Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

蜘蛛巣城  三船敏郎 主演/    黒澤明 監督

蜘蛛巣城

 黒澤明の映画は、外国の映画人によってリメイクされることが多かった、先に紹介した「隠し砦の三悪人」しかり、前回紹介した「七人の侍」しかり、が、本日話題にする「蜘蛛巣城」はその逆のパターンとなった、黒澤明が外国の、この場合誰もが認めるイギリスのスーパースター、シェイクスピアの戯曲「マクベス」を翻案とした映画を作った、それが「蜘蛛巣城」。

 

蜘蛛巣城“ は文字通り、マクベスの城 ”コーダ城“ にあたる。魔女の予言に翻弄されて破滅してゆく運命のマクベスが城主のコーダ城を模した ”蜘蛛巣城“ は三船敏郎演じる鷲津武時が 運命の張り巡らした蜘蛛の巣にとらわれ、もがけばもがくほど身動き取れず、最後には運命という大蜘蛛といってもいいような蜘蛛の餌食となってしまう。そんなストーリーににふさわしいタイトル。

 

蜘蛛巣城で注目すべきはもちろん、主役のマクベス役の鷲津武時、三船敏郎と思う。シェイクスピアマクベスには若干人間の弱さ、謀反を起こす迷い、ためらいみたいなものがあった。それを、気の強い奥さん、マクベス夫人に背中を押され、王殺害という大罪を犯すにいたる。一方、三船敏郎マクベス、鷲津武時は三船という役者の性格上、なかなかこのマクベスの気弱な心理を表現するもむずかしかったのでは、なんて勝手に思う。

 

この映画で印象に残っている三船敏郎は、ラストシーンで蜘蛛巣城に襲い掛かってくる侍たちと戦っている場面だ。例えば、本物の矢を三船に向かって射た、というあの有名なシーンとか、三船が ”山が動いている“ なんて言っているシーンとか。

 

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そして、マクベスともう一人注目すべき登場人物、もちろんそれは、迷えるマクベスの背中を思い切り押したマクベス夫人だ。この映画では山田五十鈴演じている。今までに3人の女優が演じるマクベス夫人を見た、日本の女優で。蜷川幸雄版「マクベス」の大竹しのぶ、同じく、仏壇マクベスといわれている、蜷川幸雄版「NINAGAWA マクベス」の田中裕子、そして今回の黒澤明監督「蜘蛛巣城」の山田五十鈴だ。三人三様のマクベス夫人でどれも印象的。 

 

今回の山田五十鈴は、“破滅への運命”、すなわち、 ”蜘蛛“ であると考える。マクベスをとらえるために蜘蛛巣城に蜘蛛の巣を張った蜘蛛のうちの一人。他の蜘蛛は?もちろん、映画の冒頭マクベスを誘惑するかのような予言をした老婆。シェイクスピアの原作では予言をするのは3人の魔女だが、映画では一人。なので、若干数の少なさを感じるが、マクベスを破滅させるためには十分に強力な ”蜘蛛” の魔法 だった。

 

迷える夫、鷲津武時に主君殺し、マクベス夫人と思いきや、主君を殺害した後は自分の手が血に濡れているという幻覚を見るようになり、精神を病む、頼れるものはいなくなった、一人とり残された鷲津は後は破滅への坂道を転げるばかり。背中押しといて、先に戦陣離脱なんて反則じゃないか、と思ったりするのだが、ここでまたシェイクスピアの有名なセリフが頭をよぎる、”弱きもの、汝の名は女なり“ と。

 

最後に、肝心なことを問いたい、この映画は面白いのか、と、何故、この映画を取り上げたのか、手に汗握る娯楽作品とは言えないかもしれない、シェイクスピアの四大悲劇の翻案なのでユーモア、笑いの入る余地はなかった、おどろおどろしい雰囲気、謀略、裏切り、狂気、と言っておよそ明るさからは程遠い要素ばかり、さらに、能の様式美を取り入れている。

 

七人の侍」の後の時代劇、「七人の侍」が ”動“ なら 「蜘蛛巣城」は ”静“ かな、違ったタイプの時代劇、娯楽性はないといいたい、なので、「七人の侍」のような面白さを求めたい人にはお勧めしない、が、‘後に残る’ 映画ではある、「マクベス」を翻案して日本の時代劇に置き換えた、その黒澤明の実験的といっていいのか、シェイクスピアへの ‘挑戦’ といっていいのか、を観てみたい人にはお勧め、「蜘蛛巣城」成功したのでは、と思う。

