現代人が過去にタイムスリップする物語ときいてすぐに思い出すのは、大ヒットしたハリウッド映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、大好きな映画で、とても面白い!と思う映画である、主人公のマーティー少年が、若き日の自分の両親と出会い、物語は展開する。タイムスリップする話となると、まず、どこの時代にタイムスリップするか、というのが一つのポイントであり、それで言うと映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はユニークな着想で成功した、ロバート・ゼメキス監督快心の作品と言えるのではないかと思う。
それでは、アメリカではなくて日本ではどうかというと、タイムスリップ・ストーリーと言ってすぐに頭に浮かぶのは、映画ではないが、筆者も以前取り上げたことのあるTVドラマ「信長のシェフ」、現代のシェフが戦国時代にタイムスリップして織田信長の料理人として、戦国の世を生き抜くというストーリーで面白かった。そして、今回取り上げたタイムスリップ映画「本能寺ホテル」も、織田信長が明智光秀の謀反によって打ち果てた ”本能寺“ というタイトルからも想像できる通り、映画の主人公は戦国時代にタイムスリップして、そこで織田信長に出会うのである。
日本のタイムスリップ映画では、タイムスリップする時代に何故か戦国時代が多い、そして、タイムスリップした戦国時代で出会う人物というのも、織田信長が圧倒的に多いと感じる。タイトルだけ挙げてみても、先に述べたTVドラマ「信長のシェフ」、今回取り上げた「本能寺ホテル」、筆者は未見であるが映画「信長協奏曲」、「信長協奏曲」はもともとコミックであり、TVドラマにもなったようだ。筆者は以前、現代にタイムスリップしてきた信長と少年の掛け合い、そんな、コマーシャルも見たことがある、残念ながら、何のコマーシャルかは記憶にないが。
なぜ、織田信長はこんなに人気があるのか? 戦国時代にタイムワープしてしまった先で、徳川家康や、豊臣秀吉や、武田信玄とともに冒険する、なんていう話は聞かない。思うに、これらの武将であったら、未来からきた、などとわけのわからないことを言おうものなら、怪しい奴、と言われて、即刻その場で切り捨てられるのが落ちではないかと想像できる。一方で、織田信長はこの戦国の世という時代にあって、おそらく唯一、未来から来た、なんていう突拍子もないことを受け入れてくれそうな人でもある。宣教師に、地球儀を見せられ、地球は丸いという概念を一瞬のうちに理解した、という逸話も残っている、日本以外の外の世界にも目が向いている、新しいもの、珍しい物好きである、発想が超独特である、など...日本の武将の中では一番、自分が未来人なんて話を怒らずに聞いてくれそうな素地はある。
ちっとも映画の話にならないじゃないか、と思われるかもしれないが、映画のほうは確かに主人公は ”本能寺の変の前日“ に過去に戻り、織田信長と出会うのであるが、結局、この映画は、主人公の女の子の人生目標探しの旅であり、筆者が思うには、わざわざ戦国時代に来て、信長に会わなくてもよさそうな気がする。信長の描かれ方も浅く、せっかく信長を出すなら、もっと深く、深く、掘り下げて描いてほしかった、森蘭丸も登場するのだから、信長の登場シーンはもっと面白くできたのじゃないか、とも思った、つまり、”本能寺“ ホテル、というタイトルの割には信長と戦国時代の描かれ方が物足りないのである。
文句ばかり言っていると思われるかもしれないが、筆者は織田信長、大好きであり、”本能寺“ と来たからには、織田信長に期待してこの映画を観た、なので、悪くないところもあるのである、例えば、ホテルが、もう少し厳密にいうと、ホテルのエレベーターが現代と過去とをつなぐ入り口、タイムマシンの役割を果たすという着想は面白かった、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が初めて公開されたころ、タイムマシンが車、デロリアンであるという着想が新鮮で、話題にもなったと記憶する、それと同じ意味で、エレベーターもよかった。
といわけで、今回は、大好きな、織田信長映画、ということもあり取り上げてみた。悪くないところも、つまり、いいところもないって言うわけではないのだが、映画への期待が大きかっただけに、その反動の物足りなさは割合と大きく、今回は実に残念であった、と言わざるを得ないのでした。
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