若き日のクリント・イーストウッドはカッコいい、かたや、相棒となる、リー・ヴァン・クリーフもカッコいい、二人とも早撃ちの名手で、定めた狙いは外さない、が、映画はマカロニ・ウエスタンとはいえ西部劇で、わりと、簡単に人間を撃ち殺していく、お尋ね者の死体が山と積まれたトラックが映し出されたりして、割と壮絶感も漂わせたりする。クリント・イーストウッド主演の大ヒットしたマカロニ・ウエスタンの第2作目である、
一応、マカロニ・ウエスタンというのはいったい何かというと、イタリア製の西部劇のことで、スパゲッティ・ウエスタンであるとか、ティラミス・ウエスタンであるとか命名せずに、甘くも柔らかくもない、ゆであがる前の 硬いマカロニを選んで、”マカロニ“ ウエスタン と命名したところに、先にも書いた、死体がゴロゴロ出てくる、やたらと人を撃ち殺す ”男の世界“(?)、”硬派の世界(?)“ をイメージしたのではないか、と考える。
もう一人の賞金稼ぎの大佐、リー・ヴァン・クリーフはスーツに身を固め、どちらかというと、スタイリッシュに、クールに、お尋ね者をしとめていく、彼には賞金稼ぎをするそれなりのある理由があるのだが、風来坊風のクリント・イースドウッドの賞金稼ぎと、対称的で、対称的な二人が、協力し合うようになるところも面白い。
日本語タイトルは「夕陽のガンマン」であり、原題は「For a Few Dollars More」(もう数ドルのために)と言って、前作「荒野の用心棒」に続き、用心棒ではなく、賞金稼ぎが主人公の映画である。
賞金稼ぎの映画なのに、”用心棒” とした、前作「荒野の用心棒」の邦題は、監督のセルジオ・レオーネが黒澤明監督の「用心棒」のファンであり、日本映画「用心棒」へのオマージュから第一作目 (原題「A fistful of Dollars」《一つかみのドル[金]》)、 を製作したことを考えて日本語タイトルを「荒野の ”用心棒“」としたのは明白。
筆者が驚いたのは、賞金稼ぎというのは昔の西部開拓時代の話だとばかり思っていたのだが、現代のアメリカにも形を変えて ”賞金稼ぎ(bounty hunter)” という ”職業“ があるらしい、ということ、もっとも、西部開拓の時代のように、お尋ね者の遺体にも賞金を支払うということはもちろんなく、”該当する法律に従って犯罪者や逃亡者を逮捕することで報酬を得ている“ とある。どうやら、アメリカには、保釈の際の保釈金を立て替えてくれる会社があり、その保釈金を踏み倒して保釈中に逃亡する犯罪者が多く、そんな犯罪者を追跡して捕まえて、高額な保釈金を取り戻し、謝礼をもらう、というシステムのようだ。
そういえば、映画「スターウォーズ」にも賞金稼ぎ(Bounty hunter)は登場していた、賞金稼ぎボバ・フェットはハン・ソロを追跡して、捕まえ、ジャバ・ザ・ハットに引き渡していたではないか。西部開拓の時代から、現在を経て、遠い未来のSF映画まで…賞金稼ぎが日常の生活の中にも普通にある職業として成り立っている社会であるからこそ、のボバ・フェットだったか。
映画「夕陽のガンマン」、賞金稼ぎという言葉を第2作目も使わず ”ガンマン“ としたところにクールさを感じる、又、”夕陽の“ とつけたことによって、なんというか寂莫とした荒涼感が出て、背中に夕日を浴びてたたずむガンマンの姿が浮かぶイメージ、確かに、映画の舞台となっている西部の町は荒れた、そっけなさを醸し出す寂莫感漂う街になっている。
是非、この映画で、若き日のクリント・イーストウッドの早撃ちに堪能して、黒澤明監督の映画「用心棒」及び、「椿三十郎」、こちらも観てほしい、賞金稼ぎと用心棒、西と東、どちらもクールで、ハマることは間違いないよ!