初めてこのドラマをみた時、現代版ホームズのシャーロックがスマホを使って事件を追っていく様子、スマホのテキストの映像のあらわし方、犯人のタクシーを追ってロンドン中を走り回る様子、現代版ワトソンであるジョンとのやり取り、ジョンの射撃の腕前、ラストなどなど、このドラマのあらゆることが新鮮で、今までとは全く異なるシャーロック・ホームズとジョン・H・ワトソンを見せられた。そして、このBBC、TVドラマ「シャーロック」の虜となる。このシリーズ第一話は、原作の「緋色の研究」(A Study in Scarlet )をパロディした、「ピンク色の研究」(A Study in Pink)。
ドラマはシリーズ化され、現在シーズン4まである。その次は?と、ファンなら思うが、いまだ、シーズン5が作られる、という話もうわさも耳にしない、とても残念。とはいえ、ここでは、この大好きなBBC、TVドラマ「シャーロック」がなぜこんなに人気があるのか、その理由を考察してみた。
まずベネディイクト・カンバーバッチ演じるホームズが異色だった。原作のホームズのみならず、それまで映画化やTVドラマ化されてきた、どのホームズよりも、エキセントリックで、ドラマでいうところの ”高機能社会不適合者“ だった。ワトソンこと、ジョンに対してもかなり無理なことをいったり、めちゃくちゃじゃない、と思わせるような態度をとったりする。コナン・ドイルの生み出したホームズの個性をもっとオーバーに、大袈裟にしたよう。が、このBBC、TVドラマのホームズが、現代のロンドンにピッタリ馴染んで、違和感なく受け入れられる。
マーティン・フリーマン演じる、ワトソンもすっかり現代風、何しろ、シリーズ全体を通して、ジョンはよくシャーロックを殴る、そんなにシャーロックを殴らないで、と観ているほうが思うくらい。原作では考えられない展開。ホームズの理不尽さに憤ることはあるけれど。
ドイル原作のホームズ物語の中では、ワトソンは、ひたすらホームズの天才に驚き賛美し、ホームズの心配をし、時に、ホームズが自分の能力を過小評価するといって、憤懣やるかたない気持ちになる。BBCのジョンは殴るだけではない、さらに、現代のワトソンはホームズをよく怒鳴る、こちらもいろいろな理由があって、様々な場面があるのだが、現代版、ワトソンは感情を素直にあらわにする。こんな、現代に驚くほどマッチした、ホームズとワトソン、シャーロックとジョンの姿が魅力に溢れ、原作のファンを虜にしたのは当然だったかしら。
二人の下宿の女主人のハドソンさんもBBC、TVシリーズ「シャーロック」では、原作とは異なり、魅力的に変身している。何よりも、存在感が格段に増した。原作通りに19世紀が舞台となったシリーズ番外の「忌まわしき花嫁」では、ハドソン夫人はいみじくも叫んでいる、“もっとセリフをくれ” と “もっとしゃべらせろ!” と。そうなのだ、ドイルの原作では、ハドソン夫人は確かにホームズ物語において、大切な登場人物で、大切な役回りをしているのだが、その出番といっては、いつも依頼人を案内するか、ホームズとワトソンのために朝食や夕食を用意したりする役目のみで、ドラマのようなあふれる魅力を振りまく、というようなことは残念ながらない。
レストレイド警部もだ、原作よりも人間味があって、筆者は、BBC、TVドラマのレストレイド警部が好きである、そして、レストレイド警部の存在感もBBCの「シャーロック」では増している。原作にないホームズに恋している検死係の女性、モリーの登場もこのドラマのスパイスであると思う。
以上のような理由で、通常ならば、みんなからそっぽを向かれてしまうと想像できる ”エキセントリック“ で ” 高機能社会不適合者“ の現代のシャーロック・ホームズは 世界中の人々を虜にするのであった。レストレイド警部も言うのである、ドラマの中で、”シャーロックはいいやつだ“ と、一度きりではない、ドラマを通してレストレイドのこのセリフは何度か出てくる、”いいやつだ“。
こう書いてきたからといって、ドイル原作のホームズとワトソンの魅力がBBCのシャーロックとジョンに劣るなどと思ってはいけない、原作のシャーロック・ホームズとジョン・H・ワトソンが限りなく魅力的であればこそ、彼らとその世界が現代に置き換えられても、普遍の魅力を持つのだ。
ということで、BBC、TVドラマ「シャーロック」のファンで、まだ、ドイル原作のホームズ物語を読んだことのない方には、是非、原作のホームズ物語を読むことをお勧めする。原作を読んでこそ、現代版「シャーロック」は、より一層、魅力的になること間違いなし! ですよ。
☆お知らせ 本を出版しました。
シャーロキアンて何?
ホームズ・ファンだけでなく、
ホームズも、ミステリーも初めての方も、
美々子が待っています!
クラシック好きのあなたのために‥‥
ギドン・クレーメルに言及しています
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