合作映画でもあるのだから、イタリアの海のどこかにある島なのか、とも思ったりする、が、謎のままだ、今現在でも存在しているのだろうか、とも思う、どなたか知っている方いないでしょうか?

 

主役の冒険者たち、3人以外で気になる登場人物というと、レティシアの従弟役のジャンジャン君、素朴で純真な感じの少年役、かわいい、リノ・バンチェラ扮するローランおじさんはジャンジャン君が気に入って、仲良くなっている、このあたりのシーンではフランスの本当に片田舎の静かな街がうつしだされる。

 

花の都パリから始まって、青く輝く海を経て、静かな田舎町まで、この映画を観て一緒に冒険をしよう、明るいだけではなく切なくもなる映画だ、又、全編に流れる音楽もいい、リピートして観たくなる映画、といえる、

ぜひ、どうぞ!

 

 

裏窓  ジェイムス・スチュワート グレース・ケリー 主演 /       アルフレッド・ヒッチコック 監督

裏窓 (字幕版)

 

アルフレッド・ヒッチコック監督再びで、今回は「裏窓」、足を骨折して動けない主人公、ジェームス・スチュワートが窓から向かいの家をカメラの望遠レンズでのぞき見して事件に巻き込まれてゆくという話、この映画のユニークなところは主人公は動かない、というか、動けない、映画の初めから終わりまでずっと一つ場所に座ったままで物語は進行してゆく、ヒッチコックも考えたなあ。

 

なので、主人公以外の周りの人間が動く、まず、動けない主人公の手となり足となり活躍するのが恋人役のグレース・ケリー、主人公を様々な面で助けてくれるのだが、主人公のカメラマンは案外、恋人にあぶないことをさせる、が、それがないと映画のストーリーも展開していかないので、いたしかたないところもある、こんなシーンはハラハラドキドキするところでもある。

 

主人公の何気ない暇つぶしの覗きから、主人公が疑惑を持つにいたるまでの理由を観ている観客をも納得させるように、ロジカルに理由づけていくプロセスも面白い、主人公の言っていることを聞きながら、なるほど、なるほど、とみている観客に思わせてしまうところも、ヒッチコックのうまいところか。

 

が、しかし、観客は納得させられても、映画の中にでてくる刑事は納得しない、やはり、警察ともなると確たる証拠もなしに犯罪を確信するわけにはいかないのは日本も外国も同じ、そこで、どうにも自分では動けない主人公は、先にも述べたように、恋人に頼み込んで危険なことをさせてしまう、という展開になる。

 

人間、暇になると、普段は、又は、忙しくしているときには考えもしないようなことをしてしまう、また、暇で時間があるだけに、そんなことをするチャンスを得てしまう、ということか、主人公の事件への巻き込まれ方が秀逸だと思う、さりげなく日常にありそうなことで、案外怖い設定かも、もっとも、映画自体の展開では明るい雰囲気が漂っていて、この場面で特に観ていて怖さは感じないのだが。やっぱり、ラストかな、怖い場面といえば、暇つぶしで始めた主人公の行為が、ラストの山場へとつながる。

 

よくできた、面白い映画、派手なアクションはない、最初に言ったように主人公はずっと窓際に陣取ってうごけないままだからね、静かに、少しづつ、普段の日常の中からサスペンスが醸し出されていって、観ている観客にスリルと不安と恐怖を感じさせる、また、ほめるけど、さすがヒッチコック

 

そして、最後に主人公には、こんな人の家をのぞき見していた ‘罰’ もちゃんと用意されている、最後は明るく終わるサスペンス、不安と恐怖は終わり、再び明るい日常に戻る、という感じかな、面白いよ!

