Kororon 映画について語るBlog

映画を語りつくす blog ☆ いい映画も、残念な映画も、好きな映画に、無理(?) な映画も、時に、ドラマも

映画 白い恐怖  イングリット・バーグマン/ グレゴリー・ペック  主演    アルフレッド・ヒッチコック 監督

白い恐怖(字幕版)

 

イングリット・バーグマンが白衣に身を包んで精神分析医を演じる、美しさを白衣に閉じ込めてしまうとはもったいない、と感じるかもしれない。が、白衣を着ていて髪が乱れていても、イングリット・バーグマンの美しさは損なわれることなく、グレゴリー・ペック演じる医師兼、患者兼、容疑者のバランタインは出会ってたった一日目でイングリット・バーグマン演じる麗しき医者、コンスタンスと恋に落ちる。若き日のグレゴリー・ペックはほりが深く精悍な顔立ち。彼の演技力もあってか、魅力的かつ、狂気に満ちた雰囲気を十分すぎるくらいに漂わす。

 

そんな、ペック演じるバランタインがバーグマン演じるコンスタンスに一目ぼれするならば、コンスタンスのほうでもバランタインに一目ぼれ。邦題では「白い恐怖」というタイトルがついていてミステリー感を前面に押し出したタイトルであるが、英語のタイトルは「Spellbound」といい、”魔法にかかった“ ”魅せられた“ ”うっとりした“ という意味で、タイトルから見る限りヒッチコックはこの映画のサイコスリラー、サスペンス性よりもコンスタンスとバランタインが出会ったとたんに恋に落ちてしまうという恋の不思議を観客にみせたかったのか、と思えてしまう。

 

とはいえ、ヒッチコックの観客を恐怖に陥れるテクニックは冴えており、記憶喪失となったバランタインが白い色と白い色に描かれる直線を見て失神する、我を忘れる、思いもよらない行動に出る…など、息をのむシーンは多くサスペンス的にもみせてくれる。彼が夜、剃刀を手にしてコンスタンスの師、ブルロフ博士の屋敷内をさまよい、博士に遭遇するシーンは秀逸、怖かった。また、もしかしたら、やっぱり、バランタインは有罪か、と、何度も何度も思わせる演出も実際有罪かどうかは映画を観て確認してほしいが、さすが、ヒッチコックと思える。さらに、コンスタンス、精神科医としてのキャリアを投げ出して恋に走るか‥‥という展開も英語のタイトルを思うなら、まあ、納得もできる。

 

この映画では精神分析というメンタル治療法が取り上げられ、コンスタンスがバランタインを含めた患者を治療するシーンも描かれる。また、フロイトの夢判断も取り上げられ、劇中ではコンスタンスとブルロフ博士、コンスタンスと彼女の務める病院の院長との間でバランタインの見た夢についての分析が行われる。実際には映画で描かれているように”夢”をシンプルに即座に分析できるとは限らないかもしれないが、フロイトの夢判断をうまく事件解決の鍵に使った、というところもさすが。

 

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そして、映画の最後、コンスタンスはある人物と対決する、ここも大きな見せ場の一つ、イングリット・バーグマンの見せ場でもある。みているほうは、たった一人でちょっと無謀ではないの、とか、やっぱり、危険じゃないの、助っ人いた方がいいんじゃない、など、ちょっと、ハラハラ、ドキドキさせられるシーン。かなり古い映画なのだが最初から最後まで観客を飽きさせることなく引っ張っていくところ、ストーリーテラーヒッチコックが腕を見せたか。

 

映画の英語タイトル ”Spellbound” について思うとき、コンスタンスとバランタインが初めてキスをするキスシーンがある。コンスタンスが ”魔法にかけられ” ”魅せられ” まさに、タイトル通りのシーン。意識の流れを映像で見せていると思うのだが、次から次へと閉じられていた扉が開いていく、コンスタンスの意識の流れ。

 

記憶喪失の設定、コンスタンスの愛に目覚める描写とストーリー展開、フロイトの夢判断をストーリに取り込むなど、ヒッチコック、この映画では人間の ”意識の流れ” ”意識の働き” みたいなものを描こうとしていたのか。いずれにしても、いい映画、上質のミステリーを楽しめます。

 

 

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