七人の侍   黒澤明 監督

七人の侍

 

迫力が違う、この映画は、出演者の名前が次々と出てくるオープニングから、音楽の迫力、そして、ストーリーが始まると、七人の侍の一人となる侍達、剣客の技の迫力、7人そろって村へ向かう ‘七人の侍’ の迫力、

7人のうち一人だけ侍に憧れる農民が混ざっているが、その男のがむしゃらな迫力、村を襲ってくる悪党、野武士たちの悪人ぶりとその迫力、迎え撃つ七人の侍と農民たちの迫力、そして、ラスト、激しく降る雨の中で、七人の侍、野武士、農民たちが入り乱れて激しく戦い抜く決戦の迫力‥‥と、映画全編を通して息をつく暇のないほどの迫力で、最後まで観せる。

 

黒澤明監督のあまりにも有名な一本、「七人の侍」。‘息つく暇のないほど’ と書いたが、実際の映画では迫力ある戦闘場面の合間に、ユーモアあふれるシーンあり、ロマンスあり、登場人物の苦悩あり、で緩急つけながらストーリーは展開していく、ここらへんはストーリーテラーとしての黒澤監督の才能がいかんなく発揮される。

 

                   荒野の七人(字幕版)

 

後にハリウッドで「荒野の七人」という西部劇で、ユル・ブリンナースティーブ・マックイーンチャールズ・ブロンソンジェームス・コバーンロバート・ボーンといったそうそうたるメンバーをそろえて、リメイクされている。オリジナルの「七人の侍」も侍、農民双方にそうそうたるメンバーをそろえているが、何しろ古い映画なので私の知る限りで ‘そうそうたる’ とわかるのは、三船敏郎志村喬千秋実藤原釜足、くらい、女優に至っては全然わかっていない、名前を揚げられなかった ‘そうそうたる’ 役者さん、ごめんなさい。

また、仲代達也と宇津井健がノンクレジットの街を歩く浪人役で出ているらしい、失礼だけれど、クスッと可笑しい、どれだけ若かったのか。

 

三船敏郎演じる菊千代の、こういっては何だが、めちゃくちゃな性格、行動、がこの映画の評価を一層押し上げ、5分の休憩をはさんで上映されるほどの長編映画に最後まで飽きさせることなく観客を釘付けにし、世界の中でも高評価をこの映画に与えている一因ではないか。めちゃくちゃだよね、菊千代ってやっぱり、それなりの悩みも抱えているのだが。

 

リメイク版「荒野の七人」にはいないんだよね、菊千代みたいなキャラクターが。リーダー役はユル・ブリンナー自らがきめる、リーダーのサポート役にはスティーブ・マックイーン、ロマンスを担う一番若年者の役にはホルスト・ブッフホルツという、私には全く未知だった役者を当てている、他の剣客たちにも上に記した ‘そうそうたる’ 役者が当たっているのだが、不幸なことに、アメリカには三船敏郎はいなかった。

 

菊千代がエネルギッシュに暴れまわる、勝手する、暴走する、アクションは大迫力、が、ユーモアもたっぷり、人懐こさも感じる、それでいて、正義感でもある‥‥こんな役を演じられる三船敏郎という役者が日本にいたことはありがたくも素晴らしいことで、もう一人の鬼才、黒澤明とのタッグによって、素晴らしく上質なエンタテイメントが生まれたといっても過言ではない。

 

七人の侍」の魅力は、語っても、語っても、そう簡単に語りつくせるものではない、映画そのものも長いけれど、映画を観終わった後の映画談義も延々と長くなる思われる映画、登場する役者の数も多いから最初のオープニングロールも長かった、映画自体の息もながい、1954年公開だから66年も前の映画、なのに、その人気はいまだ衰えず…‥と長いものづくしのこの映画、まだ秋の夜長には早いけれど、暑い夏の夜、迫力に満ちた「七人の侍」をみて、夏の暑さを吹き飛ばしてほしい!