 

 

スティング   ポール・ニューマン  ロバート・レッドフォード  主演

スティング (字幕版)

 

ポール・ニューマンロバート・レッドフォード、この二人のコンビはかつてゴールデンコンビだった、この映画「スティング」では、見事に息の合ったところを見せてくれる、この映画のコンビ大成功だ、ポール・ニューマンには「傷だらけの栄光」とか、「ハスラ―」とか、「暴力脱獄」であるとか、テネシー・ウィリアムスの戯曲の映画化「熱いトタン屋根の猫」とか、「動く標的」とか、書き出せばきりがないほど、いい映画がある、一方のロバート・レッドフォードといえば、フィッツ・ジェラルド作の「華麗なるギャッビー」であるとか、野球物語の「ナチュラル」であるとか、若き日のブラッド・ピットと共演の「リバー・ランド・スルー・イット」など、それぞれコンビを組まなくても、シングルで数多くのいい作品を持っている。

 

今回は、そんな二人がタッグを組んだ第二作目にして大ヒットの映画、ギャングと詐欺師たちが大物も小物(?)も入り乱れて、あちらでもこちらでもだましあい、気づいてみたらこんなことになっていたのか!という痛快な映画、音楽もいい、軽快でテンポよく、以前にはたまに、JRの駅のホームで電車の出発を知らせる曲に使われているのを聞いたことがあったが、今はどうなっているのか、それはわからない。

 

この映画のストーリーと詐欺師たちのだましあいもさることながら、何がいいって、もちろん、主役のふたり、ポール・ニューマンロバート・レッドフォードがいい、ポール・ニューマンは貫禄のある渋いカッコよさ、ロバート・レッドフォードは初々しいフレッシュなカッコ良さ、この二人を見ているだけでもこの映画は合格といえる。ポール・ニューマン扮する伝説の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフはロバート・レッドフォード扮する若き詐欺師ジョニー・フッカーを導き、諭し、育てていく感じ、一方、ジョニーは若いから血気盛んで、ゴンドーフの言うことを無視することもあり、ゴンドーフに助けられることもあり、失敗することもありで、観ているとかわいい、という感じ。

 

タイトルの「スティング」には、 ”刺す“ という意味や、俗語で ”手の込んだ詐欺“ という意味がある、どちらの意味でもこの映画にぴったりなタイトル、後者の意味ならそのものずばり、前者の意味でもこの映画にぴったりと言える、手の込んだ詐欺で ‘カモ’ をグサリと刺してあり金全部巻き上げて息の根を止める…‥といったところでしょうか、

 

午後6時台のNHKニュースを見ていると、ニュースの途中で ”私は騙されない“ という以前はオレオレ詐欺に引っかからないように、と呼びかけるコーナーがあった、今でもこのコーナーは続いているようでオレオレ詐欺も最近は進化(?)してきて、こちらもあの手この手、息子を語るという形からずいぶん変形してきている、現実の世界においては詐欺なんてとでもない、引っかからないようにぜひぜひ注意してもらいたいことだが、

こちらは映画、フィクションの話、しかも、詐欺の規模は大きい、カモも大きい、大きいずくしの詐欺の話、結末はいかに? 当然ながら言えるわけはなく、映画を観てほしい、必ず楽しめると保証したい!

明日に向って撃て! (字幕版)ポール・ニューマンロバート・レッドフォードには初めてコンビを組んだ映画「明日に向かって撃て!」という映画があって、こちらでは「スティング」とは全くスパイスの違う役どころのふたりが見ることのできる西部劇、全編を流れる ”雨に歌えば“ という曲もいい、「スティング」でこの二人のコンビに魅了されたならば、「明日に向かって撃て!」のほうもぜひ見てほしい、「スティング」とはまた、一味も二味も違う ’ポール&ロバート‘のコンビに出会うことができる、こちらもおすすめの映画、ぜひどうぞ!

