イギリスの童謡、マザーグースの有名な歌の一つ:
Humpty Dumpty sat on the wall ハンプティ ダンプティ 壁の上に座った
Humpty Dumpty had a great fall; ハンプティ ダンプティ 壁から転げ落ちた
All the king’s horses and all the king’s men 王様の馬も 王様の家来も
Couldn’t put Humpty again ハンプティをもとに戻せなかった
この歌はなぞなぞで、答えは ”卵“ なのだが、確かに卵が高いところから落っこちたら割れてしまって、もう元には戻せない‥‥そんなことを暗示させるこの映画のタイトル「オール・ザ・キングスメン」、この映画は ”アカデミー賞を3部門も受賞していながら、政治の裏側を徹底して暴いているため、当時は政治圧力を受けて日本公開されなかった“ そうである。
この映画は1949年公開で、1949年というと昭和24年であり、昭和24年の詳しい出来事をここで書き連ねることはしないが、昭和24年の日本の総理大臣は吉田茂であり、”この年の総選挙は激烈を極め、金権選挙の走りとなった“ という。こんな日本の事情も、映画「オール・ザ・キングスメン」公開に圧力がかかった理由かもしれない。
この映画は、最初は理想に燃えて、社会をクリーンにしようと志していた、アマチュア政治家が、少しづつ政治慣れしてきて、権力を手に入れるのだが、政治慣れしてきて権力が手に入ると、金、偽善、犯罪まみれになっていく過程を、息をもつかせぬテンポと演出で描いており、観ているほうは、もう誰もこの男を止められないだろう、と、映画半ばで思い至り、さらには、この主人公の政治家の男に、ヒットラーの面影をだぶらせつつ、ラストへと突き進んでゆく、という感じの映画だ。
モノクロの古い映画であるが、古いなりにスゴイ映画である、監督は映画「ハスラ―」の監督、製作、脚本もしかり、映画「ハスラ―」といえばポール・ニューマン主演のあの名作。撮影は、銀行強盗ボニー&クライドを描いた「俺たちに明日はない」と同じ人、原作はピューリッツァー賞受賞の小説、と、監督、脚本、撮影、原作、といずれも申し分なく、映画も ”スゴイ“ 映画になって、さもありなん。
この汚職まみれの政治家の行く末は、冒頭のマザーグースの童謡が暗示するとおりであり、映画を観るにあたってはこのマザーグースの童謡を是非、頭にインプットして観ていただくことをお勧めする。前回、紹介した映画「バベル」の時と全く同じで、欧米人はこの映画のタイトル「オール・ザ・キングスメン」と聞いた瞬間に、子供の時に慣れ親しんだこの ハンプティ ダンプティ の童謡を思い浮かべるのである。
政治の政界の裏側を容赦なく描いた映画に、「鏡の国のアリス」でも、テニエルの挿絵で有名な、童謡の一節をタイトルとして持ってくる、そのセンス、これもなかなかのセンス、といえないか。
ちなみに、リメイクされた映画「オール・ザ・キングスメン」は、残念ながら見ていないのでコメントはできない。今回は、古い方の ”初代” 「オール・ザ・キングスメン」、ちょっと重いストーリーだけれど、見ごたえあり、最後まで目が離せない、そんな映画、主人公の悪徳政治家の行く末も、しっかり見届けてね。
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