   

情婦  ビリー・ワイルダー監督/  アガサ・クリスティー原作

 

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原作はアガサ・クリスティーの短編「検察側の証人」だ、「オリエント急行の殺人事件」に次いでクリスティー2回目の登場、映画としては「オリエント急行殺人事件」よりもずっと古い映画でモノクロ。

検察人、証人、という言葉からも推測できる通り、この映画は法定物だ、ただ、「十二人の怒れる男」とは異なり、密室の陪審ものではなく、文字どおり、法廷での弁護士、弁護側の証人、検察官、検察側の証人による、法廷劇となる、だから、裁判所でのやり取りのシーンは多い、退屈した場面もあった、小説を先に読んでいたのでなおさらだったのか。

 

この映画を観た時、まず、クリスティーの短編小説の「検察側の証人」を読んでいた、だから、映画を観ながらついつい原作と比較してしまった、ここは小説と同じ展開、こんなシーンは短編にはなかったなあ‥‥とか。が、短編小説のストーリーを2時間近い映画に膨らませなくてはいけないのだから、監督もいろいろ工夫する、そんな、監督ビリー・ワイルダーの工夫とアイデアと才能もこの映画から伝わってくる。

 

まず、小説ではさらりとしか描写されない、弁護士のキャラを、弁護士の生活を、ワイルダーはまず映画の冒頭でふんだんに見せる、時にやりすぎじゃない?トゥ―マッチ、と言いたくなりそうになるのだが、ラストでやはりこの冒頭のシーンは必要不可欠、しっかり描写されなければいけないシーンであったか、と理解する。

 

弁護士への依頼人、つまり被告でありかつ、マレーネ・デートリヒ演じるクリスチーネの夫にタイロン・パワー、このタイロン・パワー演じる夫が犯したと思われる罪について、この映画ではカンカンガクガクノ裁判の様子が描かれる、そして、この夫も小説に比べてキャラがしっかり描かれる、まあ、ある意味あたりまえ、映画で扱われる事件の中心人物となる男、しっかりしたキャラクター設定がなくてはならない、ワイルダーでなくてもそう考えるだろう。

最初に登場した時から、軽い、明るい…と思った、殺人罪の被告として裁判を受けるのに、こんなに軽くていいのか、とか、が、これもやはり、ラストシーンに自然につながる、適切な被告人の描き方だったと。

検察側の証人 (創元推理文庫)

 

この映画,ミステリーなので、最初に小説読んでいたら面白くないだろう、と思うかもしれない、私も若干そんな気持ちもなくはなかった、が…ラストは衝撃的。

クリスティーストーリーテリングの才能には敬服させられる、そして、映画を観て、クリスティーの上をいった、と筆者には思える、ワイルダーの才能にさらに敬服させられる。この映画は本当に、しっかり最後まで観ないといけない。

 

リアルな法廷劇にもかかわらず、ワイルダーの映画、隅々に粋なユーモアがちりばめられている、そんなところも魅力、クリスティーの小説を読んでから映画を観るのもよし、小説を読まずに映画だけを見るのもよし、どちらにしても楽しめる映画、クリスティーワイルダー、二人の巨匠の才能の共演をぜひ観てほしい。

映画 スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望        ジョージ・ルーカス 監督  

 

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望 (字幕版)

この映画を初めて見た時、オープニング早々強大なスター・デストイヤーが画面いっぱいに現れるのを見て目を見張った、この後続く映像は映画の最後まで画面に釘付けにされたように見入っていた…‥それだけこの映画の宇宙を描いている映像がリアルで、今までになかった宇宙空間を描いたからだ、もちろん、それまでにだってSF映画はあった、いつくかのSF映画も、SFのTVドラマも見ていた、が、宇宙空間の中をカーチェイスするかの如く、宇宙船同士がチェイスしたり、一人操縦の戦闘機が宇宙空間を飛び回ったり、リアルで見たこともないような惑星や宇宙人が出てきたり‥‥と、今までのSF映画とは全く異質のSF映画に出会った、と思った。

 

その宇宙船チェイスのハイライトが、ミレニアム・ファルコンだ、宇宙の流れ者のようなハン・ソロ船長と相棒のチューパッカのコンビは実に魅力的だった、映像の中の毛むくじゃらの巨大異星人が実在して、宇宙の果てのどこかで本当にミレニアム・ファルコンを操縦して暴れまわっているかのような錯覚に陥る。R2-D2C3POのロボットコンビも異色だった、それまでに見たSF映画やSFのTVドラマではこんなリアルなロボットが出てきたことはなかった…‥つまり何から何まで、大きな宇宙船から、登場人物、登場人物の使う小道具に至るまで、この映画で見るものは新しい宇宙映像、頭の中のイメージでしかなかったSFの世界を見事に視覚的に描き出してくれたところに、ジョージ・ルーカス監督の偉大なところがある。

