Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

太陽がいっぱい Plein Soleil   アラン・ドロン 主演/             ルネ・クレマン監督

 

 

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アラン・ドロンという役者を一言でいいあらわせば、この一言に尽きる、”美しい“。 映画、「太陽がいっぱい」を見てもらえればわかると思う、イタリアの青い海、サンサンと降り注ぐ太陽の日、その中でキラキラと輝くアラン・ドロン、この映画は実は、”美しい“ 映画だったのだ。さらに ”美しい“ 映画に ”美しい“ 主題曲が流れる、 ”美しい“ づくしのこの映画だが、内容は、計画的殺人事件とその犯人の話、ちっとも美しくはない。

 

思うに、こんな人間の嫉妬のようなドロドロした感情、殺人事件のような血なまぐさく、やはりドロドロした事件を描くのに、美しい海、美しい空、美しい主人公、美しい音楽、美しい太陽の光‥‥などなど、美しさのオブラードどころか美しさの毛布、それも思いっきり分厚い美しき毛布で映画全体を包み込んでしまったところに、この映画の監督ルネ・クレマンの腕が光っている、だから、この映画のラストシーンも当全ながら、警察と犯人が格闘、チェイスしてアクションして‥‥っていう流れの結末ではなく、実に美しく爽やかな結末で、観る人を釘づけにして、長い、長い余韻を残す、ラストはこの映画の中でも、思いっきり美しい。

 

この映画にはハリウッドのリメイク版がある、マット・デイモン主演の「リプリー」という映画、このタイトルは主人公の青年の名前、トム・リプリー からとったタイトル、残念ながらこちらの映画は観ていない、配役には、マット・デイモン他、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ブランシェットなど人気活躍中の俳優たちが顔をそろえていたのだが。

 

マット・デイモンのファンの方には怒られるかもしれないが、客観的に見て ”美しさ“ という点から見た場合、どう見てもアラン・ドロンに軍配が上がるのではなかろうか。なので、リメイク版の「リプリー」は、犯罪と犯罪者を包み込む美しさを追求したのではなく、完全犯罪をもくろんだ主人公リプリーの才、頭の良さにポイントを置いた映画なのではないか、と考える、何しろ原作の小説のタイトルは「The Talented Mr. Ripley」だからね。

 

         冒険者たち→            冒険者たち [Blu-ray]

アラン・ドロンにはもう一つキラキラと輝く海とともに撮影された作品がある、「冒険者たち」という作品だ。

こちらは全編、明るくドキドキ、ハラハラ、する3人の若者たちの話、音楽もいい、もっとも、リノ・バンチェラ扮する自動車技師ローランは若者というより中年なのですが。この二つの作品どちらでも海は作中重要な役割を果たしている、両作品とも海はキラキラ明るく美しいことには変わりがない、が、この美しい海の意味するところは全く正反対の作品である。

 

日本にも美しく素敵な海はたくさんある、が、今回は南ヨーロッパの輝く青い海を堪能しつつ、人間の心の醜さと自然の美しさとのあまりにも大きな差異を感じ、美しい音楽と、”美しい“ 主人公役のアラン・ドロンに酔ってみてはいかがでしょうか。