Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画  心の旅路

 

 

心の旅路 [DVD]

 

 

 

前回の映画「リオ・ブラボー」のときに、この映画は長い、と書いたが、今回のこの映画「心の旅路」も長く2時間にも及ぶ映画である、が、今回も前回の映画「リオ・ブラボー」の時と同じように、2時間という長さをほとんど感じることなく、ストーリーに引き込まれていく、つまり、この映画も面白い、映画「リオ・ブラボー」と違って、アクション、銃撃シーンなど一つもない映画である、記憶喪失の主人公と彼を助けた女性が恋に落ちて、始まる恋愛映画である。ハリソン・フォード主演の映画に「心の旅」(Regarding Henry) という映画がある、邦題のタイトルだけ見て筆者は、最初この映画はハリソン・フォード主演の映画であるか、と勘違いしていたが、いい意味で期待は裏切られた。

  

原作は有名なイギリス文学の一つ「チップス先生さようなら」を著した、イギリス人作家ジェームズ・ヒルトンであり、チップス先生はパブリックスクールで子供たちを教え導いていたが、映画「心の旅路」の片方の主人公、グリア・ガースン演じるポーラは、記憶喪失かつ、自信喪失の、こちらも主人公、ロナルド・コールマン演じるところのスミシ―を、親切に優しく導く。スミシ―は記憶は取り戻さないが、自信は取り戻し、恋に落ちた二人はめでたくゴールインし、幸せな家庭生活を営んでいく、前半のシーンは、観ているほうも幸せになれる。

 

このストーリーのポイントは、やはり、記憶を取り戻したスミシ―が、本来の自分の記憶と引き換えに、今度は、ポーラと過ごした幸せな3年間の記憶を失ってしまう、というところにある。映画では、スミシ―が失踪してしまった後のポーラの悲しみや苦労を描くシーンはなく、その間のポーラの事情は、彼女の言葉によってしか観客は知ることはできない、後半の中心は、記憶を取り戻した後のスミシ―の生活を中心に描かれることになる。

 

チップス先生さようなら(1969) (字幕版)

 

 

ある形をとって、スミシ―とポーラは再開することになるのだが、再会した後もスミシ―の記憶はなかなか戻らず、歳月ばかりがいたずらにすぎる。なかなか戻らないスミシ―の失われた記憶、批評家や映画を観た人の感想では、なかなか戻らないスミシ―の記憶喪失にイライラしたり、早く思い出せばいいのに、という感想を持った方も少なくないようだ、が、筆者は思う、なかなか戻らないスミシ―の失われた記憶ゆえに、ポーラの苦悩はあり、観ているほうは、ポーラの苦悩をひしひしと感じさせられ、観客をじらすように戻らないスミシ―の記憶喪失のほうがリアルであり、現実味を感じる、と。

 

大富豪に戻ったスミシ―が、工場のストライキを解決したあたりから映画はクライマックスへ、やはりこの映画は、最初からしっかり見ておかないといけない、スミシ―と共に観ているほうも記憶を呼び戻し、思い出さなければ、映画の楽しみも、ラストの感動も半減する、 “ボーっと” 映画を観ていちゃいけないよ。ただ、一つ、消化不良なのは、スミシ―を失ったポーラと冒頭の精神病院でスミシ―を診ていた精神科の先生がどうやって知り合ったのか、っていうことの説明が筆者はほしかった。

 

 

幸せな短い歳月の間もスミシ―を導き、ポーラを忘れてしまった長い歳月の間もスミシ―を導き、彼の幸せのために二人の結婚もなかったことにするポーラであった、スミシ―失踪後のキャリアの積み方を観ても、強くて優秀な女性であることは間違いなさそうだ、ポーラの幸せを願うばかり、やはり、この映画をみるには、ハンカチが必要かもしれないと思うのですが‥‥、いい映画でした!