 

 

ルードヴィッヒ 神々の黄昏  ヘルムート・バーガー 主演/    ルキノ・ヴィスコンティ 監督

 

 

ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター [DVD]

この映画は長い映画だ、長いということをまず覚悟して。この映画は歴史ものというか、実在した王の生涯を描いた作品だ、全体に暗いトーン、狂気はあるが笑いはない、耽美はあるが健全さはない、ヘルムート・バーガーロミー・シュナイダーは美しい、いくつも映画に登場する宮殿は豪奢だ、目もくらむような素晴らしい宮殿と病んだ精神、明と暗、美と醜、様々な対比を見せながら、悲劇へとストーリーは向かっていく。

 

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この映画の見どころのひとつは、映画にでてくる実際にルードヴィッヒが建てた3つの城、ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホフ城、ヘレンキームゼー城ノイシュバンシュタイン城は ”白鳥城“ というだけあって真っ白な城が優美な白鳥のごとく小高い丘の上にそびえている、だから歩いていくのは大変だ、坂道を登って城を目指さなくてはならない。が、登り切った頂上にそびえる、美しいノイシュヴァンシュタイン城を見た時は、坂道を登ってきた疲れも忘れてただただ感動。映画では、スクリーン上で城の内部までも見ることができる、城の中に鍾乳洞まで作って、人口の湖に船を浮かべて遊んでもいる、 “美と狂気”、ルードヴィッヒの生涯に興味のない人でも、ノイシュヴァンシュタイン城の映像を見るだけでも、この映画は観た方がいい。 

 

リンダーホフ城も素晴らしい、が、私は三つの城の中で一番印象が薄い、何故かな、ノイシュヴァンシュタイン城ヘレンキームゼー城に比べても、何ら遜色なく、素晴らしい城、素晴らしく美しい城だったけれど、記憶にとどまるとっかかりというか、引っかかるポイントに欠けていたのか。映画でも、リンダ―ホフ城の映し出されたシーンを鮮明に思い出せない、もう一度映画を観て確かめよう。見る価値、訪れる価値はもちろん十分な城。映画では見どころシーンの一つの城であることは確か。

  

三つ目のヘレンキームゼー城、この城はまたすごい、何がすごいかって、まず、この城はキーム湖と呼ばれる湖の真ん中に立っている、それだけでも、建設費かかっているように思える。次に、城に到着する前に、庭園にある噴水に目を奪われる、高く上がる水のダンスを十分に堪能した後、いよいよ城へ。ヘレンキームゼー城で素晴らしいのは何といっても鏡の回廊。ルイ14世に憧れていたルードヴィッヒがヴェルサイユ宮殿をまねて作ったといわれる、ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊よりも大きかった。贅沢だね、だが、もちろん素晴らしい、この鏡の回廊は映画にも登場する。

 

城の話ばっかり書いてきたが、大げさに言うと ”城“ がこの映画の見どころの一つといっても言い過ぎではないと思える。。ただ、もちろん城ばかりではなく、他にもこの映画の見どころはある、例えば ’馬車‘ とか。又、映画のストーリーとは関係ないんですか、と言われるかもしれないが、この映画にでてくる馬車、実に豪華で素晴らしい。ドイツには博物館があって映画で使われた馬車が展示してある、実物の馬車を見ると圧倒される、馬車に注目。

 

では、ストーリーは? ストーリーは狂気に満ちている。贅を尽くした3っつの城の建設もそうであるが、オーストリア皇女エリザベートを慕うルードヴィッヒ。相手は妃、いくら慕っても報われない関係もルードヴィッヒを狂気へ導く要因の一つか。ワーグナーとの関係、ワーグナーに利用されるルードヴィッヒ、ルードヴィッヒが狂気へと落ちてゆく過程、ストーリーとしても、みごたえがある。

 

ワーグナー:ベスト・オブ・ベスト

 

国民のことを全く考えないで城に、ワーグナーに贅を尽くしたルードヴィッヒ、同じく国民のことを全く考えないで ”パンがなければケーキを食べればいいじゃない“ と言い放ったマリー・アントワネット、どちらも同じ絶対王制の時代を生きた王族で、両者ともに自国の民のことを顧みなかっただけあって、前者は狂気に翻弄されて自殺、後者は断頭台へと送られる、どちらも最後は悲惨であった。

 

ヴィスコンティの描いた狂気と耽美の世界、この映画でそんな世界をのぞいてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

