Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画  リオ・ブラボー   ジョン・ウェイン 主演

リオ・ブラボー(字幕版)

 

 

リオ・ブラボーというのはいったい何のことかと思っていたら、この映画の舞台となった街の名前だった、141分、2時間以上ある長い映画なのである、殺人の罪で逮捕した男を刑務所に入れて、連邦保安官に引き渡すという、それを、町で幅を利かせているゴロツキの親分で、逮捕された犯人の兄貴が、弟を助けるために、弟奪還を画策するというストーリーで、監督ハワード・フォークスは手を変え品を変え、ギャングの兄貴たちに弟奪還のアイデアをひねり出させる。コテコテの西部劇である、多少時代を感じさせる設定や、シーンもなくはない、が、ストーリーテラーハワード・ホークスは、山あり谷ありのストーリーで2時間以上も長時間にわたって、観客を映画からはなさない、そう、面白いのだ、ジョン・ウェイン演じる保安官チャンスと仲間たちと、ギャング一味の戦いと駆け引きが。

 

まず、保安官の味方となる仲間がいい、ディーン・マーチン演じるアル中の相棒、デュード、デュードが酒から立ち直っていくくだりは面白い、足の悪い毒舌のスタンピー爺さんも、牢番ばかりでさぞ退屈だろうと、同情を禁じえないが、要所要所でキーポイント的な活躍をしており、足の悪い老人であるからと言って侮れない助っ人なのである。一番最後に仲間に加わった早撃ちの若者、コロラドもその早撃ちはみごとであり、危機一髪の保安官チャンスを助けることとなる。

 

この四人に、女賭博師のフェザーズが絡んできて、保安官チャンスと恋に落ちるのだが、二人の恋の行方が、これもいい、ジョン・ウェインは相変わらずこの映画でも、まじめで、仕事一筋、超男らしくて、勇気は誰にも負けないが、武骨で不器用、女性にお世辞の一つもいえず、自分の気持ちを素直に伝えられない、という、映画「アラスカ魂」の時とほぼ同じ、男を演じる、こんな男を演じると、ジョン・ウェインは水を得た魚のように、生き生き(?)としているのは何故だろうか、ジョン・ウェイン定番のイメージでもある。

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かように、主人公の保安官をはじめ、登場人物達は、生き生きとして西部の時代を生きている、そんな、映画である。筆者は知らなかったが、この映画は、以前このブログでも取り上げた、ゲーリー・クーパー主演の西部劇映画「真昼の決闘」に描かれている “クーパー演じる保安官の姿に不満を持ったハワード・ホークスジョン・ウェインが映画「真昼の決闘」のゲーリー・クーパー演じる、悩める保安官とは全く正反対の保安官とその仲間たちを描いた” 映画である、ということらしい。

 

確かに、映画「真昼の決闘」の保安官は宿敵が保安官の命を取りに仲間とやってくる汽車の時間が迫る中、助っ人は集まらずに、悩んだり、臆病風に吹かれたり、焦ったりする、最愛の奥さんですら保安官を見捨てて街を去ろうとする、命の危険を目の前にして、リオ・ブラボーの町のチャンス保安官とは真逆の、まさに、踏んだり蹴ったりの絶望的状況である。

 

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劇中で使われる歌にもその真逆さは現れる、映画「真昼の決闘」のテーマ曲は、“俺を見捨てないで、ダーリン、俺を見捨てないで、ダーリン” で始まる、聞きようによっては、”真昼の決闘“ という勇ましいタイトルの割には、どこかめめしさすら感じる歌詞ではないか、かたや、映画「リオ・ブラボー」では ”皆殺しの歌“ という、ギョッとするような歌が、ギャングより保安官たちに贈られる、もちろん、こんな歌を聞いたからと言ってひるむようなチャンス保安官一党ではない。このかなり徹底した反発、ハワード・ホークスジョン・ウェインはクーパー演じる、どこか頼りなげな保安官がよほど気に入らなかったと見える。

 

映画「リオ・ブラボー」のチャンス保安官にはそんな頼りなさ、みじんも感じられない、まさに、“男の中の男”、これもまた、以前このブログでも取り上げた映画「ダーティー・ハリー」のキャラハン刑事と共通する形容詞、ここに至って判明する、キャラハン刑事というのは、ジョン・ウェイン的男らしさの流れをくむ現代のヒーローであったか。

 

ということで、映画「ダーティー・ハリー」が気に入っている方には、この映画「リオ・ブラボー」もきっと気に入るのではなかろうか、と筆者は思ったりする。西部劇と刑事ドラマとジャンルはちがえど、どちらも拳銃撃ちまくるっていう映画だからね。映画「リオ・ブラボー」、先にも書いたけれど、2時間を越える西部劇、ビールでも片手にゆったりと楽しむのがおすすめ、でした。

 

 

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