トム・ハンクスが若いときには、別にトム・ハンクスは好きな役者ではなかった、うまい、とも別段思っていなかった、どちらかというと、ちょっと嫌い、合わない、といった感じで若き日のトム・ハンクスの映画を観ていた、が、トム・ハンクスのことをこんなふうに思っている頃にも、トム・ハンクスは「フィラデルフィア」とか「フォレストガンプ」とか「アポロ13」など、いい映画、面白い映画に出演していて、次第に、うまい役者である、と思いはじめていた。
トム・ハンクスという役者がいい役者だ、特に好きというわけではないけれど、嫌いでもなく、この映画のトム・ハンクスはいい、などとかなり積極的に思い始めたのは戦争映画「プライベイト・ライアン」であるとか、この映画「グリーン・マイル」であるとか、若き日のレオナルド・ディカプリオと共演した「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」といった映画を観てからだ。ここまで書いてきただけでも、トム・ハンクスの代表作はずいぶんあるなあ、まだまだ、あるよ。
トム・ハンクス主演「グリーン・マイル」はいい映画だ、ただ、映画が面白くなって来るのはトム・ハンクス演じる看守のポール・エッジコムと囚人ジョン・コーフィとの交流が始まってからなのだが、それまの刑務所内の様子とか、登場人物たちの関係とか、しょうもない看守パーシーとの確執とか、物語の後半の展開のためには映画としてはやはり、なくてはならない部分なのだが、やっぱり、少し、退屈、感は否めない。やはり映画が面白く急展開してくるのは看守ポールと囚人ジョンの交流が始まってから、この交流の始まりがこの物語の展開にかかわる大事件であり、そこから、物語はピッチを上げて面白くなってくる。
映画のタイトル ”グリーン・マイル“ ってどういう意味? って思うだろう、映画の中でも説明されるが、ポールの勤務する刑務所の床の色が剥げかかって緑いる、なので看守たちが ”グリーン・マイル“ と命名した。
映画の最初のほうで、パーシーが囚人を牢に連れていく場面、大声上げて “Dead Man Walking !!!” とわめいている、”Dead Man Walking “ って、どういう意味? これは、死刑囚を処刑場に連れて行くときに看守が言うセリフだという、なので、 ’死刑囚が通るぞ‘ ’これから死刑があるぞ‘ ぐらいの意味だと思うのだが、これを ’死人が歩く‘ とか ´死人が歩いているぞ’ のように訳すのはいかがなものか、と感じる、ちょっと違うんじゃないかな。
ずばり、「Dead Man Walking」というタイトルの映画もある、死刑囚をショーン・ペン、共演スーザン・サランドンというこちらも名優といっていい役者をそろえての映画だ、「グリーン・マイル」よりももっと暗くて重い映画と感じる、「グリーン・マイル」も重いんだけれどね、どちらの映画を観ても思うことは、アメリカって死刑囚の死刑を被害者家族や関係者が見ることができるんだ、これって案外すごいことだと思う、もちろん賛否両論あって、この制度がよいとか悪いとかここでは言うつもりはないが、あくまで、とことん、徹底的に被害者サイドに立った制度ではあると感じる、日本の江戸時代の ’仇討‘ に通じるものを感じる、やはり、ある意味、すごい。
さて、「グリーン・マイル」では、看守ポールと囚人ジョンの関係だけではなく、ポールの仲間の看守たちとのエピソード、関係も面白い、映画にいいスパイス。そして、この映画にもやっぱり秘密がある、多少長い映画だけれど、最後までしっかり見ないと100%この映画を観たことにはならない、楽しさも半減だね、なので、この映画もゆっくりと、時間のある時に堪能してほしい、いい映画です!