                   リヒャルト・ワーグナー 楽劇「神々のたそがれ」 指揮:ダニエル・バレンボイム 管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽団 [Blu-ray]

 

 

 

 

ローマの休日  オードリー・ヘップバーン /  グレゴリー・ペック 主演   ウィリアム・ワイラー監督

ローマの休日(字幕版)

 

身分の高い人が,例えば、王族とか将軍とかがお忍びで俗の世界を冒険するとか旅するとかいう話は割とよくある、例えば、日本では徳川時代の八代将軍徳川吉宗、映画やドラマの「暴れん坊将軍」としてもよく知られている、海外を見てみると、ディズニー版「アラジン」、アラビアンナイトの ”アラジンと魔法のランプ“ をベースにした物語だが、ディズニー版の「アラジン」に登場する王の娘、ジャスミン、宮廷という狭い世界に閉じ込められているのに我慢ならなくて、市中に飛び出す。

 

この映画で王室の公務に飽き飽きして退屈し、街に飛び出すのは、江戸の町を舞台にした時代劇で侍たちと立ち回りを演じる将軍ではない、また、生き生きとしたアラビアの町を楽しむアラビアの王女でもない、舞台はローマ、ローマの町に飛び出していくのはヨーロッパを歴訪中の某国の王女、という設定。この映画は当時無名に近かったオードリー・ヘップパーンを一躍世界にその名を知らしめ、オードリー・ヘップバーンは、アカデミー主演女優賞を獲得した。

 

暴れん坊将軍」ではもちろん、主役の将軍吉宗の活躍、さらに、江戸の町と江戸の侍、町人、江戸の文化などがドラマに魅力を添えた、「アラジン」ではアラビアの町の活気、タイトルにある”アラジン“ の全編にわたる冒険がドラマを魅力的にした、では、「ローマの休日」をこんなにも魅力的な映画にしているものは何?

  

舞台はローマだ、グレゴリー・ペック扮するアメリカ人記者ジョーがオードリー扮するアン王女をあちらこちら連れて回るローマの名所、アン王女がジェラードを食べながら、ジョーと再会するシーンが撮影されたスペイン広場、など、映画を通してローマの名所の数々をみるのは、もちろん楽しい、例えば、偽りの心のあるものが手を口の中に入れると、手が抜けなくなるとかいう言い伝えのある ”真実の口“、 映画でもジョーが口の中に手を入れてみるシーンがある、楽しいシーンだ、映画で見ると広々とした場所にあるんだな、という錯覚にとらわれるが、実際訪れてみると、教会の中にあり、入ってすぐの割と狭い場所にあるとわかる、スペイン広場でオードリーをまねして、ジェラードなんか食べてみるのも楽しい‥‥こんなふうに、ローマの名所の数々、観ているだけでも、また、実際に訪れてみるのもステキ。

 

ローマの名所もいいのだが、この映画の魅力の一番はやっぱり、主役のオードリー・ヘップバーンか、で決まり、映画全編を通して、とにかく、チャーミング。登場してすぐに、長い髪をカットしてショートカットにするのだが、ショートカットが実によく似合う、可愛い。先に紹介したオードリーの映画、「ディファニーで朝食を」や「シャレード」とはまた違った、清純な美しさというか、初々しい美というか、“可憐” という言葉がぴったりとあう美しさ。オードリーのこの ”可憐な美“ に魅せられて、映画に夢中になっているうちにあっという間にアン王女の休日は終わりに近づいてくる。

 

全編を通して、オードリー・ヘップバーンに映画をさらわれた感のあったグレゴリー・ペックだが、最後は見せる、ラストは哀愁に満ちたジョーの背中を見ながらいつまでもこの映画の余韻に浸ってほしい。

また、ジョーの友人のカメラマンも愉快、いい。そんな、こんなで、王女の休日は終わる、ローマの休日を終えてアン女王は一回りも二回りも大人になってこの映画は幕を閉じる。やっぱり、最大の見どころは、オードリー演じる ”可憐“ なアン王女かな、ぜひ、オードリーの可憐さに酔って下さい!

