ダーティーハリーシリーズの最後を飾る第五作目、1988年製作であり、第一作目の「ダーティーハリー」が1971年製作であるから、足掛け10年以上もかけて完結したといえようか、第一作目から10年以上も経過しているとなると、主役のクリント・イーストウッド演じるハリー・キャラハン刑事も、当然ながら、ずいぶんお年を召されたかな、という印象をまず感じるが、マグナム44は容赦なく火を噴き、悪人を許すことなく、厳しい制裁を加えていくところは、相変わらずである。ただ、シリーズ最後の犯人をしとめるのは、このマグナム44ではなく、別の武器となる、それは何か、さっそくだが、やっぱり映画を観て確かめよう。
相変わらず容赦なく火を噴くマグナム44ではあるのだが、10年という歳月を経て、キャラハン刑事も多少角が取れたか、映画の始まり当初はともかく、映画中盤ともなると、女性ジャーナリストとデートして、まんざらでもなく、女性に優しい、キャラハン刑事を見ることができる。どうも「ダーティーハリー3」で女刑事の相棒を持ったあたりから、「ダーティーハリー4」をへて、キャラハン刑事と女性が絡むシーンも多くなり、ついに最終回「ダーティーハリー5」では、女性には紳士的であるキャラハン刑事の姿を見ることとなる。
今回も単独行動していたキャラハン刑事に相棒が付くことになるのだが、今回はアジア系相棒、アル・クアン刑事。映画によると中国系アメリカ人の刑事という設定である。白人の相棒、黒人の相棒、女性の相棒、と人種とジェンター関係の相棒がそれぞれでてきて、次は人種関係でもう一つ、アジア系相棒、ということか。キャラハン刑事の上司いわく“中国系アメリカ人の相棒であると警察のイメージアップになる” ということだ、なんだか、「ダーティーハリー3」で女性刑事を相棒にしたときの上司のセリフとたいして変わりがないのでは。そして、今回の、この相棒もこれまでのキャラハン刑事の相棒の例にもれず、その運命は想像するとおり、果たして命を落とすのかどうか、これもまた、映画を観て確かめよう。
今回は珍しく、キャラハン刑事が体を鍛えているシーンがいくつか登場する、相棒と一緒にウェイトトレーニングをしている、もっともこの時キャラハン刑事はウェイトではなく、トレーニングしている女性に見とれてしまうのだが、次に、ボクシングの練習、ジョギングしているところ、と、鍛えているなあ、というところを見せる、劇中にもキャラハン刑事がマグナム44に火を噴かせるのではなく、素手でもって相手をボコボコにするシーン、犯人から、とにかく走って逃げるシーンなどなど、トレーニングの成果がでているな、と思わせるシーンはある。
また、警察や上司とキャラハン刑事の関係も、多少ギクシャクするところはファンへのサービスか、劇中多少、描かれるのだが、今回は、キャラハン刑事が警察のイメージアップに一役買っている、であるとか、警察や上司とキャラハン刑事の関係はそれほど険悪になることもなく、キャラハン刑事も余計な横やりを入れられることなく捜査に打ち込める、といったところ、こんな描写も10年の歳月を感じさせるところと言えなくもない。
とはいえ、シリーズ5作目にしてなお、キャラハン刑事健在であり、相棒と違って、キャラハン刑事にあっては、犯人は生きて刑務所に入ることなく、マグナム44の弾丸の前に倒れるという運命にある。映画「ダーティーハリー5」は面白い、ダーティーハリーシリーズは5作あれど、どれも外すことなく面白い。というところが素晴らしいところであり、脚本ももちろんいいのだろうが、主役ハリー・キャラハン刑事の魅力と演じるクリント・イーストウッドの魅力も大きくその人気に貢献していることは間違いない。
映画「ダーティーハリー シリーズ」は1作目から5作目まで、やっぱり、すべて見ることをお勧めしたい、ダーティーハリーの魅力、わかるかなあ。