Kororon 映画について語るBlog

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ブラックレイン   ~松田優作に寄せて~             高倉健 /  マイケル・ダグラス  主演

 

ブラック・レイン (字幕版)高倉健マイケル・ダグラス松田優作アンディ・ガルシアという役者、そして、監督はリドリー・スコット

今見てもそうそうたるメンバーと監督が顔をそろえた映画だ、また、松田優作の遺作である、という点からもこの映画は何か特別感に包まれている映画に思える。日本が舞台だけあって、リドリー・スコットの日本の描き方、日本の刑事の描き方、といろいろと物申したいところもあると思う、が、今回スポットを当てるのは、なんといっても松田優作、別に彼の遺作だからというわけでもない、が、この映画の中で一番光っているのは松田優作、この人であるといいたい。

 

松田優作の出演していた映画やドラマをすべて見ていたというわけではない、が、「太陽にほえろ!」で刑事役をしていた時の若き松田優作は見ていた、実際、そのくらい。この映画も特に松田優作が目当てで見た、というわけでもない、映画を見てみたら、松田優作が一番光っている、と思ったということ。

この映画で松田優作はコテコテの悪人を演じる、マイケル・ダグラスアンディ・ガルシア演じる刑事たちがアメリカから松田優作演じるヤクザを護送してくるのだが、脱走されてしまい、日本の刑事高倉健を加えた三人でこの脱走犯を探して回る、という話だ。

 

松田優作演じるこのヤクザは本当に悪い奴で、その悪党ぶりは剃刀のごとくシャープで、氷のごとく冷酷、ずうずうしく大胆…‥どんな悪人?と思うかもしれないけれど、主役でかつ、当時もすでに大スターだった高倉健の影がかすんでしまうくらいの悪党ぶり、そんな松田優作の演技、と言ったら大袈裟かしら。

 

この映画の撮影後、しばらくして松田優作は亡くなってしまう、自分の病気であることを承知の上でこの映画の撮影に臨んだ、と後で聞いた、松田優作のこの鬼気迫る悪党ぶりの演技は自分の命を懸けて撮影に臨んでいた鬼のような彼の役者魂、というか、役者根性みたいなものが、彼の演技からスクリーンを見る我々に伝わってくるからではないだろうか。

 

この映画ではもちろん他にも語るべきところはある、例えば、マイケル・ダグラス扮するアメリカの刑事は、ご多分にもれず、最初は日本の警察のやり方になれず高倉健扮する刑事と衝突する、日本の刑事にたしなめられながら、結局最後は‥‥というところも、特に目新しくない展開だが面白かった、映画で描かれる大阪の街を見るのも面白い、また、今振り返ってみても、高倉健松田優作以外にもすごい日本人俳優の面々がキャストとして名前を連ねている、例えば、ガッツ石松とか内田裕也とか若山富三郎とか安岡力也などなど、ほかにもまだまだいる。

 

この映画を見て、松田優作という俳優が好きになった、なので、彼の息子、松田龍平デビュー作の映画「御法度」まで見てしまった、まあ、この映画は松田龍平デビュー作というだけでなく、主演、ビートたけし、音楽、坂本龍一、監督、大島渚 という「戦場のメリークリスマス」トリオ復活、という映画でもあったし、見ようと思った動機はこちらの方が強かったかな。

御法度「ブラックレイン」この映画は面白い、単に面白いだけではなくこの映画を見て松田優作をはじめ日本の様々な俳優がハリウッド映画という舞台で華やかに活躍している姿を見ることもできる、雨ばかりが降り続きじめじめした日々が続く今日この頃、「ブラックレイン」という、かなり ”悪の(あくの)’’ 強い映画を見てこのじめじめ感を吹き飛ばしてみてはいかがでしょうか。