 

 

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あまりにも有名な「スター・ウォーズ」シリーズの第一作目、SF小説を面白いと感じ、夜空の星を見るのが嫌いじゃなく、宇宙の果ての果てはいったいどうなっているのだろう、なんて考えることもある人間にとって、この映画は衝撃以外の何物でもなかった、大げさでもなんでもなく、そんな人間は思ったよりも世界には大勢いて、その人たちがやっぱりこの映画を初めて見た時、半端じゃない感動を覚えた、だから、現在、世界中に数限りないスターウォーズ・フリークたちが存在しているのではないか。

 

シリーズは全9作、すべてのシリーズが製作されて完成したわけだが、最初の3作、次の3作、最後の3作、登場人物たちも変わり、映画のタッチや雰囲気も変わって、初めて見た頃の感動が最後の9作目まで同じように続いたとは言わないが、ジョージ・ルーカスの作り出した世界はファンを魅了し続け、9作完成した今でもファンの心をわしづかみ、スター・ウォーズを超えるSF作品はないと信じる、生き生きとリアルで魅惑的な宇宙空間と宇宙世界を創造したという点において。

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チューバッカ ↑

 

ちなみに、ジョージ・ルーカスはこの「スター・ウォーズ Episode4」のストーリーのヒントを前回書いた黒澤明監督「隠し砦の三悪人」から得たという、確かに登場人物の設定、ストーリの流れ、ラストシーンなどにている、日本の時代劇をSFの世界に置き換えた、ジョージ・ルーカス黒澤明へのオマージュかしら。

 

シリーズを通してこの映画には魅力的な登場人物がたくさん出てくる、善人でも悪人でも、だれがお気に入りか、数え上げればきりがない、この映画を観れば、必ずだれががお気に入りのキャラクターになると思う、そのくらい魅力たっぷりの ”宇宙人“ がたくさんでてくる、また、宇宙の果ての果てと思っている宇宙が、案外宇宙の中心で、我らが地球こそが、宇宙の果ての果ての果ての、実はどうしょうもない辺境の地にある…‥なんてこともあったりして、まさに ’サイエンス・フィクション‘ の世界。

 

では、最後に、この映画では、あるきめのセリフがある、なので、最後に一言、 

 

          May the Force be with you!

 

 

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隠し砦の三悪人  三船敏郎 主演 /  黒澤明 監督

 

隠し砦の三悪人

黒澤明監督の長編時代劇、長い映画だけれど決して退屈しない、面白い、いい映画、娯楽大作映画、黒澤明という監督は本当にストーリーテリングのツボを知り尽くしていたような映画を何本もとっている日本が誇る素晴らしい監督であると思う、いまさらいうまでもないか。

 

この映画の見どころはいくつもあるのだが、まず、この映画を観ていつも思うことは「隠し砦の三悪人」というタイトルの “三悪人” ってだれ? ”隠し砦“ と言うのは、映画の最初にでてくる三船敏郎演じる真壁六郎田や上原美佐演じる雪姫たちが隠れていた場所のことをいうのだろう、三悪人の三人は? 姫を悪人というのはないと思うので、真壁六郎田と千秋実演じる太平と藤原釜足演じる又七の三人かな、と思ったり、いやいや、太平と又七は悪人というにはキャラが抜けすぎている、悪人というからにはもっと抜け目なく立ち回る悪さがなければいけない、ならば、やっぱり姫も加えて、ラスト、三人そろい踏みで見事に決めてくれる、真壁六郎田と雪姫と藤田進演じる田所兵衛の三人かな、でも、田所兵衛は隠し砦にはいなかった、いや、隠し砦にはいなかったが、やはり、ラスト、砦にはいたし、ある意味、’悪人‘ のカテゴリーに入れてもいい役回り、ここら辺は、映画を観て確認してもらいたい‥‥‥‥というように、どうも、タイトルの3人がどの3人なのかは何度この映画を観てもはっきりしない…まあ、面白くていい映画なので、そんなところはいいか‥‥と思ってしまう。

