渡辺謙はこの映画「ラストサムライ」を皮切りに、「バットマン ビギンズ」「SAYURI」「硫黄島からの手紙」とたて続けにハリウッド映画に出演、見事ハリウッドデビューをはたし、その後も何本もハリウッド映画に出演、いまや、日本を代表する、世界の渡辺謙、となる、といってもいいのでは。明治維新後の明治、近代化に突き進む日本において、近代化の波に乗らず、いや、乗れなかったのか、維新前の武士の世界で生きている人々のいる村がある。
そんな、江戸時代の武士の世界を、西洋人の視点から、監督は美しく描き出す、美化されすぎているかもしれない、と、感じなくもないが、その村では ”武士道“ に乗っ取った、理想の武士が描き出される。平和で美しい、村の生活、近代化の日本と共存できたらいいのに、と思ったりもしたのだが、中央集権で近代化を推し進める政府には、まげを結って、刀を腰に下げている、旧態依然とした武士の存在は、じゃまであったか。そんな “旧” と “新” のぶつかり合いがこの映画であり、映画では、”新“ が ”旧“ を飲み込む、息の根を止める。
映画の後半は、この新旧の決戦となり、近代戦闘装備を備えた、圧倒的に数で勝る日本軍隊と、まさに映画タイトルの “最後の侍” との対決となる、近代兵器、つまり、銃、マシンガン、の前に、バタバタと倒れていく騎兵の侍たち、黒澤明監督の代表作、映画、「影武者」の長篠の合戦のシーンで、織田軍の鉄砲隊の攻撃の前に、バタバタと倒れていく武田騎馬軍団を思わせる、迫力は十分でみごと、が、しかし、黒澤監督へのオマージュか、と思えてしまう、映画「ラストサムライ」の、最大の見せ場のシーン。
ここまで読んでくると、この映画「ラストサムライ」は、邦画か、と思われるかもしれないが、いやいや、れっきとしたハリウッド映画、この映画の主役は世界の大スター、トム・クルーズだ、ゴールデングローブ賞でもアカデミー賞でも、渡辺謙がノミネートされたのは助演男優賞。では、この侍映画でのトム・クルーズの役割は?
この映画はあくまでも西洋人、トム・クルーズ扮する、ネイサン・オールグレン大尉の目を通してみた話である。本国アメリカで、罪もないネイティブ、インディアンたちを虐殺しまくった、というトラウマに苦しんでいるネイサンは、渡辺謙演じるところの侍、勝元の捕虜となり、勝元の村でひと冬過ごすうちに、侍の生き方に惚れこみ、勝元や他の侍たちを助けながら、日本政府軍と一線を交えるという役回りである、幸い、ネイサンは命はとり止めることのなるのだが。
この映画で、勝元演じる渡辺謙は素晴らしい、主役、トム・クルーズを食ってしまい、トム・クルーズがかすんでしまいそう、と筆者は感じた、実際、「最後の戦闘のシーンでは、侍の一人、氏尾を演じる真田広之の殺人姿が非常に見事であり、主役のトム・クルーズより目立ってしまった、という理由で、真田広之のシーンが大幅にカットされた」、ということだ、筆者などは、このカットされたシーンが見たい、と思ってしまう。
よくできた映画だ、前半のネイサンが日本に来ることになる次第のストーリーよりも、日本に来てからのほうがずっと面白くなる、侍の描き方もいい、先にも述べたように、非常に美しく描かれる、最後の戦闘も迫力ある、が、いかんせん、最後の戦闘で、黒澤明の映画「影武者」がオーバーラップしてしまう、また、最後の激戦が迫力はあるのだが、若干、冗漫に感じて、若干、退屈してしまった…というところが残念、といえば、残念。
そして、筆者は本来、トム・クルーズのファンであるのだが、この映画では、やはり、トム・クルーズよりは渡辺謙に軍配を上げたいと思う。
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