最初に断っておくが、この映画はこのブログで初めて書く ”あまりお勧めできない“ 映画である、え!!! 勧められないのに、何で紹介するのか? と思われるかもしれない、でも、紹介したいのである、何故か? と、問われれば、それは、単に筆者がヒッチコック映画を愛するからであり、数あるヒッチコック映画の中には、これはちょっと ’無理‘ と思える映画も無きにしもあらずなのであるが、ミステリーの巨匠としてヒッチコックは多くの秀作、名作、傑作を残しているのもまた事実。
筆者はミステリーが好きで、推理小説、探偵小説もよく読むのだが、この映画を観ていると思いだしてしまうのは、アメリカの作家、ウィリアム・アイリッシュの短編、「消えた花嫁」、とてもよく似ているのだ、いや、まったく同じ、といってよい、ストーリーの中心となるトリックが、まあ、ヒッチコックがこの映画「バルカン超特急」(原題:The Lady Vanishes/ ご婦人が消える ) を作ったのは1938年、アイリッシュが「消えた花嫁」(原題:All at once, No Alice/ 突然、アリスが消えた) を含む短編集「死の第三ラウンド」を出版したのは1972年だ、なので、ヒッチコックのほうが断然早いのだが。
トリックは秀逸である、では、一体何が気に入らないのか筆者は‥‥、考えてみると、登場人物たちが列車に乗り込むまでの前半のシーンかな、おそらく、このシーンではこれから列車に乗り込み、事件に巻き込まれる人々を観客に紹介しなければならず、作られたシーンであると思うのだが、若干、古さを感じてしまった、また、何か重大事件でも抱えていると思わせるイギリス紳士二人の気にかかっていることは、クリケットの試合のことであった、というユーモあるのだが、ここも今一つ笑えなかった、つまり、全体に、時代がかっていて、ちょっとついていけない感がある、同じトリックではあるが、ヒッチコックより後に書かれた「消えた花嫁」のほうが、よりスタイリッシュで新鮮に感じてしまった。
“時の経過” という厳しいふるいにかけられてなお、現在でも私たちに感動を与えてくれるものはある、映画にかぎらず、小説、音楽、絵画‥‥などなど、このBlogでは、そんな ”時“ という厳しいジャッジを経てきた作品を主に紹介してきたつもりであるが、残念ながら映画「バルカン超特急」はこの冷酷無慈悲な ”時ジャッジ“ に “否” の判決を言い渡されてしまった、と感じる。筆者はこう書きながら、今こうして自分の書いている文章も、果たして,この ”時ジャッジ“ にどんな判決を言い渡されるのかなあ、と、思ったりもしてしまう。
ヒッチコックには「裏窓」という映画もある、このBlogでも以前紹介したことがある、この映画はアイリッシュの小説「裏窓」を映画化したものだ。
は僕の「バルカン超特急」 のトリックじゃないのかね。
アイリッシュ: ヒッチコックさん、お気づきになられましたか。
どうもすいません、あなたのトリックがあまりにも素晴らしかった
もので、僕の小説でも使わせてもらいました。
ヒッチコック: いや、かまわないさ、光栄だよ、
若い人たちに、認められるっていうのはね、
ところで、アイリッシュ君、物は相談だが、
君の小説の「裏窓」、映画化したいんだが構わないかね、
なかなかいい作品だよ。
アイリッシュ: どうぞ、ヒッチコックさんに気にいられたなんて光栄です。
ヒッチコック: まあ、これで、おあいこというわけか。
いい映画にするとうけあうよ。
(注:この会話はフィクションです)
こんな会話があったかなかったのか、筆者の全くの想像です。というわけで、映画「バルカン超特急」、古い映画、ヒッチコックファンであるなら、ぜひ観たいところかしら、筆者はそのヒッチコックファンであるために、観てしまいました、実は、これが2回か3回目!
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