Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

12人の優しい日本人    三谷幸喜 監督

12人の優しい日本人 [Blu-ray]

 

まだ、日本に裁判員制度ができる前にこの映画はできた、ある意味、彼らはアメリカの陪審員だ、この映画は前回紹介したアメリカ映画「十二人の怒れる男」をパロディした映画、ただ、アメリカの映画は ’怒れる男‘ だったのに対して、日本版は ’優しい日本人‘ ということで、12人の中には女性も何人か含まれている、’男‘ 達も ’怒れる‘ というよりはどちらかと言いうと優しい感じ、のんびり、適当、線が細い‥‥といった雰囲気が映画全般を包んでいる。

 

陪審員2号を演じた相島一之を最近久しぶりにテレビの画面で見た、テレビ朝日の刑事ドラマ「相棒 Season 18」、 最終回SPの ”ディープフェイク・エクスぺリメント“ での内閣官房長官役、内閣官房長官とはいえ思いっきり悪い奴の役、ドラマの流れから言って「相棒 Season 19」が放映されるなら、必ずレギュラーとして出てくると思われる、当然ながら「12人の優しい日本人」の時と比べるとずいぶん年を重ねていたが、年を重ねた分、役柄もあると思うが、貫禄のある悪役、内閣官房長官にぴったりっていう感じ。

 

さて、「12人の優しい日本人」では相島一之はどちらかというとスリムで気が弱そうな陪審員を演じていて、何度か「議論しましょう」「話し合いたい」というセリフを口にする、やはり、映画のラストで何故、彼がそんなセリフをしきりに口にするのか、理由が明かされる、ある意味、この映画の ’秘密‘ かな。

 

売れない役者、として登場する豊川悦司陪審員役も印象に残っている、豊川悦司の出演している映画とかドラマとか特にこれといってみたことはなかったのだけれど、この映画で最初からやる気なさそうで、丸投げっていう感じの陪審員が、少しずつ、だんだん、場をリードしていく立場へとなっていくところがよかったのかな。

 

                        清須会議

 

この映画を観た当時は知らなかったが、この映画は三谷幸喜の戯曲であると後で知った、三谷幸喜というと「清須会議」とか、映画を観たのではなく本を読んだ、面白かった、「The 有頂天ホテル」であるとか、田村正和主演のTVドラマ、古畑任三郎のシリーズであるとか、人形劇シャーロック・ホームズ、見逃した回もあるのでぜひNHKに再放送してもらいたいくらい、など知っていた、彼の数ある作品の中のほんの一握りにもならないくらいだが、このわずかな作品を見ただけでも、彼が才能あふれる創作家であるとわかる。

 

清須会議  

 

12人の陪審員のたった二人しか取り上げなかったが、この映画の中で12人皆それぞれ個性的、いろいろな角度からの主張あり、意見がなかなか定まらない者もあり、自信たっぷりの陪審員、あまりにも自信なさげな陪審員…、結論はどこへ向かっていくのか。「十二人の怒れる男」とはまた一味も二味も違った味付けでパロディされ、怒っていた男たちとは違う優しい日本人の繰り広げるドラマ、another 法廷劇 とでもいうか、いい映画を鑑賞できる。 

 

もちろん、前回の「十二人の怒れる男」も、こちらの「12人の優しい日本人」も両方の映画を観てほしいな。