「ロミオとジュリエット」と言えば、言わずと知れたシェイクスピアの有名な戯曲の一つであり、日本でも有名で、芝居、映画、パロディなど、様々な形で上演されているのを目にすることができる。ここは映画を語るブログなので、まず映画から行くが、その昔、本当に昔、オリビア・ハッセイという美しい女優がジュリエットを演じた映画があった、美しくて、優しくて、優雅なジュリエットで、シェイクスピアの原作にどちらかと言えば忠実に映画化された「ロミオとジュリエット」であった、と記憶する。蛇足だが、この美しいオリビア・ハッセイは日本人歌手、布施明の奥さんであった時期がある、皆さん、覚えていますか?
ところで、ここで語りたいのはこのオリビア・ハッセイ主演の「ロミオとジュリエット」ではなく、もう少し新しい「ロミオとジュリエット」、そう、若き日のレオナルド・ディカプリオがロミオを演じた映画「ロミオとジュリエット」だ。この映画が公開されたときには世間で話題になった、曰く、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の舞台を現代に置き換えて、登場人物、彼らの活躍する町、衣装などすべてが現代的だ、と、しかし、それならば「ウエストサイド物語」という映画だってある。
また、、映画の中で俳優たちがしゃべるセリフは、すべてシェイクスピアの原典通りの英語で、現代の英語とは違う、you を thou と言ったりするんだよ、と、こちらの方がインパクトがあった。が、日本人としては、自分のリスニング力を試すためにあえて、シェイクスピアの時代の英語を聞くんだ、という決意をもって映画を観るのでもない限り、映画には日本語字幕が付くので、字幕を追っていけば何ら問題ない、さらに言うなら、あまりにも有名な物語であるため、観る前からストーリは承知している人も多い。
かくいう筆者も、残念と言うべきか、現代風に設定された役者たちがしゃべる、シェイクスピアの時代の英語にほとんど煩わされることなく映画を楽しんだ。当時、知り合いのイギリス人に、この映画を観たか、と聞いてみた、イギリス人であるし、イギリス人であるなら、シェイクスピアも周知なのだろうな、と思った。彼曰く、役者たちのしゃべっている英語が変だ、よく理解できない英語だ、というコメントだった、それは、本人がシェイクスピアの時代の英語だからよく理解できなかったのか、役者のしゃべっているシェイクスピアの時代の英語が変で理解できなかったのか、どちらであるのかははっきりしなかった。
この映画が異色、と思われるのはネイディブにとってであり、ほとんどの日本人にとっては、あのレオナルド・ディカプリオがロミオを演じる、ラブロマンス映画、だったのかと感じる。当時は、ディカプリオの人気がすごくて、宣伝されるのはロミオ役のディカプリオばかりだったと記憶する、なので、この映画のジュリエットについてはほとんど印象にない。
ジュリエットで印象に残っているのは、舞台のバレエで見たジュリエットであり、マイリンスキーバレエ団のヴィクトリア・テリョーシキナというダンサーが舞ったジュリエットだ。白くふわふわする薄絹のような衣装をまとい、暗い舞台の上を蝶が舞うように軽やかにダンスしていた、この時のジュリエットが美しく、月夜の月の光に照らされて舞う白い蝶のように思えて、いつまでも忘れ難く、印象的だ。
公開前から、いろいろと話題になっていたディカプリオ主演の「ロミオとジュリエット」、ディカプリオは良かった、若き日のディカプリオはやはりステキ、悲劇の主人公ロミオをよく演じていたと思う、シェイクスピア時の英語をあえてセリフとしたという点も、頑張っていた、が、残念かな、もう一人の主役であるジュリエットの影が薄すぎる、美しかったのだろうが、先にも書いたように筆者にはほとんど印象がない、ということで、ディカプリオファンの方々には悪いのだけれど、この映画、悪くはないけれど、本当に、残念な映画、としようと思う。
オリビア・ハッセイ版