Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画  三つ数えろ   ハンフリー・ボガート 主演

 

 

三つ数えろ [DVD]

 

レイモンド・チャンドラーの生み出した探偵フィリップ・マーロウと言えば、もう、ハードボイルドの代名詞ともいえる有名な探偵であるが、今回、ハンフリー・ボガートがこのフィリップ・マーロウを演じ、先に紹介した映画「マルタの鷹」の探偵サム・スペードに続いて、男の中の男(?)、堅ゆで卵のハード・ボイルドを演じて魅せてくれる。今回は、マーロウの相手は謎に満ちた美しいお嬢さんを演じるローレン・バコール、ボガードとバコールが結婚していたというのは知らなかった。

 

大富豪のわがままいっぱいに育った姉妹、妹の方がある事件のためにゆすられていて、それを何とかしてくれという大富豪からの依頼、依頼を受けてゆすり相手の古本屋を訪ねるところから事件に巻き込まれていくマーロウ、ストーリーは面白い、姉のほうもいわくありげで一筋縄ではいかず、事件は事件を生み、ストーリーはこんがらがって、この映画もしっかり見ていないと、わけがわからなくなってしまうかな、という感じ。

 

この映画「三つ数えろ」にも、見せ場はいろいろあるのだが、筆者はこんなシーンを気に入っている、ゆすり相手の古本屋の向かいにもう一軒古本屋が、その向かいの古本屋の店員のお嬢さんとお酒を酌み交わしてのやり取り、眼鏡をとって髪を下した彼女に向かって、マーロウが一言、「みちがえたな。」この時、英語では「Hello」と言っているのだが、この時のいい方、アルファベット “o” にアクセントを置いて、彼女と目と目を合わせ、ハスキーな声で ”Hello“ といった。こういった ”Hello“ の使い方というか、言い方、面白かった、ストーリ展開とは全く関係のないこんなシーンにも、筆者は興味を感じたりしてしまう、ちょっと、粋なシーン。

 

もう一つは、やはりラスト、最初に死体が転がっていた屋敷で犯人と対決をする、この時の決着の付け方、うまかった、犯人の企みを見破っていてそれを逆手にとっての勝負、女性の扱いだけではなく、頭のほうも冴えに冴えているフィリップ・マーロウはやっぱりカッコいい。そして、さらに、ラストのラスト、この展開はいろいろ意見もあろうと思うが、一つ言えることは、ハードボイルドのフィリップ・マーロウ、女性には優しいということか、もっとも、依頼人の大富豪を気遣った行動ともいえるか。

 

こんなことに気づいて、書いてみようと思うのは、おそらく筆者くらいのものだと思うので、書いてみるが、クリント・イーストウッドは自身が監督した映画「ダーティー・ハリー4」では、この映画「三つ数えろ」をある意味、なぞったか、または、ハンフリー・ボガート演じるフィリップ・マーロウへのオマージュだったのか、と筆者には思えてならなかった。ダーティー・ハリーこと、キャラハン刑事も第4作目においては、女性に優しいラストであった、やっぱり、はっきり言って、映画「三つ数えろ」と同じだった、また、どちらの映画にも姉妹が出てくるのも同じだが、この姉妹は事件と大きく関係があり、これもまた、どちらの映画でも、妹のほうは精神を病んでいる、という設定、精神を病むに至った経緯などはもちろん異なるだろうが。また、主役の刑事と姉妹の姉のほうは、恋に落ちるとまではいかないと思うが、お互いに好意を持ちあう流れ‥‥などなど、全く異なったストーリーなのだが、ベースになる軸、というか、核は同じ、と感じる。

 

 

【映画パンフ】ダーティーハリー4 クリント・イーストウッド

↑  ダーティー・ハリー4

 

 

 

だからと言って、映画「ダーティー・ハリー4」がよくない、とか、けしからん、というわけではなく、映画「ダーティー・ハリー4」は、それはそれで面白かった、クリントー・イースドウッドもよかった、最後まで抵抗していた犯人はクレイジーすぎて、あの結末以外は、観ているほうも納得しかねたかもしれない。

 

映画「三つ数えろ」で若干、不満に思うのは、最後の終わり方で、あれはあれでいいのかもしれないが、なんだか、尻切れトンボ風、中途半端風、余韻ゼロ、と感じてしまって、そういう意味で言ったら、全く同じラストではあるのだが、クリント・イーストウッド監督のほうがうまく撮った、と、この点においては、映画「ダーティー・ハリー4」に軍配を上げてしまいたくなる、筆者でした。

 

マルタの鷹(1941) (字幕版)