 

登場人物が皆それぞれの役どころでいい、三船敏郎の真壁は侍で、姫を守るという緊張感が常について回っているから、まじめでいつも太平と又七を怒ってばかり、というイメージが強い、姫も逃亡中という状況下、この二人に笑いを求めるのはやはり無理、が、この二人は二人で映画に緊張感と格調とアクションのみごたえを作ってくれる、さらに、この長い映画を飽きさせないポイントに挙げられる、ユーモア、笑い担当の太平、又七、そして、彼らに絡んでくる数々の悪人、善人、などなど…‥この作品の大きな魅力。

 

この映画には見せ場もCOOLなシーンも数多くあるけれど、一つ上げると、ラスト近く登場人物たちが馬で疾走するシーンではないか、3頭の馬が疾風のごとく一直線に駆け抜ける、観ていて胸がスッとすく場面、馬にまたがって疾走すべき人たちがもれなく馬に乗っていける、といったところもいい、何のことだかわからない場合は、やはり、映画で確認して‥‥とにかくも、カッコいいなあ、と感じるところ。

 

用心棒

                    椿三十郎

 

そして、三船敏郎の演じる侍はいい、やっぱり、この映画のほかにも黒澤明監督の「用心棒」や「椿三十郎」も最高だと思う、もちろん、三船演じる侍だけではなく、この2作品、ストーリーも映像もいい、これらの作品も見てほしい、黒澤映画の虜になるよ。

 

黒澤明監督の映画には「七人の侍」という大作があるのだが、今回は三船敏郎がCOOLな侍を演じている作品、ということで「隠し砦の三悪人」でした、いい映画、ぜひどうぞ!

12人の優しい日本人    三谷幸喜 監督

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まだ、日本に裁判員制度ができる前にこの映画はできた、ある意味、彼らはアメリカの陪審員だ、この映画は前回紹介したアメリカ映画「十二人の怒れる男」をパロディした映画、ただ、アメリカの映画は ’怒れる男‘ だったのに対して、日本版は ’優しい日本人‘ ということで、12人の中には女性も何人か含まれている、’男‘ 達も ’怒れる‘ というよりはどちらかと言いうと優しい感じ、のんびり、適当、線が細い‥‥といった雰囲気が映画全般を包んでいる。

 

陪審員2号を演じた相島一之を最近久しぶりにテレビの画面で見た、テレビ朝日の刑事ドラマ「相棒 Season 18」、 最終回SPの ”ディープフェイク・エクスぺリメント“ での内閣官房長官役、内閣官房長官とはいえ思いっきり悪い奴の役、ドラマの流れから言って「相棒 Season 19」が放映されるなら、必ずレギュラーとして出てくると思われる、当然ながら「12人の優しい日本人」の時と比べるとずいぶん年を重ねていたが、年を重ねた分、役柄もあると思うが、貫禄のある悪役、内閣官房長官にぴったりっていう感じ。

 

さて、「12人の優しい日本人」では相島一之はどちらかというとスリムで気が弱そうな陪審員を演じていて、何度か「議論しましょう」「話し合いたい」というセリフを口にする、やはり、映画のラストで何故、彼がそんなセリフをしきりに口にするのか、理由が明かされる、ある意味、この映画の ’秘密‘ かな。

 

売れない役者、として登場する豊川悦司陪審員役も印象に残っている、豊川悦司の出演している映画とかドラマとか特にこれといってみたことはなかったのだけれど、この映画で最初からやる気なさそうで、丸投げっていう感じの陪審員が、少しずつ、だんだん、場をリードしていく立場へとなっていくところがよかったのかな。

 

                        清須会議

 

この映画を観た当時は知らなかったが、この映画は三谷幸喜の戯曲であると後で知った、三谷幸喜というと「清須会議」とか、映画を観たのではなく本を読んだ、面白かった、「The 有頂天ホテル」であるとか、田村正和主演のTVドラマ、古畑任三郎のシリーズであるとか、人形劇シャーロック・ホームズ、見逃した回もあるのでぜひNHKに再放送してもらいたいくらい、など知っていた、彼の数ある作品の中のほんの一握りにもならないくらいだが、このわずかな作品を見ただけでも、彼が才能あふれる創作家であるとわかる。

