Kororon 映画について語るBlog

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映画  ヘイトフル・エイト    クエンティン・タランティーノ 監督

 

ヘイトフル・エイト(字幕版)

 

”ミニーの紳士服飾店“ というのは、実際の服飾店というよりも、きっと、今で言うなら、高速道路のサービスエリア、長距離運転してきた車が、途中一休みして、ドライバーや乗員が一服したり、食事したり、時には、車にガソリン入れたりする場所といえる。映画「ヘイトフル・エイト」の舞台は、南北戦争終結直後のアメリカであるので、車ではなく、駅馬車のサービスエリア、駅馬車の御者や乗客が一休みするところ、馬車を引く馬を一休みさせる場所、であると考えなくてはいけない、実際、映画での描写もそれに近い。

 

そして映画の舞台はこの ”ミニーの紳士服飾店“ であり、この服飾店内で起こる、様々な事件、陰謀、人間模様(?)、そして、殺戮が、この映画を通して描かれる。さすがクエンティン・タランティーノ監督の映画だけあって、殺し合いのシーンでは、迷いも、情けも、容赦もなく、次々と死んでゆき、死体の山。もともと、映画の冒頭から死体の山である、何しろ、主人公ともいえる、サミュエル・ジャクソン演じるマーキス・ウォーレンは賞金稼ぎである、また、駅馬車に同乗しているカート・ラッセル演じる、ジョン・ルースも賞金稼ぎで、こちらは死体を運びはしないが、捕まえたお尋ね者が縛り首にされるのを見届けることをモットーにしており、そんなお尋ね者、今回は女、を護送中である。そんな、賞金稼ぎ二人、捕らえられたお尋ね者の女、そして途中、偶然にも馬車に拾われることになる新任保安官と馬車の御者、この5人が ”ミニーの紳士服飾店“ に到着して、物語は展開し始めるのである。

 

今、5人と書いたのであるが、この映画のタイトルは「ヘイトフル・エイト」、つまり、「ヘイトフル・8」、「The Hateful 8」なのであり、実はこの映画では ”数字” がある意味を持っているのではないか、と筆者は考える。この映画が、クエンティン・タランティーノ監督、8作目の映画、ということもあるらしいが、「The Hateful 8」、日本語にしてみると、「憎むべき8人」、または、「悪意ある8人」「忌々しい8人」というタイトルになり、観ているほうは当然、この ”8人“ って、いったい誰なの? と、思ってしまうことは想像に難くなく、なので筆者は考えてみた、この ”ヘイトフル 8人“ を。

 

  ”ミニーの紳士服飾店“ に集った面々は、主人公と思える賞金稼ぎ二人と新任保安官も含めて、皆、一癖も二癖もありそうな人物ばかりである、この中の誰がタイトルにもある ”ヘイトフル 8人“ であるか、考えていくのは実はなかなか、骨の折れる仕事である。映画のポスターには8人の人物がいるのであるが、映画を観ると、素直にこの8人が ”ヘイトフル 8人“ である、と、決めつけることはできない展開になる。しかも、原題には ”The” が付いており、 ”The” が付くということは、”きっかり8人” でなくてはならぬ。 

  たとえば、この服飾店に集まった人々の中で、確実にこの8人から除外されると考えられるのは、物語の冒頭登場して、賞金稼ぎら4人を服飾店まで連れてきた駅馬車の御者、O.B.ジャクソンだけであり、この御者は毒入りのコーヒーを飲んで、あっけなく死んでしまう。映画では、この御者が先に述べた4人を服飾店に駅馬車で連れてきただけであり、特別、この ”8人“ に入るような、”憎むべきこと“ ”悪意あること“ ”忌々しいこと“ などに手を貸したり、手を染めている事実はない。

 

  それ以外の人物と言えば、新任保安官であると本人が言っていても、果たしてそれが真実かどうか疑わしかったり、口数の少ない、元南軍将軍のサンディ・ズミザース老人は大の黒人嫌いで、南北戦争中に多くの黒人を虐殺していたり‥‥と、この ”8人“ から除外できそうな人物も、実は…という展開になるのだ。受賞は逃したが、ゴールデングローブ賞では脚本賞にもノミネートされている映画である、この ”8人“ 探しで以外でも、もちろん、ストーリは面白い。先の読めない、タランティーノ監督の才気あふれる脚本で撮られた映画である。

 

  南北戦争終結直後の話、ということもあってこの映画では、人種差別問題も含めて、何がいいのか、どれが悪いのか、おそらく映画を見る人によって、その、判断は、もしかしたら、人それぞれ、微妙に判断も異なり、又、判断つきかねる、なんていうシーンもでてくるかもしれない。ということで、先ほどから言っているように ”この8人“ がどの8人であるかを判断するのは難しい。これからこの映画を観ようと思っている方は、そんなことなども、頭の片隅において、”8人探し” を試みるのもいいかもしれない。そうすると、この映画の楽しみ方も少々違ってきて、なお一層この映画を楽しめるのではないのだろうか、と思う。タランティーノ・ファンではなくても、一度見てみるのも悪くないかもしれないね。

 

  

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