 

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グリーン・マイル    トム・ハンクス  主演    スティーブン・キング 原作

グリーンマイル (字幕版)

 

トム・ハンクスが若いときには、別にトム・ハンクスは好きな役者ではなかった、うまい、とも別段思っていなかった、どちらかというと、ちょっと嫌い、合わない、といった感じで若き日のトム・ハンクスの映画を観ていた、が、トム・ハンクスのことをこんなふうに思っている頃にも、トム・ハンクスは「フィラデルフィア」とか「フォレストガンプ」とか「アポロ13」など、いい映画、面白い映画に出演していて、次第に、うまい役者である、と思いはじめていた。

 

トム・ハンクスという役者がいい役者だ、特に好きというわけではないけれど、嫌いでもなく、この映画のトム・ハンクスはいい、などとかなり積極的に思い始めたのは戦争映画「プライベイト・ライアン」であるとか、この映画「グリーン・マイル」であるとか、若き日のレオナルド・ディカプリオと共演した「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」といった映画を観てからだ。ここまで書いてきただけでも、トム・ハンクスの代表作はずいぶんあるなあ、まだまだ、あるよ。

                    キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版)

 

 

トム・ハンクス主演「グリーン・マイル」はいい映画だ、ただ、映画が面白くなって来るのはトム・ハンクス演じる看守のポール・エッジコムと囚人ジョン・コーフィとの交流が始まってからなのだが、それまの刑務所内の様子とか、登場人物たちの関係とか、しょうもない看守パーシーとの確執とか、物語の後半の展開のためには映画としてはやはり、なくてはならない部分なのだが、やっぱり、少し、退屈、感は否めない。やはり映画が面白く急展開してくるのは看守ポールと囚人ジョンの交流が始まってから、この交流の始まりがこの物語の展開にかかわる大事件であり、そこから、物語はピッチを上げて面白くなってくる。

 

映画のタイトル ”グリーン・マイル“ ってどういう意味? って思うだろう、映画の中でも説明されるが、ポールの勤務する刑務所の床の色が剥げかかって緑いる、なので看守たちが ”グリーン・マイル“ と命名した。

映画の最初のほうで、パーシーが囚人を牢に連れていく場面、大声上げて “Dead Man Walking !!!” とわめいている、”Dead Man Walking “ って、どういう意味? これは、死刑囚を処刑場に連れて行くときに看守が言うセリフだという、なので、 ’死刑囚が通るぞ‘ ’これから死刑があるぞ‘ ぐらいの意味だと思うのだが、これを ’死人が歩く‘ とか ´死人が歩いているぞ’ のように訳すのはいかがなものか、と感じる、ちょっと違うんじゃないかな。

 

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ずばり、「Dead Man Walking」というタイトルの映画もある、死刑囚をショーン・ペン、共演スーザン・サランドンというこちらも名優といっていい役者をそろえての映画だ、「グリーン・マイル」よりももっと暗くて重い映画と感じる、「グリーン・マイル」も重いんだけれどね、どちらの映画を観ても思うことは、アメリカって死刑囚の死刑を被害者家族や関係者が見ることができるんだ、これって案外すごいことだと思う、もちろん賛否両論あって、この制度がよいとか悪いとかここでは言うつもりはないが、あくまで、とことん、徹底的に被害者サイドに立った制度ではあると感じる、日本の江戸時代の ’仇討‘ に通じるものを感じる、やはり、ある意味、すごい。

 

さて、「グリーン・マイル」では、看守ポールと囚人ジョンの関係だけではなく、ポールの仲間の看守たちとのエピソード、関係も面白い、映画にいいスパイス。そして、この映画にもやっぱり秘密がある、多少長い映画だけれど、最後までしっかり見ないと100%この映画を観たことにはならない、楽しさも半減だね、なので、この映画もゆっくりと、時間のある時に堪能してほしい、いい映画です!