 

清須会議  

 

12人の陪審員のたった二人しか取り上げなかったが、この映画の中で12人皆それぞれ個性的、いろいろな角度からの主張あり、意見がなかなか定まらない者もあり、自信たっぷりの陪審員、あまりにも自信なさげな陪審員…、結論はどこへ向かっていくのか。「十二人の怒れる男」とはまた一味も二味も違った味付けでパロディされ、怒っていた男たちとは違う優しい日本人の繰り広げるドラマ、another 法廷劇 とでもいうか、いい映画を鑑賞できる。 

 

もちろん、前回の「十二人の怒れる男」も、こちらの「12人の優しい日本人」も両方の映画を観てほしいな。 

 

十二人の怒れる男    ヘンリー・フォンダ 主演/    シドニー・ルメット 監督  

十二人の怒れる男(字幕版)

 

ヘンリー・フォンダ、実はあまり印象にない、沢山映画に出ている俳優なのだが‥‥、この映画もヘンリー・フォンダが主役だが、ヘンリー・フォンダだけが活躍するわけではない、12人の陪審員のなかのひとりだからね、しかし、彼らをリードする役柄ではある、この作品もこの作品のヘンリー・フォンダもいい、12人の男たちはCOOLだ。

 

この映画が作られたころ、陪審員制度といっても日本はない制度、今では、日本でも裁判員制度ができて一般の人々が被告を裁き評決を出す、というシステムができている、もちろん、アメリカの陪審員制度とは同じではないが、民間の一般の人々が被告を裁く側に立ち、その評決にかかわるという点で、共通するところを認める。この映画は一人の少年の有罪、無罪をめぐって12人の陪審員の評決にたどりつくまでの過程を描いた映画だ。

 

ヘンリー・フォンダの映画ってどんなものがあったかな、と言って、思いうかべてみると、あっ、そうだ、「戦争と平和」ってあったな、オードリー・ヘップパーンと共演した映画、そうだ、スタインベック原作の「怒りのブドウ」にもでていた、「西部開拓史」とか「荒野の決闘」なんていう西部劇にも、戦争映画にもでていた、「史上最大の作戦」「バジル大作戦」、ヒッチコックの映画にも「間違えられた男」にでていたなあ、といいうぐあいに、いい映画にはたくさん出演している、役者としてもいいと思う、が、私の中では存在感があまりなかった。

 

が、この「十二人の怒れる男」のヘンリー・フォンダは印象深かった、この映画のタイトルを聞くとヘンリー・フォンダ演じた陪審員の顔がすぐに浮かんでくる、そのくらいインパクトあったかな。現実の陪審員がどのような話し合いをして、どのような過程を経て最後の評決にたどり着くのかはわからないが、この映画で描かれる様子には引き込まれる。

 

また、この映画を監督したのはシドニー・ルメット、以前紹介した「オリエント急行殺人事件」やアル・パチーノ主演「狼たちの午後」の監督だ、この2作も ’名作‘ と言いたい、そんな、シドニー・ルメット監督のデビュー作品でもある、いい作品撮っているね。後に、ポール・ニューマン主演の「評決」という法廷物も再び監督しているが、この映画は観ていない…‥今度観ようかな、と思ったり。

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十二人の怒れる男」は法定物といっても、陪審員たちが一室にこもって議論に議論を重ねた末に、評決にたどりつく過程を描いた作品なので「評決」とはかなりタイプの違う映画、舞台の演劇で見るようなタイプの作品だ。今回は舞台演劇を見るつもりで、この映画を楽しんでみて、最後にもう一度言いたいけれど、いい映画!

「猿の惑星」  チャールトン・ヘストン 主演

 

何作も何作も続編が作られる映画がある、この映画もその一つ、この映画のラストシーンを見れば、さらなる物語が続くかな、と想像するかもしれないけれど。でも、このシリーズの中でいいと思うのはやはり第一作目のチャールトン・ヘストン主演の「猿の惑星」、もうずいぶんと古い映画になってしまったにもかかわらず。

 

人間がサルに支配されている惑星にチャールトン・ヘストンら扮する宇宙船の乗組員が不時着して、彼らが猿にとらわれて、そこから脱出するまでを描いているSF映画チャールトン・ヘストンが若い、あたりまえだけれど、俳優チャールトン・ヘストンというより、アメリカの全米ライフル協会の強力な支持者であり、会員であり、会長でもあった、と言ったほうが分かるのかもしれない。

 

人間がいろいろなものに支配されている惑星やそんな話がある、この映画のサルに支配されている人間、手塚治虫の漫画「鳥人大系」で、鳥に支配されている人間、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「ターミネーター」で機械に支配されている人間、トム・クルーズ主演の「オプリビオン」でエイリアンに支配されている人間、

映画ではなく現実の話で恐竜に支配されていた地球、人類は支配されるどころかまだ現れてもいない世界…‥手塚治虫の「火の鳥」では、ナメクジに支配されている地球がでてくる、これはノンフィクションの現実に挿入されたフィクションの世界‥‥あげればきりがないかも。

 

ターミネーター(字幕版)

 

                          オブリビオン (字幕版)

 

猿の惑星」の続編では、第一作目で登場したサルの博士のコーネリアスジーラが今度は逆に現代の地球に来てしまうという一作目とは逆バージョンの話もある、どうやって猿の惑星が誕生したか、の説明回の話もある、など興味は尽きなくどの回もそれなりに面白いのだが、シリーズ物の第一作目というのはやはり、そのシリーズについてだれも何も知らなくて、大げさに言うとそのシリーズのストーリの方向性を決定する、観る人に最高に強いインパクトを与えてその後の話をいつまでも見続けさせるという、面白さのある回で、そういう意味でシリーズ物の第一作目というのはいい出来なのだと思う。

 

猿の惑星」の第一作目のインパクトは、もちろんサルが支配している世界がどんな世界なのか、サルに支配されている人間はどんな環境にいてどんな扱われ方をしているのか、といったところにあり、その中で、チャールトン・ヘストン扮するテイラー大佐がどんな運命をたどるのか、といったところが見ている観客を引き付ける魅力であると思う。何よりも、サルに支配されている世界ってどんな世界か、初めて観客に映像で見せるというインパクトは、この映画の続編のかなわないところかしら。

 

猿の惑星」は5作品続いたのち、さらに3作品できている、残念ながら新しい3作品は観ていない、観なくてはダメ、といわれるかもしれないが、それはまた後日‥‥。ここでは、最初の5作品の話と思ってね。

 

とはいえ、「猿の惑星」面白いよ、ぜひ、一度観てほしい、はまってシリーズ最後まで、観てしまうかもしれないね!

 

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太陽がいっぱい Plein Soleil   アラン・ドロン 主演/             ルネ・クレマン監督

 

 

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アラン・ドロンという役者を一言でいいあらわせば、この一言に尽きる、”美しい“。 映画、「太陽がいっぱい」を見てもらえればわかると思う、イタリアの青い海、サンサンと降り注ぐ太陽の日、その中でキラキラと輝くアラン・ドロン、この映画は実は、”美しい“ 映画だったのだ。さらに ”美しい“ 映画に ”美しい“ 主題曲が流れる、 ”美しい“ づくしのこの映画だが、内容は、計画的殺人事件とその犯人の話、ちっとも美しくはない。

 

思うに、こんな人間の嫉妬のようなドロドロした感情、殺人事件のような血なまぐさく、やはりドロドロした事件を描くのに、美しい海、美しい空、美しい主人公、美しい音楽、美しい太陽の光‥‥などなど、美しさのオブラードどころか美しさの毛布、それも思いっきり分厚い美しき毛布で映画全体を包み込んでしまったところに、この映画の監督ルネ・クレマンの腕が光っている、だから、この映画のラストシーンも当全ながら、警察と犯人が格闘、チェイスしてアクションして‥‥っていう流れの結末ではなく、実に美しく爽やかな結末で、観る人を釘づけにして、長い、長い余韻を残す、ラストはこの映画の中でも、思いっきり美しい。

 

この映画にはハリウッドのリメイク版がある、マット・デイモン主演の「リプリー」という映画、このタイトルは主人公の青年の名前、トム・リプリー からとったタイトル、残念ながらこちらの映画は観ていない、配役には、マット・デイモン他、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ブランシェットなど人気活躍中の俳優たちが顔をそろえていたのだが。

 

マット・デイモンのファンの方には怒られるかもしれないが、客観的に見て ”美しさ“ という点から見た場合、どう見てもアラン・ドロンに軍配が上がるのではなかろうか。なので、リメイク版の「リプリー」は、犯罪と犯罪者を包み込む美しさを追求したのではなく、完全犯罪をもくろんだ主人公リプリーの才、頭の良さにポイントを置いた映画なのではないか、と考える、何しろ原作の小説のタイトルは「The Talented Mr. Ripley」だからね。

 

         冒険者たち→            冒険者たち [Blu-ray]

アラン・ドロンにはもう一つキラキラと輝く海とともに撮影された作品がある、「冒険者たち」という作品だ。

こちらは全編、明るくドキドキ、ハラハラ、する3人の若者たちの話、音楽もいい、もっとも、リノ・バンチェラ扮する自動車技師ローランは若者というより中年なのですが。この二つの作品どちらでも海は作中重要な役割を果たしている、両作品とも海はキラキラ明るく美しいことには変わりがない、が、この美しい海の意味するところは全く正反対の作品である。

 

日本にも美しく素敵な海はたくさんある、が、今回は南ヨーロッパの輝く青い海を堪能しつつ、人間の心の醜さと自然の美しさとのあまりにも大きな差異を感じ、美しい音楽と、”美しい“ 主人公役のアラン・ドロンに酔ってみてはいかがでしょうか。

 

 

ゴースト/ニューヨークの幻   デミ・ムーア 主演

ゴースト/ニューヨークの幻 (字幕版)

 

お化けとか幽霊とか、普通は怖い、が、この幽霊、ゴースト は全然怖くない、怖くないどころか頼もしい、勇敢、優しい、などなど、ちょっと変わっている、だから、暑い夏の夜の怪談話であるとか、お化け屋敷には向かない。この映画で、若き日のデミ・ムーアを見ることができる、とにかく、かわいいの一言に尽きる、最初から最後まで。デミ・ムーアパトリック・スウェイジと恋人同士の役、映画の冒頭ですぐに恋人役のパトリック・スウェイジは亡くなってしまう、通りすがりのトラブルのせい、だから、パトリック・スウェイジのほうはあっさり出番はなくなる‥‥、と言っておこう。

 

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この映画では、若き日のデミ・ムーアだけでなく、若き日のウーピー・ゴールドバークも見ることができる、怪しげな霊媒師の役だが霊媒師としての能力は本物である。霊媒師、と言って思い出すのはニコール・キッドマン主演の「アザーズ」(The Others )という映画だ。こちらの映画は、怖いよ、ニコール・キッドマン迫真の演技という感じ、この映画もやはり途中で観ることをやめてはいけない、最後までしっかり見ないと映画を見る意味がない‥‥言い過ぎかしら、でもラストシーンが大切な映画って、こうしてみると、たくさんある。

 

アザーズ [DVD]また、邦題の「アザーズ」、これでは何が何だかわからないよね、どんな映画か想像するのも難しい、が、思うにこの映画は他に邦題つけようがなかったのではないか、と思う、もしも、ゾクゾクってしたい人はこちらの映画も見てください、この映画も面白い!ウーピー・ゴールドバーグがでたついでに言うと、ウーピーが主演した映画「天使にラブソングを」、映画は見ていないけれど、ミュージカルのほうは観た、面白かった!なので、この映画もおすすめ。

 

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映画が始まってそうそうに亡くなってしまう恋人役のパトリック・スウェイジの映画で他に見るべき映画というと、かなり独断と偏見で、「アウトサイダー」(1983年)かしら、この映画では本当に、本当に、かなり若き日のトム・クルーズマット・ディロンロブ・ロウエミリオ・エステヴェス等を見ることができる、もちろん、彼らと共演しているものすごく若き日のパトリック・スウェイジも、あえてこの映画をチョイスしたのはただそれだけが理由。でも、そんな若き日の彼らを見るだけでもこの映画は十分に見てもよい映画、気が向いたらぜひどうぞ。

 

さて、「ゴースト/ニューヨークの幻」はいい映画だ、かわいいデミ・ムーアを見るだけでも気持ちがいい、加えてストーリーもいい、ウーピーもいい、ゴーストもいい、結末もいい、といいことづくしの映画、そして、最後に一つ、ハンカチ用意してね、ハンカチ用意してぜひ観て、観てね!

 

天使にラブ・ソングを・・・ (字幕版) 

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